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月の触手は健全に遊びたい 〜魂の姿がアバターに表れるVRゲーム──え、私の魂って触手の化け物なの?〜  作者: にゃー
第一章 月の触手

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ステータス


 というわけでネネカさん絶対守護(まも)る隊(一人)結成! ──とはいったものの、べつに彼女は毎夜毎晩森を訪れるわけじゃない。

 なので私は彼女が来なかった2日間のあいだ、自分自身について色々検証したりして過ごした。



 ──運営さんいわく、『INTO:deep anima』のゲームシステム面でのコンセプトは“なるべく数字を見せない”ことらしい。


 ステータスにおいて実数値が確認できるのは身体素養、魔術素養、技量素養の基本三大素養のみ。それらの数値やそのかけ合わせ、ほか諸々から決定される様々な要素──たとえばその時々の攻撃力だとか防御力だとか行動速度だとか──はすべて、ゲーム内で数値として表示されることはないらしい。


 自分の体力、魔力すらもゲージでしか見えないというのだから徹底している。なんならレベルすらないし。行動に応じて三大素養が少しずつ変動していくだけ。

 たしか公式SNSで「諸々数値化したいんなら自分たちで基準とか単位とか決めて算出してくださ〜い(意訳)」とか言ってたっけか。キャラメイクしかりほんとに挑戦的というか、いっそ挑発的というか。まあでもそういうところがフックになってか、このゲーム、リリース前の時点からかなり注目されてはいた。

 

 えー、とにかくそういうわけで、いま現在の私のステータスはこんな感じ。どん。



[月の触手 ルミナ]

 身体素養:67

 技量素養:79

 『月光』:顕界度Ⅰ(秘匿状態)

  

 『月光の化身』

 全ての魔術素養が永続的に失われる

 全ての魔力が永続的に失われる

 『月光』を得る


 『月影の秘匿』

 暴かれぬ限り、月光は秘匿され続ける


 『月光波』

 『月光』の、その僅か一片が漏れ出た光波


 

 ……ということで、ぇあー、その、なんだ。個人的に数値や項目が少ないこと自体は良いと思う。ステータスとか能力説明が細かすぎると目が滑っちゃうタイプなので。しかし。いやしかしとはいえ。

 

 月の触手ってなんだ。

 『月光』ってなんだ。


 えーとりあえず『月光の化身』はまあ、月の触手とやらの基本的な特性なんだろう。たぶん。きっと。めいびぃ。

 その説明文の通り、本来あるはずの魔術素養と魔力ゲージが私にはない。グレーアウトとかじゃなく、項目自体が完全に綺麗さっぱり消失してる。ステータス欄のレイアウト自体が、それらが存在しない前提のものになっている。見ただけでもう直感的に(あ、私って魔術とかの概念ないんだ)と分かっていっそ親切にすら感じた。

 もっとも、優しさはここだけなんだけども。それ以外はもう基本的に意味が分からない。


 “『月光』を得る”ってなに? どういうこと? 月の光を得るとどうなるの? 『月光』ってどういう能力なの? 顕界度ってなに?

 これらの疑問、まぁー解決できませんでした。はい次。


 その下の『月影の秘匿』は名前とテキスト的にステータス隠蔽系の能力だとは思うんだけど、あの、なんでそれで『月光』の実数値が私自身にすら見えなくなってるんですかね……敵どころか自分の目からも秘匿されちゃってますけども。“なるべく数字を見せない”ってこういうこと?

 というかそもそもなんだその説明文は。説明する気あるのか。情報量ゼロっ♡ ゼロっ♡ ゼーロっ♡

 はい次。


 最後の『月光波』ってのはあの、オオカミを両断した三日月型の飛ぶ斬撃みたいなやつ。こいつは最初はステータス欄にはなくて、技の再現や検証をしながら心のなかで勝手に(月光波っ! 月光波っ!)とか言ってたらその名前で技として登録されちゃったっぽい。

 たまに(月光スラーッシュっ!)とか(触手スラーッシュっ!)とかも叫んでたんだけど、そっちは親友に「ダサいと思うわ♡」って言われて没になった。『月光波』はオッケーらしい。


 ……まあどんな名前でステ欄に出てきたところで結局、具体的な性能が開示されたわけじゃないんですけどね。相変わらず説明文がただのフレーバーテキストでしかない。

 つまり自分の肌感覚と検証の範囲でしか使い勝手が分からない。そもそも分類は魔術なのか武術なのか。このゲームでは技は大抵そのどちらかに分類される、らしいのだけども。

 いや魔術ではないだろうけど、しかしじゃあ武術かというとそれも違いそうで、だけど違うと断定することすらできない。


 一応この『月光波』と、あとー、他にもいくつか分かったこの体の特殊仕様は『月光』を消費して発揮してるっぽい、ではある、うん。

 消費するということは『月光』は魔力的な扱いで良いのか? でもステ欄の表示位置は身体素養・技量素養と並んでる──つまり魔術素養的な、基本三大素養扱いっぽくもある。

 そもそも魔力と違って『月光』ゲージ的なのが存在してるわけでもないし。消費してるっぽいというのすら“なんかそんな気がする”という感覚的なものだ。


 んもー、とにかくよく分からん。

 とりあえずあれか、今のところ『月光』は“魔力っぽいけど魔力じゃない固有ゲージ(ゲージはない)” であり、同時に“その算出元にあたる魔術素養っぽいけど魔術素養じゃない固有素養(数値不明)”でもある──とでも思っておけば良いのか。どうなのか。


 ……存外、内部システム的には魔術素養・魔力と同じだけど雰囲気出すために名称と表示だけ変えてる、なんて可能性もあるかもしれないけど。

 アバターや出自の違いという個性をこういう細かな部分で演出している、的な。

 

 んまー、それはそれで凝っていて良いと思う。

 分からん分からんと愚痴っぽく言っているけれど、その辺も含めて私は現状、このゲームをかなり楽しんでいる。たとえ魂を触手の化け物あらため謎の月の触手扱いされたとしてもだ。

 なにより、ネネカさんというグッドお姉さんが過ぎるときめき存在に出会えたわけだし。


 

 ……いやごめんやっぱもっかい聞いて良い?

 月の触手ってなに??


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