人の世に疎いってことは、ひとでなしってことですか?
ルミナリア・フォン・シルヴァーナ辺境伯令嬢は、眼前で繰り広げられる光景に思わず頭を抱えた。
「ねえ、ルミナリア様。今度の夜会のドレスはどれがいいかしら?」
一目で高級品だとわかるたくさんのドレスを部屋に広げ、鏡の前で自分にあてて楽しそうにほほ笑む無邪気な令嬢に、ルミナリアは激しい頭痛を覚える。そして、こういうときに愛想笑いのひとつもできない自分を呪った。
ルミナリアは、代々「聖女」を輩出してきたシルヴァーナ辺境伯家の令嬢である。「聖女」と言っても、何か特別な力があるわけではなく、国の豊穣、平和、発展を祈る象徴的な存在である。聖女は神に仕える存在であり、必ず貴族の令嬢から国王の指名を受けて選出される。聖女として国王から指名を受けた貴族令嬢たちは、王都にある中央神殿に集められ、朝から晩まで神に祈りを捧げる生活が強いられる。
そのうえ、清貧や貞淑が求められるため、暗黙の了解で贅沢は禁止、服装も細かい規定があり、基本的には体の線が出ないローブのような灰色のトゥニカを着て生活することが決められている。
ルミナリアは、聖女として十歳のころに指名を受けてから六年間、神殿の決まりを守り、朝から晩まで祈りの修行、空いた時間で祭事や儀式に出席して休みなく働いていた。祈りの修行では、神殿から馬車で半日ほどの星廻りの泉につかって行うこともあり、寒い時期に修行を行うと熱が出ることもあったが、「熱が出るのは修行が足りないから」と言われ、どんなに体がつらくても意識が朦朧としていても、自分に鞭を打って聖女として勤しんでいた。
そうして着実に聖女としての務めに励むルミナリアは、次期「星乙女」候補のひとりとして地位を確立させていった。
「星乙女」とは、年にいちど行われる国の重要な神事「星廻りの儀」を行う聖女のことだ。ルミナリアが住む王国では、寒くなると日の光が出ているのは数刻ほどの闇の世界に包まれ、暖かくなると一晩中明るい光の世界になる。この明るくなるタイミングで、「星乙女」が三日三晩聖火の前で祈りを捧げ、光の世界を迎えることができた感謝を神に伝えるのである。
この「星乙女」に選ばれるのは名誉なことであり、「星乙女」に選ばれた令嬢は、聖女の使命を終えると、よい結婚相手に恵まれるとも言われており、他の聖女たち――とくに下位の貴族家出身の令嬢たちがひそかに憧れる地位でもあった。
聖女だった経歴を持っていれば、たいていは、その任が終わると引く手あまたであるが、「星乙女」だけは別格である。数代前の「星乙女」は当時の王太子に見初められ、そのまま王妃になったと言われているくらいだ。
次期「星乙女」はルミナリアで間違いないと、神殿関係者から貴族たちまで誰もがそう確信していた矢先、状況は一変した。突如として、中央神殿の大神官長の孫娘であるコルネリア・ルクス侯爵令嬢が、有力候補として舞い込んできたのだ。
「コルネリア様は、大神官長猊下の血を引くお方。聖なる血筋に恵まれ、生まれながらにして神の寵愛を受けていらっしゃる」
そんな謳い文句がまことしやかに囁かれ、ルミナリアの長年の努力はまるでなかったかのように扱われた。コルネリアは、ルミナリアと同い年の十六歳。神殿に入ってまだ半年だという。
「大神官長猊下の孫娘だからって、そんなに簡単に『星乙女』の候補になれるなんて……」
