武装石、覚醒
「フン!」
「ハッ!」
「デイ!」
ガイが両手に持った剣をムロに振る。ムロが必死に避けるため、壁や柱に刃が擦れ、鉄同士が音を部屋に響かせ、火花を散らす。
「いつまで逃げれるか」
(クソ……!)
「すぐにバテるか」
(なんでだ!)
「追うのも疲れるな」
(……割れねえ……チキショー!)
「斬」
「!?」
ガイが、右手に持った剣を振ると、衝撃がムロの後ろの壁に伝わった。
「止まったな」
「鎌鼬!? ……いや違う!」
「御明察だ」
「何をしやがった!?」
「簡単だ。剣で空間に振動を与え、それを壁にぶつけた」
「そんなこと不可能だ!」
「武装石なら可能だ」
「武装石!」
(なんでオレには使えない!?)
ムロが武装石に力を入れる。
「小僧には使えない」
「なんでだ!」
「武装石を知らないからだ」
「だから通路に通せ!」
「先へは行かせないと言ったはずだ」
「オレには武装石を使わせない気だな!」
「……無論だ」
ガイが剣を無数に振る。
「……や……めろ……」
壁に衝撃が当たり、その度に鉄が擦れ、凹み、抉れ、音を響かせる。
「言ったはずだ、殺しはしないと」
(このままじゃ鼓膜が破れる!)
「聞きたくなければ部屋を出ればいい」
「……やだね」
ムロが立ち上がる。
「約束したから……疑問を解決するってよ……」
「根性だけは達者だな小僧……ならば!」
「!?」
ムロの右足のすねから血が流れる。
「こっちもだ」
左足のすねからも血が出る。
「ぐっ!」
「この部屋から放り出す」
「ざけん……な……」
ムロは立ち上がろうとするが、痛みで立ち上がれない。
「無理はするな。大した怪我ではないはずだ」
「放り出されてたまるか……!」
すねから流れ出る血が足元を伝う。
「何が大した怪我じゃないだ! 血がドバドバじゃねえかよ」
「手当てしてやる」
ガイがムロを抱えようとするが、ムロが抵抗する。
「離せ! オレは行くんだ!」
ムロの手から武装石が落ちた。
「しまった!?」
ムロが暴れだした為、ガイが体勢を崩し、ムロを落としてしまう。
「斬られるわ、落とされるわ……散々だぜ……」
意識が朦朧とするなか、ムロが武装石に手を伸ばした。
「あ~……オレの血だらけだ……」
ムロが血だらけの武装石に触れた瞬間、武装石が光だした。
「手放せ小僧!!」
ガイがムロに促すが、ムロは聞く耳をもたない。
「……武装石……発動……」
眩い光が、ムロを包み込む。
「すげー!」
光が消え現れたのは、武装石の防具を身体に纏い、右腕に剣が備わっているムロだった。
「剣が肩にまで……盾要らずだ!」
「子供が武装石を覚醒させてしまった!」
はしゃぐムロとは対照的にガイは苦悩をみせた。
「よく聞け小僧……武装石はリスクがない訳じゃない、リスクは在る」
「なんだよ?」
「知りたいか?」
「勿体ぶんな!」
「……約束しろ、先へは進まないと」
「……分かったよ」
「いいだろう……教えよう。武装石は使うたびにに血を消費する」
「血を消費?」
「そうだ。だから子供には知られたくなかった」
「そんなことかよ!? 血の一滴や二滴どうってことないぜ」
「子供が使うと話は別だ」
「?」
「石の材料が関係している」
「どうせ教えてくれないんだろう?」
「教えてもいい。石を覚醒させた以上、責任が問われるからな」
「材料は?」
「近年発掘された鉱石、それと血だ」
「鉱石なのは見てわかるし、血を消費するんだから材料に血が使われてても驚かないぜ?」
「……生きた人間の血を一個につき一人使ってもか」
「え……!?」
「武装石一個を造るのに、生きている人間の血が一人分必要だと言ったんだ」
「おい!? それって……まさか……!!」
「察しが良いのも考えものだな」
「……血が無くなれば……当然……死ぬ!!」
ムロが膝から崩れ落ちた。
「気持ちが落ち着くまで居るがいい。武装石の事を話してやる」
ガイが座り、ムロに武装石の事を話した。
「……真面目に言ってるのか!?」
「冗談で言わないさ」
「そんな……!?」
ムロは眉間にシワを寄せた。
「武装石が……戦争の兵器!?」
ムロが鉄の壁に額を当てた。
武装石の秘密を知ったことで身体が熱くなっているのを実感していた。




