誓い
『・原因は地下の石か?』
『・生存者0、グジアの呪い』
『・立ち入り禁止から一ヶ月、癒えぬ喪失』
『・街の名所が繋がった謎の地下。一体目的は?』
『・加工された鉱石……深まる謎。真相は闇に』
「好き勝手書きやがって」
「本当だな」
「真っ当な記事は書けないのかね?」
グジアが一夜にして消滅してから一ヶ月。自然か人為か……様々な検証や臆測が飛び交い、次は我が街かと不安を抱えて過ごす人々も続出していた。
「どうする?」
「任せる」
「黙ってるのか?」
「言いたくない」
「腹へったか?」
「ハンバーガー」
「飲み物は?」
「オレンジジュース」
「支払いは……」
「……ポリスさん」
「行き先は?」
「グジア跡地」
「会いたい人は?」
「生きてる人」
「会いたくない人は?」
「友達」
「嫌いな人は?」
「悪人」
「好きな人は?」
「ミ……おい!?」
列車の座席に刑事とムロが座っていた。
「大丈夫なのか?」
「何が」
刑事はグジアが消滅した日に、気絶から覚めたムロから連絡を受けて会い、ムロから事情を聞いた後はムロと共に慰安旅行に出ていた。
「行ったらボウズが変にならないかってよ」
「避けられないからな……いつまでも」
「そうか、おれは構わないが」
「刑事の仕事は?」
「有給が使えたからな」
「悪いな」
「子供が大人に気を使うな」
列車が走り出した。
「あの~」
「はい」
「この花を差し上げます」
杖を突いた老人が刑事に色とりどりの花の花束を差し出す。
「何故、私達に?」
「わしもグジアに行きたいんじゃが……辛くての……孫の死んだ現実がの……」
「お孫さんが!?」
「新聞にも少し載ったようでの……これからが勝負って言っていたしの……」
「新聞!?」
「どうした?」
「いや、別に」
「貰ってもらえるかの?」
「……あの、お孫さんの御名前は?」
「アキじゃ……」
三十分後、グジア跡地に着いた。
「良かった。ここは入れた」
立ち入り禁止が少し緩和され、レストランが在った場所に立ち入れた。
「花束が投げ込まれているな」
「立ち入り禁止区域にも花を供えたい人が居るんだな……」
ムロがアキの祖父から譲り受けた花束をレストラン跡に供えた。
「アキねーちゃん。守ってあげられなくてゴメン。会いに来るのが遅くなってゴメン。お祖父ちゃんに涙を流させてゴメン。街を守れなくてゴメン」
「ムロ……」
「……オレが子供でゴメン。謝ってばかりじゃ駄目だよな? だから前へ進むよ……オレなりに一歩ずつ前に」
「もう良いのか?」
「いつまでも立ち止まれない、進まないとな!」
「何処に」
「さっきは会いたくないって言ったけど、やっぱり友達に会いたいや」
「分かった!」
ムロと刑事は列車を乗り継いで、ミカノたちが暮らす町、クーンに向かった。
「そういえば御老人から本を戴いたんだ」
「本?」
刑事が本を差し出す。
「お孫さんが好きだった本らしいが、『本は読まれることに意味がある』と貰ったんだ」
「どういう本なの」
「少年少女が軽い気持ちで旅に出たんだが、色んなことに巻き込まれて、そのたびに試練を乗り越えて最後には……いや、本は読まれることに意味があるんだった……自分で読んでみな」
ムロが本を受け取った。
「ロードバスターズ……か」
「本は苦手か」
「その逆だよ」
ムロが読み始める。
(こうして見ると年相応の子供だな)
「少し寝る。もし着いたら起こしてくれ」
ムロが頷いた。
「フッ……」
刑事は嬉しそうに眠りに入った。




