決意の夜
「血を飲む石、……か」
ムロが発した。
「上手い例えだな」
「オレ、考えたんだけど、やっぱり進みたい」
「秘密を知ってもなおか?」
「耳では知ったけど、目では知らないから」
「酷だぞ」
「オレなりの、覚醒させた責任だ」
ムロがガイを見据えた。
「……付いてこい」
ムロはガイの案内に従い部屋を出る。人力のトロッコに乗り、グジアの名所の一、グジア博物館の地下へ向かった。
「着いたぞ」
「ウッ!?…………!?」
「そう簡単に慣れるものではない」
「慣れたくない臭いだ……」
ムロが鼻をつまむ臭いの正体は、扉を開けると現れた。
「!?」
「目を背けるな……小僧」
「こ……れ……は……!?」
ムロとガイの前に現れたのは、血を抜かれ無惨に身体を積み重ねられた子供達だった。
「武装石に使う材料の血は若い血が適性だった」
「この子供達は一体!?」
「様々な理由で売られた子供だ。研究のために買われたんだ」
「……人身……売買か!?」
「よく知ってるな、子供のくせに」
「友達が売られかけたことがあったからな」
「その歳で修羅場を潜り抜けたみたいだな」
ムロは目の前の現実を受け止めるのに必死だった。
「もうすぐ埋めてやらないといけないな」
「土葬するのか?」
「死体とはいえ、子供を焼くのは御免だ」
「あんた、子供に情が湧くのに、よく実験材料に出来たな」
「武装石で俺が関わっているのは鉱石の調達のみだ」
「ほかに居るのか!」
「俺もヤツに買われた者の一人だ。俺もヤツにとっては、あの子供達と変わらんのだ」
「ヤツ?」
「さっき名前を出した……ザンだ」
「ザン!!」
ムロは怒りを込み上げた。自分に怪我をさせただけでなく、子供を買い、利用するだけ利用して無惨に死なすザンに激しく怒りを覚える。
「ザンは言っていたな……イグラズは変わらなければならない。その為には限りある犠牲で無限の力を手に入れる必要がある、とな」
「力を得てすることが戦争かよ!」
「俺は異を唱えたことがあるが、所有物が意見するのかと片目を失ったがな」
ガイが眼帯を着けた右目を見せた。
「恐いか? 小僧」
「……気の毒だ……」
ムロが死体に近づく。
「あんたも子供たちも気の毒だ。恐ろしいよ……現実であることに。けど、あんたには同情出来ないや。加担していたのには変わらない、判っていても続けたんだからな」
「反論の余地は無いのは承知だ」
「ザンは何時、行動を始めるんだ」
「満月の夜と言っていた」
ムロとガイは博物館の中から外を見た。
「夜になっちまった」
「満月か」
ムロは裏口を開け、外に出た。
「ザンを止める!」
「小僧は全てを忘れて帰るんだ」
「断る!」
ムロが決意を表した。
「俺は責任は取れんぞ」
「そうかい」
街の一部が光だす。
「ザンが動き出した様だな」
「あの方角は……レストラン!?」
ムロに不安が過る。
「アキねーちゃん!?」
「待て小僧!!」
ムロはガイの言葉に耳を貸さず走り出した。ガイもムロの後を追った。




