任命
墓参りから一週間後、クラッティス警察統一所にムロたちは呼ばれていた。
「オレたちが呼ばれたのは例の件でですか?」
「無論だとも。君たちのこれまでの功績を讃えると同時に是非とも我々警察に協力してもらいたい」
「協力は拒みませんが、幾つか条件があります」
「なんだね?」
「事件の詳細によっては協力の拒否が出来ること。命の保証が有ること。それでも万が一の事が起こった場合の家族への保障。オレたちが成人するまでを捜査協力の期間とすること。要経費、あとは……」
「ムロ!アンタ注文が多すぎよ!?」
「構わんよ。身を危険に晒すかもしれない役割なのだから当然の行いだよ」
「……チーム名はオレたちで決めること」
「成る程」
「全て飲んでくれたら引き受けるよ」
「馬鹿! 敬語を使いなさいよ!」
「構わんよ。礼儀や作法などは成長過程で教われば良い。今は素直な気持ちを聞きたいから無礼講で構わんよ」
「どう?」
「考えなど不要だよ、条件は全て飲もう」
「ありがとう、所長」
「こちらこそ」
ムロと所長が握手した。
「では……ここに本日付で我々警察と共に捜査をしていく者たちを紹介しよう!」
所長が読み上げる。
「ムロ・クライム、ミカノ・クライス、セリオ・バーン、カズマ・オルト……計四名を本日付で特別警察捜査隊として迎えることを宣言する! ……クラッティス警察統一所・所長、ロウ・サウス」
※ ※ ※
所長が読み終わり、ムロたちはクラッティス警察統一所を出て、近くのカフェに寄った。
「緊張したわ~」
「僕も……カズマは大丈夫だったかい?」
「俺は何とかなったが……ムロ、平気だったか?」
「緊張はしたけど思ったよりはパニクらなかった」
「……神経が図太いのかね~?」
「ミカノは腕が少し太く……」
「叩くなよ!?」
「アンタはなんでデリカシーが無いのよ!」
「……可愛くねえ……」
「何か言った?」
「勿体ねえって言ったんだよ」
「どういう意味よ?」
「……いつも素直にしていれば凄い愛嬌が有って可愛いのに、勿体ねえ」
「なっ……!?」
ミカノが顔を赤くした。
「俺たち居るんだが」
「僕たちの前にノロケないでくれないかい」
「ノロケてなんかねえよ!」
ムロが頼んでいたコーヒーを飲んだ。
「不味い」
「苦いのは苦手か?」
「カズマは得意でも、やっぱりコーヒーは無理だ」
ムロが水を飲んだ。
「同じ十二歳でも好みは違うのね」
「コーヒーや酒を飲まなきゃ駄目なら、オレは子供のままで構わん」
「子供のままじゃ、結婚出来ないんじゃないかい」
「ゲホ!? ……何言ってんだ!? セリオ!」
「ムロが動揺してるや」
セリオが笑っている。
「ムロをしっかりと支えるんだぞミカノ?」
「もう、カズマまで!」
四人の声がカフェに賑やかさを与えていた。
※ ※ ※
「何の用だ……御偉いさんがよう」
「何、息子の敵を見たくてね」
「ああ。あの刑事、坊っちゃんだったのかよ」
「あいつは私の力を借りずに刑事になった。刑事としては本物だった」
「死んだら終わりだけどな」
「……そうだ、死んだら終わりだ……だから貴様は死刑にはならない」
「はあ? 憎くて仕方ないんだろ、だったら早いとこ殺せよ」
「簡単には死なせんよ。貴様は死ぬまで一生を監獄の中で生きるんだ……それが罰だよ」
「甘いな。そうやって猶予を与えるから、人は平気で命を奪うのさ」
「それは死んで償えばいいという思考だからだ。ならば簡単に死ぬことを許さなければいいだけのこと!」
「……そう簡単に上手くいくかよ」
「貴様が、それを体験すればいい」
所長の怒りや憎しみを抑えた声が、カインが居る監獄に響いた。
冬がゆっくりと深まり、旅の無事を祝うかのように夜空から雪が舞っていた。




