第二話:一瀬蒼
今回は蒼さんたち視点です。
結局あれから大した魔物も出ずに無事護送は終わり私は魔法少女協会に報告していた。
報告と言っても彼女のことは言えないし、ビッグベアーが出たこと、少し苦戦したものの討伐したこと、護送を終えた事。そして、その日は少し浮かれながら家に帰り家に着くと両親に喜んでS級になれる事を報告した。
すると、両親は泣きながら褒めてくれた。嬉しかった。私も泣いた。お姉ちゃんも褒めてくれた。
「蒼はすごいね。誰かに無理だって言われても頑張って。私なら諦めちゃうよ」
って、嬉しかった私の努力が認められた気がした。私はもう少しだって言われなくなって嫌われたと思っていたけどちがった。みんな私が苦しまないようにもう少しだって言わないでくれていた。
それがわかって嬉しかった。
けど少しモヤモヤした。けどあの彼女がいなくても無事護送は終わった。
そう自分に言い聞かせ、その日は眠りについた。
次の日魔法少女協会から連絡があった。
私は喜んで行った。魔法少女協会とは魔法少女のランクを決めたり任務を渡したりするところだ。
そこで私は魔法少女協会会長、ノワール様のところに行った。彼女は世界に2人しかいないSS級魔法少女の1人だ。
部屋に入ると話が始まった。
「まずは、おめでとう。君もこれで今日から数少ないS級魔法少女の1人だ。と言いたいのだがその前の一つやらねばならないことがある」
「何をするのですか?」
そう私が疑問をぶつけた瞬間会長が急接近してくる。
「!?」
「選別だよ。だってただ功績があってS級任務を何回かやったらオッケーなんて簡単すぎるじゃないか」
「簡単ですか、、、」
私はそれに一年かかったんですけどね!と言ってやりたいが我慢だ。
会長がフェイントを掛けつつ迫ってくる。しかし遅い手加減してるのだろうが遅すぎるこの程度魔法を使わなくとも躱せる。そう思考し最小の動きで躱そうとすると急にスピードが上がる。
「っ!」
「おいおい油断しすぎなんじゃないか?魔物や魔女はともかく魔族は狡猾な手を使って騙してくるぞ?」
そこから体勢を整え瞬時に動きを変えなんとか避ける。
「ほう、なかなかやるな、身体能力だけならS級中位並みだぞ」
「しかし魔法どころか魔力すら使わないのはどうかと思うぞ」
見ると会長は魔法で身体能力を強化しつつ魔法を放って来ている。
「アイスランス!」
私も瞬時に魔法を放つ。
「ほう、魔法なかなかいい魔法だなしかしアイスランス程度効かっ!?」
瞬間、会長は驚愕する。なぜなら私が放ったのはアイスレインじゃなくファイアーウォールだったからだ。
そして会長は、アイスランスように炎魔法を出している。
しかしもちろん本気ではないため、私のファイアーウォールに呑み込まれ会長の魔力でファイアーウォールは強化される。
「無詠唱か、しかも別の詠唱をしながら反対の属性の魔法を打ってくるか。、、、もう頃合いだな」
会長が何か言っているが私は構わず炎の壁を会長にぶつける。
しかし、炎の壁は会長にぶつかることなく消えた。
「アイスウォール」
そして私はそのまま氷の壁にぶつかり、意識が落ちる。
けれども、その前に会長の
「合格だ」
と言う声が聞こえたため満足しながら眠りについた。
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視点変更
「君の妹、すごいね」
私は彼女、ノワールに合うなりそう言われた。
なるほど、蒼を試したのか
「ありがとうございます。話があるので少しこちらに来ていただけませんか?会長」
私がそういうとノワールが逃げようとしたため首根っこを掴み執務室に連れ込み話しかける。
「会長、少しお話を聞かせていただけませんか?私の妹の話」
「え、いやぁ、まぁ、すごかったよ」
「詳しく教えてください。ね?」
そして私、一瀬茜音はことの顛末を聞いた。
「会長?私の妹に試験はいらないって言いましたよね?あなたも承諾しましたよね?」
「けど、茜音が強いって言うほどだからどれほどか気になって」
実は彼女、茜音はかなりシスコンである。が、それを抜きにしても彼女一瀬蒼は強かった。S級中位並みだった。
「あの子は、自分で無理だと思ってしまってるだけでS級任務程度いくらでもできるのにやらないから」
「にしても、妹ちゃんよく護送上手く行ったね。苦手って聞いてたんだけど」
「そうね、蒼もS級になるなら苦手をなくさないいけないことぐらいわかってたんじゃない?」
「にしても、君のシスコンっぷりには驚いたよ。なんせ魔法少女になった次の日に彼女をA級にしろなんてね」
「違うわ、あの子は魔法少女になる前から魔法もがんばっていたからそれに事実試験の日S級相手に押してたでしょう?」
「まあ、確かに実力はあったけどいきなり新人をA級になんてしたら反感を買っちゃうよ」
「あっそ」
「にしても驚いたよ。彼女には悪いけど彼女は凡才だ。才能がないのにS級になっちゃうんだから」
「違うわよ。蒼は努力の天才よ」
「それを凡才って言うんだよ」
「それより本当の要件はなんだい?」
その瞬間少し場の空気が乱れる。
「昨日あの子が行った森で過去最高の魔力反応が出たわ。それもおそらくSS級よ」
「そうか対応が必要だね、それで魔物かい?ないだろうけど魔法少女?魔女?それとも魔族?」
「違うわ、そのどれでもない魔力よ」
「もしかして、、、」
「えぇ、“ブラン”の魔力よ」
それを聞いた瞬間ノワールがガタッっと立ち上がる。
「落ち着きなさい。向かっても今は消えてるから居るかもわからないわよ」
「けどっ!」
「安心しなさいもう捜索はさせているわ。それにあなたも人の事言えないじゃない」
「ひどいな、23年ぶりに妹に会えるんだぞ」
「伝説の“始原の吸血姫の片割れ”のノワールがこんなシスコンなんてね。そもそも、会長が吸血姫なんてバレたら終わるわよ」
「大丈夫だよ。食事と排泄が必要ない事以外はSS級だからで片付くからね。それに食事と排泄もできるしね」
「寿命もないけどどうするのか気になるわね」
「そこら辺はうまくやってるんだよ、自分に関する情報を全て”存在しない誰か“に置き換えて記憶を消したりね」
「怖いわね。じゃあ、今日はここら辺でさようなら」
「じゃあ、またね」
魔法少女協会会長、吸血姫ノワールは笑う。
「あの子に久々会ってあげないとね」
間に合いました。
明日は多分結構出します。