同期の聖女たちが陰で囁く声が、ルミナリアの耳にも届く。もちろん、正面切って文句を言う者はいない。大神官長の権力は絶大だ。逆らえば、聖女としての立場すら危うくなる可能性がある。国王に指名されたとはいえ、実際の監督者は大神官だ。ルミナリアも、そのことはよく理解していた。しかし、仮に「星乙女」に選ばれなくても、それはそれでいいやという思いもあった。辺境伯家が代々聖女を輩出する家系だったのでこれまで大人しく聖女の勤めをこなしていたが、本当は心の底からうんざりしていたのである。
聖女は、おいしいお菓子も、脂っこい食事も、何もかもが制限される。このまま「星乙女」になれないのなら、さっさと辺境伯家に引っ込もうと、当の本人はのんびりとしたことを考えていた。
しかし、ルミナリアにとって、想定もしていないことが起こった。「星廻りの儀」の準備が本格的に始まった頃、神殿長からルミナリアへ呼び出しがかかった。
「聖女ルミナリア。君には、星乙女となるコルネリアの補佐として、『星廻りの儀』の準備を手伝っていただきたい」
神殿長の言葉に、ルミナリアは思わず息を呑んだ。補佐。そんな馬鹿な仕事があるだろうか。先代の「星乙女」はたったひとりでその責務を全うした。もちろん、彼女のたゆまぬ努力を知っていたので、他の聖女たちも自然と前「星乙女」を支えようと立ちまわっていた。「星乙女」になれないなら聖女の任を辞退して好きに飲み食いしようと考えていたルミナリアは、目前でごちそうを取り上げられた気分に絶望を覚える。
「補佐だなんて、わたくしには恐れ多いことです。コルネリア様なら立派に『星乙女』を務めてくださるはずですわ」
ルミナリアがなんとかごちそうを取り戻そうと言葉を紡ぐが、神殿長は冷たく遮る。
「これは喜ぶべきことだぞ。ルミナリアの能力を高く評価してのことだ。ルミナリアに対する神殿の期待でもある」
期待。その言葉の裏には、逆らえばどうなるかわかっているだろう、という脅しが見え隠れしていた。聖女を辞めるにはいろいろな方法があるが、神殿に暇を出された聖女は、たいていが悲惨な目を迎える。「神殿に見捨てられるほどの瑕疵があった」と見られるからだ。ごちそうをどうしても食べたいルミナリアは唇を噛みしめ、神殿長の言葉を受け入れるしかなかった。
こうして始まったコルネリアの「補佐」の日々は、ルミナリアにとって苦痛以外の何物でもなかった。
「ねえ、ルミナリア様。今度の夜会のドレスはどれがいいかしら?」
コルネリアは、神聖な「星廻りの儀」の準備そっちのけで、毎日のようにおしゃれや社交にうつつを抜かす。聖女は贅沢禁止であるが、それはあくまで暗黙の了解である。大神官長の孫娘であるコルネリアは、誰も何も言えないのをいいことに、存分に治外法権を発揮した。
王都の貴族たちが催す夜会や茶会には全て顔を出し、最新の流行を追いかけ、宝石を買いあさり、香水を集める。もちろん祈りの修行など行う暇もない。彼女の部屋には、「お布施」と称して色とりどりのドレスが山のように積まれ、高級な宝飾品が所狭しと並んでいた。
ルミナリアは、彼女の隣で、ひたすら「星廻りの儀」の準備に奔走した。祭壇に飾る花の手配、儀式に使う聖具の清掃、聖火の燃料の確認、神官たちとの打ち合わせ、儀式の進行表の作成……。本来ならば「星乙女」自身が中心となって進めるべきこれらの準備を、コルネリアはルミナリアに丸投げしていた。
「ルミナリア様、これはどうするの?わたくし、人の世に疎いものですから、まだまだわからないことが多くって……」
そう嘯きながら、コルネリアは頬杖をつき、退屈そうに指先で髪を弄ぶ。「人の世に疎い」という言葉を聞くたびに、ルミナリアの胸には黒い感情が渦巻いた。コルネリアは、俗世間を見下す意味で使っている。つまり、自分は存在そのものが尊いのであって、儀式について手足を動かすことは俗世間の仕事で、そんなことを自分がやる意味がわからないと考えていたのである。
