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バカとバカを掛けてもやっぱり馬鹿な茶番劇

作者もバカなので許してください。('ω')

「菱谷ミドリ!お前とは絶交だ恥を知れ!」

とつぜん見知った男の子、笹尾ユウタが怒鳴りこんで来た。隣に住んでいて幼稚園から中学まで学校が一緒だった。


ただそれだけの男子。


「あ、クラス間違えてるよ。バイバイ」

「ん?ごめんごめん……じゃなくて!」


なんなのよ、卒業式あとのお別れ会の準備で忙しいっての!折り紙で作った鎖が切れたじゃないのよ、弁償しやがれ。

「笹尾くん、断罪ごっこは家でやってくれ」

机を円に並べていたクラス委員長から苦言が飛ぶ、私のクラスメイトらも笹尾ユウタを睨みながら準備に勤しむ。

「ごっこじゃない!そいつ菱谷ミドリはだな妹のハルカたんを苛めていたのだ!なぁ?ハルカたん」

笹尾ユウタの背後から小柄な少女がおずおず顔を出した。

「そうよぉ、いつもおねぇちゃんに虐められてて……グスン。昨日も昇降口前の階段から突き落とされてグスングスン」

「これを見ろ!可哀そうに転げて突き指したんだぞ!」

「そうよぉ、すっごーく痛いんだからぁ」

「え、階段落ちしたのに突き指で済んだの?ていうか冤罪だけど」

「うるちゃい!おねぇちゃんのバカぁ!ハルカが可愛いからってヒドーい!ぷんぷん!」


喋り方うぜぇとクラスの女子数人からヤジが入る。

「誰だ!ハルカたんをバカにしたヤツ!」顔を真っ赤に染めて教室全体に睨みをきかせる笹尾。

だが「おめぇもウゼェよ、邪魔だから失せろ!」ちょっと人相が悪目の男子が怒鳴ると笹尾は情けなく悲鳴をあげて尻餅をつく。


友人のチナツが「あんたの妹だいじょうぶ?とくに頭の中」と慰めてくれた。

「ああ、うん。たぶん最近ハマった恋愛ゲームを真似てんだと思うわ」

「ひょっとして【王都学園に恋花は舞うんだぞ☆】っていうクソゲー?」

「そうスマホ用の痛いクソゲー」


タイトルからバカ丸出しの有名クソゲー、あまりの酷いシナリオが逆に笑えると一時流行ったゲームだ。

今年やっとスマホが貰えた妹が見事にクソゲーにドはまりして鬱陶しいったらない。


「わたし、あの腐れバカ王子が嫌いでさー。裏ルートで逆断罪したくて課金しちゃったのよ」チナツお前ってヤツは!そういうと好き!

「まじ?断罪後はどうなるの?」

「それが妹令嬢は実は豚の化物で、バカ王子を誑かした罪で焼豚刑に処されてね。バカは平民落ちして乞食になってた」

「なにそれ!爆ワラ!」

二人で笑いながら紙コップと皿を並べていたら、笹尾ユウタが床に叩きつけた。

「なんてことするの!?」


「ウルサイ!いい加減バカにした態度はやめろ!ミドリ、お前とは別れてやるからな!俺はハルカたんと結婚するんだ!」


へ、誰がいつお前と付き合った?


「きゃーぁ!恥ずかしいよぉユウタァ~大シュキ♪」

「ハルカたん!」

「ユウタぁ!」

ガン無視して落ちた紙皿を拾い上げていたらドカンと大声が教室に轟いた。


≪三年D組笹尾ユウタ!!!二年F組菱谷ハルカ!!両名は落第が決定した!大至急指導室へ来なさい!一カ月前に通告しておいたでしょう!なんで呑気に遊んでるんですか!御両親も見えてます早く来なさい!≫


「ら、落第って先生!?」

「笹尾くん、卒業資格がないってことです。言いましたよね?卒業再試験と特別授業をひと月受けるようにと」

「え……え……俺は剣道の地区大会優勝で免除だったのでは」

「はぁ……片田舎高校の部活如きで免除のわけないでしょう!バカですか!小さな町で優勝したくらいで図にのるんじゃありません!」

笹尾ユウタはガクリと膝から落ちた。

再試験無視ってなにやってんだ?


「せんせぇえ?なんで落第なんですかぁ?わたしぃ可愛いし読モ経験もあるしぃ」

「あなた……全テスト白紙提出で進級できるわけないでしょう、読モってただの一般人です」

全教科白紙という偉業?にクラス中が騒めいた。


「えぇえ!?おかしいですぅ!校長だって雑誌に載ったの見せたら褒めてくださったんですよぅ」

「たった一度だけ雑誌の隅に2cmほど掲載されただけでしょう……褒めようがありません。呆れてたんですよ学業と無関係でしょうバカ者が!」


校長の呆れた長い長い溜息を、感動した溜息と勘違いしていたようです。

それにしても何故ファッション誌を見せた?田舎の中年にわかるわけがないでしょう。


ひどいひどいと泣き喚いてますが、たったひとつ嬉しいことがあるじゃないですか。

「良かったね、4月からも二人とも高校生のままだよ!うらやましい!」





クソを書くのはむずい

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