花と風車のグジア
「レルバニルとコーツァ……」
「レルバニル、コーツァ……以上ですか?」
「ねーちゃん! ララバも!」
「ララバ……以上ですか?」
「うん」
「では少々お待ちください」
ムロは、クラッティスを北に進む列車で三十分の街、グジアを訪れていた。
「すっかり夜になっちまったな」
十分後、ムロが注文していた物が運ばれる。
「お待たせしました。ご注文のレルバニルとコーツァとララバになります」
「ありがとう」
ムロが注文した料理を食べながら夕刊を読む。
『・ジンさん救出から八日、果たして犯人は?』
『・匿名希望の発見者、正体は子供か!?』
『・クラッティスで傷害事件、犯人は逃亡中!』
『・イグラズ最北端の街ラウードで殺人予告』
『・本日のピックアップ! ……都市伝説、素手で割れちゃう!? 不思議な石の謎』
『・本日のNo.1……注目の二十歳、グジア・フラワーレストランの看板娘!』
「う~ん」
「どうかしましたか?」
ムロを接客した店員が尋ねてきた。
「グジア・フラワーレストランで二十歳って誰がいるの?」
「二十歳は私だけよ?」
「そうなんだ。じゃあこの新聞は嘘っぱちだな」
ムロが記事の写真を叩く。
「新聞には〝今、注目の看板娘〟って書いてあるけど、もう注目されてるからさ」
「どういうこと?」
「今、注目しても、もう遅いってことだよ! ねーちゃん目的で客が増えてるのは半年も前かららしいじゃんか」
「ありがとう。少なからず私が、お店に貢献してるってことよね」
「まーな」
ムロが食事を終えた。
「ねーちゃん、会計!」
「お代は今回は結構よ」
「オレ、何か気にさわる事でも言ったかな?」
「逆よ。私は凄く良い気分なの。君のお陰で自分に自信が持てたからね! だから今回は私の奢りです!」
店員は食器を手で器用に運びながら接客をしている。それがムロには眩しく映っていた。
「また来るよ」
「待ってるわね」
ムロが手を振りながら歩き出す。店員さんも負けじと手を振り続けた。
「ホテルに戻ろう」
ムロは宿泊するホテルに向かった。
「こいつは嘘っぱちじゃねえだろうな」
ムロが先ほどの夕刊を読みながら言う。
「〝素手で割れちゃう不思議な石の謎〟……これはオレを襲いやがった男が持ってたやつか」
「情報が少ねえ!」
ムロが足をジタバタさせる。
「……街を少し歩かないとな。話はそれからだ!」
ムロは、頬を叩いて気合いをいれた。