聖女は国の象徴だ。人の世があるから、聖女の存在に意味が生まれる。神殿に入ってそのことを学び、ルミナリアは自分なりに必死に聖女の勤めを続けてきたつもりだ。しかし、コルネリアは違う。コルネリアは、人の世を自分より価値の低いものだと決めつけ、学ぶ意欲もなければ、聖女としての自覚も知識も乏しい。ただ、大神官長の孫娘というだけで、特権を享受しているだけだった。
何より、彼女が毎日ごちそうを食べていることが、ルミナリアには一番許せなかった。本来なら、「星乙女」になれなかった時点で聖女を辞して、今ごろは日がな一日食べて寝て過ごしていたはずだったというのに。
「コルネリア様、この書物には『星廻りの儀』の歴史と意義が非常に易しく――いえ、くわしく記されております。ご覧いただくだけでも、儀式に対する理解が深まるかと存じます」
ルミナリアが何を言っても聞く耳を持たないコルネリアに、なんとか儀式について学習してもらおうと、ルミナリアは比較的平易な書物をコルネリアの前に差し出した。しかし、コルネリアは書物を見ることなく、ふわりと笑う。
「まあ、ありがとう。でも、わたくし、文字ばかり見ていると頭が痛くなるの。ルミナリア様が要点をまとめてくださるなら、助かるのだけれど」
悪びれる様子もなく言い放つコルネリアに、ルミナリアは絶句した。この本は、神殿にやってきたばかりのまだ幼い聖女が読むような内容だ。要点をまとめるまでもなく、コルネリアの年齢であれば、ふつうに読めて当然のものである。彼女は、「星乙女」の地位がほしかっただけで、儀式のことも、聖女のことすら興味がないのだろう。さすがのルミナリアでも、聖女を軽んじるような言動は耐えられなかった。
神殿の決まりでは、聖女は質素な灰色のトゥニカを着るのが常識だったが、コルネリアだけは違った。彼女は、「こんなもの着たくない」という理由だけで、いつも好きなドレスを着て神殿を歩いている。彼女の機嫌を損ねると大神官長に目をつけられると、他の聖女も神官も見て見ぬふりだ。
コルネリアが神殿の廊下を歩けば、甘い香水の匂いが漂い、すれ違う聖女たちは、羨望と侮蔑が混じった視線を投げかけた。
ルミナリアは、そんなコルネリアの姿を見るたびに、胸が締め付けられるような思いがした。自分たちがどれだけ節制し、清貧を旨として生活しているか。食べたいものも我慢し、したいおしゃれも我慢して、それでも国のためだと身を粉にして働いているというのに。それなのに、彼女だけが、治外法権でごちそうもおしゃれも楽しんでいる。他の聖女たちのことを思うと、ルミナリアは罪悪感に苛まれることもあった。
当然、コルネリアは星廻りの泉での修行を行うことはない。真冬の凍てつく泉につかり、身を切るような冷たさに耐えながら祈りを捧げる聖女たちをよそに、コルネリアは暖かい舞踏会で華やかに踊り、ただただ無邪気に、あまりにも無邪気に笑っている。厳しい修行に倒れる聖女がいても、顔をしかめて労いの言葉すらかけることはない。
ルミナリアは、コルネリアの補佐であっても、星廻りの泉の修行を免除されることはない。凍えた体に鞭を打って、コルネリアのために「星廻りの儀」の進行表を修正し続けた。体力の限界、精神の疲労、そして何よりも、手に入るはずだったごちそうへの憧憬。ルミナリアは心底疲れ切っていた。
そして、ついにその日は来た。「星廻りの儀」まで、残すところ一週間を切ったある日のことだ。
