次期女王陛下は脳筋です
※pixivで公開している作品と同じです。
「シルフは大きくなったら何になりたい?」
公爵家の一人娘に聞くにはおかしな話ではあった。
が、あれはお爺様達なりの私への優しさだったのだと思う。
「わるいやつをこらしめる、せんしになりたいです」
私の言葉にお爺様たちは笑った。
そして、こう零された
「血は争えぬな」
と。
まぁ、これは成長してわかった。
うちの家系というか、そういう家系なのだ。
血気盛んというかなんというか。
そんな家だった。
この数日後に、私は王太子アルフレッドの婚約者にさせられた。
あのくそ野郎の
「シルフ、貴様のような男女とは婚約破棄だ。私は新たに、フレア・グラド公爵令嬢と婚約する」
学園の卒業祭典。
そこで、大々的にくそ野郎、もとい王太子殿下に告げられた。
私より小さいやつは、壇上に上がることで私を見下ろしてる。
あれから十数年。
私は耐えた。
最初の1年くらいはキレたりもしたが、そのあとは従順かはともかく、争うことすら諦めていた
こいつがどうなろうと知らんし。
ちなみに、奴の隣にいるフレアはこいつなんなん?って顔してる。
別に私と仲良くもないが、常識はわきまえるタイプだ。
まぁ、ちょっと他人に媚びるところはあるが、相手を選んでいる。
少なくとも、殿下と懇意にして記憶はない。
蔑ろにはしてなかった気はするが
「殿下。それを、陛下はご存じで?」
知ってるんなら別にいいよ。
元々好きでもない。
陛下が了承しての破棄なら、別にねぇ
「父上達への報告はこの後行う。相手は同じグラド公爵なのだから問題ないだろ」
「お言葉ですが、私はシルフィーナ・グラオです。フレアがグラオ公爵家の血縁であることは認めますが、グラオ家の者ではありません」
家名似てるから、初見で間違う人は結構多い。
私もフレア一家もネタにしているが、許すのは一回のみだ。
というか、こっちはお前の婚約者だ。
それも公爵家だぞ。
家名間違うとか、18歳の成人した人間のすることではない。
「な、なんだと」
「殿下、流石に公爵家を間違えるのはよろしくないかと」
「え、ええーい。煩い。頭でっかちの脳筋女め」
矛盾してないか?
周りを見てみたい。
このクソみたいな騒動を見てる面々がどんな顔してるか気になる。
「そもそも女如きが出しゃばるな」
ほー。
我が国は男尊女卑では無い。
平等だ。
後、フレアも割と我が強くて前に出るタイプだ
「となると、お主は廃嫡せねばなるまいな」
低く優しい声色が響く。
会場にいる者が皆頭を垂れる。
国王陛下と女王陛下がいらっしゃった。
見えないが、フレアも頭を下げてるはずだ。
公爵家の令嬢なんだしな
「ち、父上?」
「そうね。この国の一般常識を18にもなって、正確に把握してない痴れ者は、我が息子としても、王位を継がせるわけにはいきませんから」
ちなみというか、この国は男女平等なので、女性でも王位を継げる。
王家の男は基本脳筋というか、血気盛んなことが多い。
戦時ならいいが、平和な今の時代それはあまり良くない。
あくまで王国である以上、比較的平和思考の現女王陛下が抜擢された。
まぁ、国王陛下も公爵家出身で、幼い頃から女王陛下の夫として、政治を支えるために居たから、かなり優秀な人ではある。
だから、あの野郎はかなり異質なのだ。
ま、全員が優秀な血筋なんて存在しないだろうけどな
「は、母上?」
「息子だから、廃嫡だけで許してあげるわ。フレア、あなたはどうしたいかしら?」
女王陛下の目が笑ってない。
フレアが顔を上げて、アルフレッドと添い遂げる気はないとはっきり伝えた。
そうなるよな。
だって、フレアと私が仲があまり良くない理由って、性格もあるが、好きな人のタイプが似ているからだ。
まぁ、こちとら5歳であれの婚約者にさせられたから、色恋なんて思ってても絶対に口には出せなかったし
「しかし、後継は……」
「そんなの、シルフでもフレアでも構わないわ。ギルを呼び戻してもいい。私達の子である必要はないもの」
女王陛下がはっきりと言った。
女王陛下と国王陛下は仲睦まじいが、殿下を産み落とした際に、それ以上子どもを産めなくなってしまっている。
でもって、聡明なおふたりは前から万が一の場合のことを考えていたのだろう
「ち、父上」
情けない声を出しながら、奴が泣きつこうとしてる。
子どもならまだしも、18の人がすることではない。
この国だと女ですらそんなことした場合、蔑みの目を向けられる。
内々間でならいいとしても、今は公共の場だ
「流石にお前が悪い。だから、あれほど胡座をかくなと言っていたんだ。しっかり学んでおれば、この国の王位継承が子であると限らないことも、女王が存在していることもわかったはずなのだから」
ってか、一般常識何だよなぁ。
割とマジで。
学園に入学する以前の話なんだよ。
少なくとも当代が女王陛下の方が実権あることは
「皆、騒がせて申し訳なかった。卒業式典後のパーティは存分に楽しんで。皆の未来に幸あれ」
あ、女王陛下、祝辞適当に誤魔化したな。
このあとあのバカを叱る必要があるからなんだろうけど。
数日後、王家から正式に婚約破棄の通告と、アルフレッドの廃嫡が発表された。
んでもって、王太子は女王陛下の末弟であるギルバート様。
そして、びっくり仰天でもないが、私はギルバート様の婚約者になりましたとさ。
「シルフ姉さまは私のものよ」
「何を言う、俺のものだ」
ギルバート様とフレアが私の取り合いしていたが、喧嘩両成敗で床に沈めた
試験的にpixivで公開している作品を持ってきました。
勢いで書いた「ざまぁ」系作品です。
女王陛下と国王陛下という敬称のつけ方には違和感がありますが、基本的には両者平等なのでこういう敬称になりました。
多分一般的には当代で行けば、女王陛下と王配殿下が正しそうですが、あえてこうしてあります。
シルフらの世代は、血縁的に国王陛下と王妃殿下が正しくなりそうですが、そういうのも王族(公爵家含む)が脳筋で面倒だからで、両方陛下と呼ぶようになったので、今後も陛下と呼び続けられるでしょう。




