表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

孤独のヒーロー

作者: 蒼井空

 サラリーマンである主人公は、ふとした瞬間、子どもの頃にヒーローになりたかったのだと思い出し、今更無理だと思っていたが一日に少しだけヒーローになれた話しである。

 俺は、34歳の独身で中年のしがないサラリーマンである。


 務めている会社では平々凡々な毎日を送っているが心の中でぽっかりと穴が空いているようだった。


 なぜかいつも虚しい気持ちがふつふつと湧いていたがいつしか仕事に手がつけられなかった。


 会社にこれまで貯めていた有給をとり、家でぼーっと天井を見つめていた。


 時間がドンドンと過ぎていき、いつしか焦りが出て、ソワソワしてしまう。


 俺は、ふと子どもの頃の夢を思いだす。


 夢は、誰でも愛されるヒーローになりたかった。


 テレビでいつも流れているアニメや特撮に出てくるあんな輝く【ヒーロー】みたいに自分は、なりたかった。


 いつも家の中では、「変身!」とか「正義のヒーロー〇〇」とか勢いを身に纏っていた。


 だがそれも【成長】していくごとに言う機会がなくなっていったのだ。


 それはなぜか【大人】になりそれを想う気持ちがだんだん恥ずかしくなり馬鹿馬鹿しくなったからだ。


 だから皆、子どもの時の純粋でキラキラと瞳を輝かせた頃を忘却の彼方に消し去ってしまったからだ。


 その一員が俺である。


 ふと俺は、新鮮な空気を吸うために外に出る。


 辺りは、まだ陽光が差していないが青色に街が染っていく。


 俺は、簡単な身支度をして散歩に出かける。


 ドンドン自宅から離れいくと数分時間が経っていたと思っていたら道端にゴミが散乱していた。


 きっとカラスがエサを求めて突っつき復路を破いたのだろう。


 俺は、なんだか無償に気になり、無視すれば勝手に誰かが処理するだろうと歩こうとするが心にある言葉が囁く。


 それで良いのかとーー


 俺は、何度も何度もゴミ捨て場をチラ見していたがとうとう根負けしたのか汚いゴミを手で片付ける。


 汚い、触りたくないの嫌悪感を押し殺し、しかめっ面をしながら淡々と作業する。


 俺は、手をパンパンと払いまた歩き出す。


 そして次に会ったのは、帽子だった。


 誰かが気付かずに落としたのかあちこちに踏まれたのかフニャフニャに変形し、土や泥がついていた。


 帽子を手に取り、土や泥をはたき落とし、ひっそりと電柱の棒に立てかけておく。


 本来なら放置を決め込んいたであろうが今日は、なぜだか自分でも不思議な行動をする。


 俺は、帽子に向かって念じる。また持ち主が貴方を見つけてくれるようにと心に願い、歩き出す。


 辺りは、すっかりと朝が登り、皆が登校もしくは出社する時間帯になった。


 そうして三十分ぐらい経つと幼稚園があった。


 園児らは、元気な声を出して遊んでいた。


 俺は、遠目に無邪気でかわいいなぁーーと想っていたら、車が近くに止まっていた。


 そこには、泣き叫ぶ一人の園児がいて、泣き止ませようと必死にあやすお母さんがいた。


 どうやら園児は、母親と離れたくないようで甲高い泣き、張り上げていた。


 母親は、「どうしようどうしよう」と悩んでその場で頭をぐるぐる回していた。


 俺は、そっと近づき驚かせないよう優しく肩を叩く。


 お母さんは、こちらに向かい合い「すみません。すぐ泣き止ませますので……」と申し訳ない顔を浮かべていた。


 俺は、母親に「任せてください!」と自信たっぷりに胸をドンと叩いた。


 泣き叫ぶ園児に向かい合い渾身の変顔をしてみせる。


 タコの茹で顔や猿の顔をしていたらいつしか泣き止み、ウケたのか園児は、キャッキャッ笑った。


 母親は、「ありがとうございます!!」と頭を九十度に下げたのだ。


 俺は、「気にしないでください。私も楽しかったですよ、子どもあやすの」と言いそこからそそくさと離れていった。


 またまた進んていくと公園についていくと、ベンチに座る中学生がいた。


 中学生は、辛そうな表情を浮かべ、今にも倒れそうな勢いを醸し出していた。


 俺は、急いで駆け込み「大丈夫か!?」と聞く。


 中学生は、「み、みず……を」と僅かに残った力を振り絞りかすれた声を出していた。


 俺は、ポケットにあった百円を自販機に入れ、ミネラルウォーターを乱暴に取り出した。


 中学生の口に少しずつ水を流し込み、背中をさする。


 中学生は、落ち着いてきたのか息が整い正常に呼吸する。


 その場でへたり込みなんとか最悪の状況は、回避したのだと安堵した。


 中学生は、こちやに気づき握手する。「あ、ありがとうございます!助けてくれて」と述べられた。


 俺は、背中がむず痒くなりそうになりながら、どうしてあんな事になったのか聞き出す。


 中学生は、暗い顔をしながら己の心の内を切り出す。


 中学生は、どうやら学校に行きにくくなり、ここで休憩していざ行こうとしたが心臓が急に気持ち悪くなったそうだ。


 俺は、ベンチの空いている所に座り、一人の人間として意見した。


 俺は、「別に無理しなくても良いんじゃないか?負担をかけ続ければ君が参ってしまうだろ」と優しく問いかける。


 困った顔をしながら、「そんな事はできませんよ……」と弱々しく言う。


 俺は、中学生の背中に元気を注入し、励ます。


 俺は、「大丈夫……君は頑張ってる!」とエールを送る。


 中学生は、ジーンとなったのか目に涙が滲んでいたが腕でゴシゴシと拭き取り、前を向く。


 中学生は、お礼をいい学校に向かっていった。


 最後に、車がよく通る場所に、行ってみたら頭を抱え、青ざめている若い社会人がいた。


 俺は気になり、社会人に話しかけると内容は、タクシーに乗るお金が足りないそうだった。


 社会人は、「どうしよう……今日は大事なプレゼンがあるのに……」と今にも泣きだしそうになっていた。


 俺は、無言で彼の手に五千円を手渡した。


 彼は、驚愕し、受け取れないと言ったが俺は、返さなくても良いから今は、急ぎなさいといった。


 ちょうど近くにタクシーが来ていたのでピーーンと手を伸ばし合図を送る。


 俺は、強制的に彼を押し込め出発させた。


 彼は、後ろの窓から深々と頭を下げてプレゼンをしにいった。


 俺は、そろそろ自宅に帰るかと思いカツ、カツと靴の音を軽快に鳴らしていった。


 今まで行ったのは、もしかしたらヒーローになりたかった自分の欲を満たすためのエゴかもしれない。


 それか偽善者を騙っているかもしれない。


 だがそれでも自分が損な役目であっても周囲に目をむけてみると良いかもしれない。


 誰かが人知れず【感謝】をしているかも。


 だからちょっこっと、ほんのちょっこっとでも良いから誰かを手助けする行動をしてみては。


 俺は、もうやり直さないが君にならできるかもしれない……自分のヒーローとしての役割が。

 どうも初めての方は初めまして。そして読んでくさった方はありがとうございます。

 作者の蒼井空あおいそらです!

 今回【孤独のヒーロー】を書きましたが皆さんが最後まで読んでくださりありがとうございした。

 感想や星を貰えると作者は泣いて喜びます。

 それではまたどこかでお会いしましょう!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