その日は、儀式で使用する聖火の最終確認が行われる日だった。聖火は、「星廻りの儀」において最も重要な要素の一つだ。三日三晩燃え続ける炎を維持するためには、常に薪と種火をくべ、適切な管理が必要不可欠である。ルミナリアは、前日から入念な準備を重ね、聖火の台座の清掃から薪や種火の確認まで、全てを完璧に整えていた。
「コルネリア様、聖火の最終確認をお願いいたします」
ルミナリアが恭しく頭を下げると、コルネリアは大きくあくびをした。
「あら、もうそんな時間?わたくし、夜会で疲れてしまって……」
そう言いながら、コルネリアは聖火に近づき、ちらりと一瞥する。
「……これでいいんじゃないかしら。ルミナリア様が準備してくださったのでしょう?わたくしは人の世に疎いものですから、すべてお任せいたしますわ」
無責任な言葉に、ルミナリアはすべてが馬鹿らしくなった。どうしてこんな女のために、自分が我慢をしなければならないのだろうか。神殿を追い出されたからなんというのだろう。家族はきっとルミナリアを見放さないし、仮に辺境伯家に戻れなくとも、こんなところにいるよりは田舎にある小さな教会で修道女をするほうがよほどましだ。
「人の世に疎いって、いつまでそれが通用すると思っているの?」
淡々と、しかしはっきりと告げられた言葉に、コルネリアは眉間にしわを寄せる。
「人の世に疎いってことは、ひとでなしってことですか?」
その瞬間、コルネリアの顔から笑みが消え去った。呆然とした表情でルミナリアを見つめるコルネリアの瞳には、初めて恐怖の色が浮かんでいた。周囲にいた神官たちも、ルミナリアの言葉に驚き、息を呑む。彼らは、これまでルミナリアがまじめに修行に励み、一切弱音を吐かずに聖女としての任を全うしていたことを知っていたので、あまりにもルミナリアらしくない態度に戸惑っていた。
「あ、あ、あなた……わたくしにそんな口をきいていいと思っているの?」
顔を真っ赤にして言い返すコルネリアに、ルミナリアは小さく笑う。
「あら、そんなふうに怒っていると、塗りたくった化粧が崩れてしまいますよ?」
「あなたなんか、おじいさまに言いつけて神殿から追い出してやる!」
「いいわよ」
ルミナリアの即答に、コルネリアは言葉を失った。
「言いたければ言えばいいわ。でも、『星廻りの儀』はどうするの?進行表を作成したのも、儀式の準備をしてきたのもわたくしよ。わたくしがいなくなって、儀式がきちんと行えるのかしら」
そう言って馬鹿にしたように笑うと、コルネリアは肩を震わせる。
「あなたなんていなくても、儀式はわたくしひとりでやってみせるわよ!」
コルネリアの啖呵に、ルミナリアはにっこり笑う。
「すばらしいお覚悟ですわ、コルネリア様!では、こちらが儀式の進行表です。陰ながら応援しておりますわ。それではごきげんよう」
言うが早いか、ルミナリアはさっさとその場をあとにする。分厚い進行表を渡されたコルネリアは呆然とその場に立ち尽くし、周囲の神官たちはコルネリアと目が合わないよう黙々と自分たちの作業に戻った。
ルミナリアは、神殿の自室に戻ると、すぐに私服に着替えた。灰色のトゥニカを脱ぎ捨て、代わりに、少し地味ではあるが、動きやすい旅装を身につける。聖女として神殿に入って以来、久々に身につける自由な服だった。
ルミナリアはこんなこともあろうかと用意していた聖女を辞退するための「辞表」を握りしめ、神殿長のもとへと向かう。神殿長は驚いて目を白黒させているが、ルミナリアは笑顔で辞表を押し付けた。
「コルネリア様に『出ていけ』と言われてしまいました。こんなわたくしに補佐は務まりません。また、『星乙女』の不興を買ったわたくしは、聖女にふさわしくありませんので、本日をもって聖女を辞退させていただきます」
