レストランの攻防
「小僧! 冷静になれ!」
「何だよオッサン! 早くしないとレストランが!」
「走って行ける距離じゃないだろ」
「バスは走ってないぞ!」
「車に乗るんだ」
「そんな簡単に乗っけてもらえるのかよ!?」
「乗せてもらうんじゃない……乗るんだ」
「どういうことだ?」
「付いてこい」
ガイにムロが付いていくと、草木に隠すように車が置いてあった。
「俺が運転する」
「オッサン運転出来るのか?」
「俺の車だぞ」
「……まあいいや、早く行こう!」
「分かった」
ガイが運転する車にムロが乗り、アキが居るレストランに向かった。
※ ※ ※
「着いたぞ」
「アキねーちゃん!」
「全く」
ムロが車を飛び出し、ガイが追いかけた。
「なんだ、これ!?」
ムロは絶句した。朝、自分が居たレストランは崩壊していたのだ。
「ザンなら当然の行為だな」
「あのヤロウ!」
「……たす……け」
「この声? ねーちゃん!?」
ムロが瓦礫の山と化した店内に入る。
「何処だ! 何処に居るんだよ!?」
「ムロ……くん……」
消えてしまいそうな声が聞こえた。
「そっちか! 」
ムロは壊れた椅子や崩れた壁を退かしながら、声のする方向へ向かう。
「う……」
「ねーちゃん!? ……アキねーちゃん!!」
ムロはアキを見つけた。しかし無事とは言い難く、意識が無くなりかけていた。
「……ムロ……くん?」
「オレだよ! ムロだよ! 約束通り疑問を解明したんだ……だから死ぬな!」
ムロがアキの手を強く握る。
「家族とかを除けば……異性に手を握られたのは初めてかな……ムロくん、もう少し……強く握っても良いよ? 私、寝ちゃいそう………だ……から」
ムロの目に涙が浮かぶ。
「これ以上は無理だよ……アキねーちゃん」
「……」
「ねーちゃん?」
「……」
「アキねーちゃあああん!!!!!!」
アキの身体は冷たくなっていた。
「小僧!」
「流石は俺の武装石!……? まだ残ってる箇所が有るな……」
「小僧! ザンが来たぞ!」
ザンの剣が迫る。
「どーした? 誰か生きてるのか?」
ザンがガイを振り飛ばした。
「くそっ!」
ガイが地面に背中を打つ。
「あん? ガキか?」
「……小僧! 逃げろ!」
「逃がすかよ?」
ザンが目に見えない速さでムロに近づく。
「首、頂き!」
「……」
「その感じ、武装石かあ?」
「……」
「なんか言えよ?」
「……す」
「あん? 聞こえねえよ」
「……ろす」
「聞こえねえんだあああよおおお!!」
ザンが剣を素早く振る。
「……ブッ殺す!!」
ザンが吹き飛ばされた。
「嘗めやがって」
身体を回転させながら地面に着地して、その勢いのまま突進してきた。
「生意気なんだよおおお!!」
ザンの攻撃が当たったかに見えたが、ムロは避けながら攻撃を加えていた。
「俺の血いいいいい!」
ザンの腕から血が流れた。
「俺の武装を砕いただとおおお」
「黙れ」
ムロが右腕の剣で斬りつける。
「このガアアアキイイイ……!!」
ザンも剣で応戦する。
「小僧……あのままじゃ」
ガイの不安を他所に、ムロは攻撃を続け、ザンも攻撃を続けた。
「ガキだからと手を抜いて悪かったなあああ……これで終いだあああ」
ザンが剣を天に掲げる。
「月は神秘の塊だあああ。それが満月なら尚更だあああ……!!」
「ザン、まさか……街その物を消すつもりか!」
「消えろおおお!!」
ザンが剣から閃光を出すと、閃光は巨大な光の塊となって返ってくる。
「あんなモノが落ちたら街が消えて無くなる!」
「みんな消えろおおお!!!!」
「小僧、逃げるんだ!!」
「……オッサンは逃げてくれ」
「小僧!?」
「オレはコイツを殺す!!……だからオッサンは街から出ろーーー!!」
ムロはガイに聞こえるように叫んだ。
(駄目だ、小僧の理性が飛んでいる)
「もうムダだあああ……俺のほかは街ごと消える」
光の塊は街を飲み込んでいく。
「!?」
ムロがザンに近づく。
「言ったろ……殺すってよ……」
ムロの剣がザンを貫いた。
「どうせ、キサマも消える」
ザンが倒れた。
「小僧!」
「オッサン?」
「!?」
「俺なりの償いだ」
ガイはムロを気絶させると車に乗り、博物館に向かうと、ムロを地下に放り込んだ。
「地下に居れば平気だろ」
ガイは地上に戻る。
「この先へは行かせん」
ガイが光の塊に向かって武装石を押し込む。
「……小僧……精々、達者でな」
ガイの武装石が光を吸い込む。
「うおおお……!!」
光の塊がグジアを覆った。闇夜に眩しすぎる光が現れて全てを奪う。
「最期に、お前のような奴に逢えて……」
ガイの言葉と共に、花と風車の街グジアは一夜で滅んだ。




