第三章
私の不便な世界
3.捻じ曲がった世界
「何...言ってるの」
「要するに僕は君の世界を捻じ曲げちゃってって事かな」
何食わぬ顔で言ってのける、がその顔は少し歪んでいた。
冷たい風が髪を揺らした。
目の前に立っている彼の髪も靡く。
「何でその...君は私の...」
言いたい事が意味不明。て駄目じゃん。
半分抜けていた理性を取り戻して話を再開。
何処から会話を始めればいいのかまったく判らない。
会話再開とは思ったものの何から問うべきか...。
「信じないと思うけど...僕は過去の人間、現世の人間じゃない」
「...その日向は何しに」
「死んだ恋人の形見の鍵を探してるんだ...」
「その鍵を持っているのが死んだ恋人の生まれ変わり」
「日向は私に何を頼みたいの?」
深刻な堅苦しい話が大嫌い。
でもこの話は自然と聞いていた。聞いていて不思議な気になってきた。
彼はその死んだ恋人の形見を探しに此処にいる。
だから、その...ゆっくりと頭の中を整理していく。
やっと話の内容が掴めて来た。要するに...。
「私が一緒に探せばいいんでしょ?」
「探してもらえるなら嬉しいけど」
「運命変えられちゃったら手伝う他に何すればいいのよ」
信じるも信じないも運命が捻じ曲がったのならそれが最後。
大体記憶が変わった時点でもう信じなければ終わりだろ。
面倒事は嫌いじゃない、好きでもない。
けど困ってる人をほおって置くのはのは許せない。
それが私の性格だったりする。
「ありがとう」
「別にいいよ」
彼は安心したように微笑む。
捻じ曲がった運命を生きるなら、少しでも彼の役に立とう。