「ま、待て、それは……」
「あら、コルネリア様のお言葉ですよ?いいんですか?」
ルミナリアが言い放つと、神殿長は辞表を握りしめて黙り込んだ。ルミナリアにこのまま出て行かれるとまずいと思いながらも、コルネリアに逆らって大神官長に目をつけられるのを恐れているのだろう。
神殿長の沈黙を肯定と受け取ったルミナリアは、「今までありがとうございました」と礼をしてそのまま神殿を出て行く。
ルミナリアは、神殿の裏口から堂々と抜け出した。門番は彼女の姿を見て一瞬驚いたようだったが、すぐに表情を引き締め、何も言わずに門を開けた。おそらく、コルネリアとの一悶着は、すでに神殿中に知れ渡っていたのだろう。もうどうでもいいことだと、ルミナリアは振り返ることなく、辺境伯領に向かう乗合馬車にためらいもなく乗り込んだ。
ルミナリアが辺境伯領に向かっていたちょうどそのとき、神殿では大混乱が起きていた。
「コルネリア様、聖火番の人員配置はどうなっていますか?」
「進行表のこの部分は、どういう意味ですか?」
「祭壇に飾る花が足りません!」
コルネリアは、神官たちの質問攻めに、顔を真っ青にしていた。彼女は、ルミナリアから渡された分厚い進行表を睨みつけるが、そこに書かれている専門用語の羅列は、彼女にとってはまるで呪文である。
「わ、わたくしに聞かないで!ルミナリアに聞けばいいでしょう!」
しかし、ルミナリアはすでに神殿にはいない。神官たちは、顔を見合わせ、途方に暮れるばかりだった。
儀式まで、残された時間は刻一刻と迫っていたが、今まで夜会だなんだと逃げ回っていたコルネリアに、儀式の準備を進めることなどできるはずがない。しかし残った聖女たちは、誰ひとりコルネリアを助けようとしなかった。コルネリア自身も、他の聖女のことなどこれまで眼中になかったのと、侯爵令嬢としての自尊心で、素直に頭を下げることができなかった。
その年の「星廻りの儀」については、詳細な記録が残っていないため、何が起こったのか他の人々に知ることはできない。「星乙女」が祈りの最中に倒れたとか、大神官長が国王により罷免されたとか、王都は騒がしかったようだが、辺境伯家に戻ったルミナリアはごちそう攻めにあっていたので、そんなことを気にする暇は一切なかったのである。
彼女の帰還を心から喜んだ家族は、連日、彼女の好きな料理を食卓に並べた。肉汁滴るローストビーフ、香ばしい焼き魚、甘酸っぱいベリーのタルト。神殿では決して口にすることのなかった、豊かで脂っこい料理の数々が、ルミナリアの胃袋と心を存分に満たした。
ルミナリアは、窓から見える辺境伯領の穏やかな景色を眺めながら、温かい紅茶を口に含む。王都の喧騒も、神殿のしがらみも、今は遠い過去の出来事のようだ。彼女の心には、清々しい解放感と、満ち足りた幸福感が広がっていた。
夜になっても明るい空を見ながら、ルミナリアは小さくほほ笑む。
「どんなときでも神は働き者なのね」
彼女の目の前には、昼食で食べきれなかったチョコレートケーキの残りがある。やわらかなスポンジにフォークを通して一口食べるだけで、言いようのない多幸感がルミナリアを包み込む。
人間たちが何をしてもしなくても、季節はめぐっていく。人の世をつくるのは、神ではない。やはり人なのだと思い知らされる。神殿にいる者たちは、自分たちをふつうの人よりも一段上の存在だと勘違いしていた。ひとでなしが多くなるのもやむなしだと、ルミナリアは、チョコレートケーキをもう一口食べ、満足げに目を閉じた。