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ロードバスターズ  作者: 碧衣玄
捜査協力編
24/40

墓前報告

 一ヶ月後、ムロたちは退院すると、クラッティス警察統一所にて事情聴取を受け、一旦クーンへ帰っていた。


「爺ちゃん、ポリスさんの墓参りに行きたいんだけど、場所が分からないんだ」


「確か……フルさんの故郷のラウードに造ったと聞いたがの?」


「ラウードって……イグラズの最北端じゃんかよ!?」


「うむ。じゃから途中で船に乗らなければならん」


「船か……船酔いが恐いんだよな」


「お前さんは昔から水が苦手じゃからの」


「泳ぐのは構わないけど、乗るのは抵抗あるよ」


「一緒に行ってはやりたいが、腰が痛んでの」


「……いいよ。無理しないでくれよ」


「すまんの……その代わりに誕生日には欲しいものを買ってやろう!」


「……そうか……オレの誕生日が直ぐか」


ムロが日付を見ていた。


※ ※ ※


「僕に用?」


「明日、フルさんのお墓参りに行くんでしょ? だったらお供え物を買わないといけないと」


 そう言ってセリオの母は小遣いを渡した。


「別にいいさ!?……今回の事件ことでも迷惑かけちゃったしさ!」


「駄目よ。フルさんにも色々と迷惑をかけているのよ! それに……親は迷惑をかけられた事よりも無事に帰ってきてくれた事のほうが嬉しいに決まってるの! 子が親に遠慮なんて……生意気だし、よっぽど迷惑よ」


「わかったよ。ありがとう」


 セリオが小遣いを受け取った。


※ ※ ※


「父さん……これは?」


「カズマ、感動しただろう!」


「するか!? 何で俺の部屋に靴が散乱してるんだ!?」


「お前の誕生日プレゼントだが、不満か?」


「そうじゃないが多すぎだろ!」


「元々の予定数+二週間、遅れた詫びだよ」


「ありがとう。でもな……」


「礼なんて要らないさ、親子だからな」


父の嬉しそうな顔を見て、カズマはホッとした。


※ ※ ※


「お母さん……どう?」


「似合うけど、ワンピースは着るのがスカートに比べて面倒だから嫌じゃなかったの?」


「何となく気に入ってね」


「……ふーん」


 ミカノの母がニヤつく。


「なっ……何よ!?」


「色気付いたな、我が娘よ」


「違うわよ!」


「なら、そこまで顔を赤くしなくてもいいじゃない……ムロくんの好みはワンピースか……」


「なんでムロの名前が出るのよ!」


「だって……セリオくんは、ムロくんとアンタをくっ付けたがってるし……カズマくんは、アンタの背中を押してるし」


「なんで分かるのよ!?」


「聞いたからよ? アンタの事どう? って聞いたら、ムロくんと幸せになってほしいって言ってたもの」


「勝手なんだから!」


「お母さんもお父さんも賛成よ。ムロくんならアンタを幸せにしてくれる……きっとね」


「揃いも揃って、まったくもう!」


「照れちゃって!」


 ミカノは照れながらも、嬉しく思った。


※ ※ ※


 翌日。ロたちは揃、ってクラッティスに向い、そこから列車に一時間揺られ、乗り場が有る街フーブに着いた。


「とーとー船かー」


「ムロ、目が死んでるぞ」


「カズマ代わりに頼むよ」


「自分で行かなきゃ意味ないだろ」


「う~」


「目の保養にミカノを見てれば良いだろ?」


「意味わからん!」


 ムロは照れながら船に乗った。


「世話が焼ける二人だね~」


「全くだ。ミカノなんかお洒落までしてるのに」


「ほら行くよ!」


 ミカノ、セリオ、カズマも船に乗った。


「う……ごいた……」


「当たり前でしょ? ばか」


「馬鹿!? ……船の上じゃなきゃ……」


「ああやって話してれば、気も紛れて酔いにくくなるはずだ」


「ムロの船酔いは、僕らやジンさん以外は知らないからね……流石、ミカノだね」


※ ※ ※


 船は三時間後、無事にラウードに着いた。


「ミカノ……寒くないのか?」


「女は時には我慢も必要なのよ」


「寒かったら言えよ、上着貸すからよ」


「分かったわよ!」


「えーと……この先を行ったところが墓地だって」


「セリオが地図を読めて助かった」


「ううん。カズマが地図を持ってきていて、こっちこそ助かったよ」


 先を進むと様々な形の墓石が有った。


「フルさんのは……有った!」


 セリオがフルの墓石を見つけた。


「ほら! ぼさっとしてないで掃除を済ますわよ」


 ミカノの指示で墓石の掃除をした。


「お供え物はこれだよ」


 セリオが買った物を供えた。


「あとは報告だけだな」


 ムロ達は各々の近況を語った。


「そろそろ船が出る時間だ」


「名残惜しいけど、しょうがないね」


「ムロ、行くわよ?」


「……おう」


 ムロたちは来た道を戻る。


「なんとか間に合ったみたいだね」


「おい……ムロがいないぞ?」


「……まったく」


※ ※ ※


「言い忘れてたことがあったから引き返して来ちまった」


「ポ……いや、フルさん。オレ、色々考えたんだけど……やっぱり、ミカノと生きたいって思ったんだ! ……ボウズが生意気って思うだろうが、惚れてたのは事実だからよ。それと警察の力になるって決めたよ……刑事は無理だけど、民間から特別に協力者が欲しいって頼まれたんだ。以上で報告終了!」


 ムロが立ち上がる。


「年に一度は来るからな。またな!」


 ムロが船に向かった。


「ばか! 遅い!」


「ミカノ……カッカすんなよ、無事に乗れたんだからよ」


「そういう意味じゃないわよ!」


「はあ?」


「少しはミカノの気持ちを察してやれよ」


「今回は僕も擁護出来ないや」


「……悪かった。心配してくれてサンキューな」


 ムロがミカノに上着を着せた。


「アタシは平気よ!?」


「お詫びと気持ちだ」


「ばか。……ありがとう」


 海の潮風が身体を冷やす。


「たまには良いんじゃないかい、船も?」


「たまに……ならな」


「船の良さは実感できたか?」


「カズマ、冗談はよせ」


「まあ、そのうち慣れる」


 船は、クラッティスへと着いたのは海が夕色に染まった頃だった。

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