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ロードバスターズ  作者: 碧衣玄
独りの旅編
20/40

故郷の恵みを受けて

「到着~、クーン。到着~、クーン」


「着いたのか」


 ムロは隣で寝ていた刑事を起こした。


「よくねたぞ~」


「寝ぼけてんなよ」


 二人は列車を降りると歩き出した。


「おい」


「ん」


 刑事は、ムロにハンバーガーとオレンジジュースを渡した。


「降りたとたん居なくなったのは買いに行ってたからなのか」


「食いたがってたろ? まあ、おれも食いたかったしな」


「……うま!」


「確かに美味いな、うん」


「皆は元気?」


「元気だな。ただボウズが勝手に決めて一人で旅立ったことに怒ってるけどな」


「ははは!」


「しかも居た街が一夜で滅びたんだからな」


「心配かけちまったな」


「ちゃんと謝れよ」


「おう」


 長閑な景色が広がる道を歩くと風が吹き、川の音がして、動物の鳴き声も聞こえる。


「もうすぐ着くな」


「普段通りに会えばいいんだ」


 ムロの家が見えてきた。


「爺ちゃん元気かな」


「ボウズの顔を見たら安心して泣くかもな」


「まっさかー」


 ムロが家に着いた。


「爺ちゃーん!帰ったぞー!」


 ムロの声に呼応したジンが出てきた。


「ムロ!?」


「ただいま、爺ちゃん」


「よく帰ってきたのう~。怪我は無いか! お腹は空かないか!? ……とにかく入った入った!」


 ムロと刑事が中へ入った。


「ムロや、皆には連絡したのかい?」


「まだだけど」


「仕方がないの~、ワシがしてやろう」


 ジンが連絡をした。


「今から向かうと言っとったぞ」


「ふーん」


 ムロはジンから聞いたあと、立ち上がって別室に向かった。


「……私も構わないですか?」


「構いませんぞ」


 刑事も別室に向かった。


「……しばらくサボってゴメンよ。綺麗に拭くから待ってて」


 ムロが壇を拭く。


「どうだ? 久しぶりに拭いた感想は?」


「やっぱり心が落ち着くよ」


「そうか」


 ムロが手を合わせた。


「父さん、母さん……オレは元気でやってるから安心していいよ……」


 刑事も手を合わせる。


「……」


「うしっ! 気合い入った」


「それは何よりだ」


「ミカノちゃん達が来たぞ」


 ムロは出迎えに行った。


「いらっしゃい」


「ばか!」


「悪かった」


「心配したんだよ?」


 ミカノの目が潤んだ。


「ムロ、変わりはないかい?」


「ああ」


「それは良かったよ」


「それにしても驚いた。フルさんから、お前がグジアに居たって聞いたときは。おまけにグジアは滅びたときたもんだ」


「……フル? 誰だ?」


「誰って……散々世話になっていて名前を知らないのか!?」


「は?」


「刑事さんだよ! 刑事さんの名前!」


「えー!?」


「なにをやっておるのだ? 早く入るんじゃ」


 ジンに促されて、ミカノ達は家の中に入った。


「……ってわけで」


「そんな!?」


 ミカノが動揺する。


「公にしないのか!?」


「武装石はこのまま“ただの石”でいい……グジアが滅んだ原因は謎のままでいいんだ」


「言ったら言ったで騒動になるからかい?」


「まあな」


「挨拶してくるね」


「そうだった!」


 セリオとカズマは別室へ行った。


「あっ」


 ムロがフルに本を差し出す。


「ポリスさん、本、ありがとう」


「あげるよ」


「いいの?」


「おれは活字が苦手でね」


「大事にするよ」


「なーに、その本?」


「ミカノ、本に興味あったっけ?」


「アンタが読んだ本だからね」


「なんか不思議とスラスラ読めたんだ。本を読むと直ぐ眠くなるオレがさ」


「……ロード……バスターズ?」


「オレたちみたいに少年少女が旅をして色々な経験をするんだけど、その少年少女が結成したグループ名が〝ロードバスターズ〟なんだ」


「へー」


「……読むか?」


「でもアタシ読むの遅いよ?」


「本は読まれることに意味がある。読んだうえで自分なりの感想を得られたら作者も感謝してくれるハズだから、じっくり読めばいいさ!」


「うん!」


 ムロがテレビを点ける。


【グジア、謎は深まるばかりで】


【グジア跡地を追悼場へ……】


【速報! 地下で発見の石が奪われる】


 ムロの表情が曇る。


「武装石が……奪われた!?」


「起きてしまったか」


「ポリスさん、何か心当たりが!?」


「少し前に警察宛に予告状が来たんだよ。地下の石を奪いにいく、と」


「マズイ……妙なヤツに使われたら!!」


「ムロ、落ち着いて!」


「……おう……」


フルが立ち上がる。


「署に戻ってみるよ。何か情報が有るかもしれないしな」


「オレも!」


「連絡する……だから居るんだ」


「分かった」


 フルが家を出た。


「で、どうするつもりだい?」


「セリオ!?」


「挨拶は済ましたけど、ムロ達が話をしていたから入りづらくてね」


「気ぃ使うことねえのに」


「お前が大人しくしてる姿が浮かばないんだが?」


「取り敢えず待つ」


「何を待つの?」


「……好機を!」


※ ※ ※


「なるほどな」


 フルはムロの家を出てから五時間後、得られた情報をムロに伝えた。


【……分かった。車で迎えに行く】


 ムロが電話を切る。


「フルさんが迎えに来るのかい?」


「ポリスさんが言った情報が確かなら、絶対に石を奪ったヤツはオレを狙いに来る」


「ミカノちゃん達には知らせるのかの?」


「いーや黙っとく」


 ドンドンと玄関を叩く音がする。


「誰じゃ?」


「ムロ!」


 ミカノ、セリオ、カズマが来ていた。


「また一人だけで行こうとしたでしょ!?」


「なんで知ってんだよ!?」


「フルさんから聞いたんだよ」


「一人だけで行かせるわけにはいかないからな」


「まったく……」


「まあまあ……中で待つのだよ」


※ ※ ※


「ジンさん、私が責任を持って四人を預かります」


「フルさん直々に了承得たんだよね」


「皆のオジサン、オバサンは何も言わないのかよ」


「僕らに何かあったらフルさんが責任とるって」


「捜査協力だから」


「じゃあ行こうか」


 フルの車にムロ、ミカノ、セリオ、カズマが乗り込み、フルが運転する車は走り出した。


「とりあえず、クラッティスに行こう。カズマ君がジンさんと脱出した建物へ」


「カズマに傷をつけ、爺ちゃんを誘拐した犯人」


「未発表ながら……既に三件の傷害事件が起きている……建物の近くで!」


「俺に付けた傷、絶対に膝を着かせる!」


「一致団結よ!」


「そのあとの台詞は……」


「「ロードバスターズ!」」


 ムロとミカノの声が重なった。

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