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第一五九話 「任務解除、内地へ戻る」

 昭和16年8月4日。

 サイゴンの洋風な街並み、茶色く濁りながらも悠々と流れる川のせせらぎ、熱帯独特のジャングルの緑等、南国極まる仏印の風景にしばし留まっていた明石(あかし)艦は、この日を持ってふ号作戦部隊参加の任を解かれ、内地で訓練中の第二艦隊へと戻る事になった。作戦自体は極めて順調で、昨日には海軍部隊の最高指揮官である新見第二遣支艦隊司令長官が、それまで将旗を翻していた足柄(あしがら)艦より水雷艇でサイゴンへと到着。仏印の要人と会見を開く余裕も生まれている。明石艦自体も工作任務はそれほど多忙な物にはならず、工員さんの方々もお仕事に汗を流すより慣れない熱帯の気候に手拭いを濡らした印象が強いくらいであった。

 艦魂達の側でも明石の下に患者が来るような事は無く、陸軍や海軍の徴傭船の働きぶりを存分に見学できる機会に恵まれた。同時にその命達とも親交を築いており、海軍艦艇の仲間達とは違う意識、雰囲気、考え方に触れた事は、彼女にとっては近い内に特設工作艦の者達を指導する上での確かな研鑽に繋がる。だから長官を運んできた水雷艇の艦魂が、作戦部隊参加の任務解除の報と足柄からの別れの言伝を持ってきても、明石はちっとも寂しいとか悲しいなんて気持ちにはならなかった。


出雲(いずも)先生と無二の友である御師匠、朝日(あさひ)軍医中将によろしく、と。それから、辞書片手でも構わないので、英語の本をどんどん読んでみると良い、との事でした。』

『えへへ、そっか。うん、ご苦労様でしたぁ。』


 僅かな日数ながらも英語の個人教授をしてくれた足柄には、他にも礼式やそれを生かした艦魂としての生き方なんも教えられ、良い勉強にもなった上に大切な思い出も作ってもらえた。こうなると直に伺って一言挨拶できればなと思いつつも、親友を含めて鋭意訓練しているだろう第二艦隊の仲間達との合流を控えているので、その希望にそれ以上を火を灯す事は無い。伝令役の水雷艇の艦魂に返す形での足柄宛ての言伝を頼み、慌ただしい出港準備中の艦内へと明石は戻っていく。

 大変に良い勉強をさせてもらった足柄の博識さと息災ぶりを、その姉妹である第二艦隊で待つ那智(なち)や妙高らにも話してあげようなんて考えながら、意気揚々と帰国に備えるのだった。




 8月10日。

 明石艦はその軍艦旗を、瀬戸内海の玄関口たる四国は宿毛湾へと進めていた。

 毎年お世話になっている作業地だから、明石のみならず乗組員達にとってももはや見慣れた風景の中、湾を圧して停泊する浮かべる城の群れにも見慣れたシルエットは数多い。それらは皆、日本海軍最精鋭にして日本海海戦以来の誉れも高い帝国海軍第二艦隊の艦艇群だからだ。明石艦が追随していた先月頃はしばらく第一艦隊、第一航空艦隊と一緒に後期訓練を行い、待機する作業地もほとんど一緒であったりもしたが、どうやら合同での訓練は既に一区切りついていた様で、宿毛湾の緑に映える艦艇群の中には戦艦や空母の姿は無い。

 甲板でその光景を目にした(ただし)は、少し残念そうにしながら言う。


『そういえば、横須賀いた時にどでかい空母見たんだよな。まだ竣工してないのかな? 一航艦あたりに配属されるだろうから、上手くすれば見れると思ってたのに。』

『くうぼぉ? 新鋭の? ふーん、飛龍(ひりゅう)とかからは何も聞いてないけどな。ま、いいや。とりあえず私、高雄(たかお)さんとこ行ってくるね。』

『ああ、わかった。あ、オレこの後に副直入るから。』

『はいはーい。』


 下級士官として経験を積み、士官次室でもまあそれなりに格もついてる忠だが、心の根本にはやっぱり少年時代に抱く強い物への憧れがまだまだ残っている。明石艦勤務という境遇を微塵も不満には思っておらず、明石は知らないがその配属を熱望して明石艦へと戻ってきた彼に転属志望なんて物は全く無いのだが、戦艦や空母の如き巨艦を間近で目にするのは彼にとってはものすごく楽しい。山奥の小さな農村で少年時代を過ごす中、叔父に海軍軍人がいて時折送ってくれた海軍関係の絵葉書に目を爛々と輝かせ、ラジオで聞く大相撲以外は娯楽らしい娯楽も無かったとなれば、必然的に彼にとっては強さと格好良さの象徴は実際に目にする事のできる軍艦以外には無かったのだ。

 その素朴で無垢な憧れがまだ残っているのかと思うとちょっと子供っぽいなと笑いそうになる明石だが、別段それを矯正しようという考えは沸いてこないし、むしろ自分より年齢はもちろん、容姿の上でも若干年上な筈の彼のそういう所をもう少し見ていたい気分になる。今は何も言うまいと一人ほくそえみつつ、明石は相方に別れを告げると到着の報告の為に第二艦隊司令長官の将旗を掲げる高雄艦、ではなくその隣で錨を降ろす第四戦隊の愛宕(あたご)艦へと赴くのであった。


 例に漏れずその長官公室には高雄と愛宕がおり、何某かの書類を卓上に並べて揃って頭を捻っている所だった。訓練成績か、はたまた海軍部隊全般に関わる大きな戦策に対する考察なのか。難しい事はとんと明石には解らないが、二人とも彼女が入室してくるのを認めるや小難しそうな表情は一変。片手をあげて近づいてきて、肩に手を置いてくれたりしながら遠く仏印までに及んだ明石の労を労ってくれた。


『おーう、明石。おかえり。ほー、少し焼けたねぇ。足柄さんは元気だったかな? あたしの姉弟子に当たるんだよね、あの姉さん。』

『やあ、明石。ご苦労様。仏印はどうだった? 戦闘にはならなかったと聞いてるけど、誰か明石の世話になった艦魂(ひと)はいたかい?』


 部署の最上級の上官という体面からは想像もできないくらいに話し易い二人に声をかけられ、明石の口元は自然と綻んでいく。一応は仏印での派遣任務終了と合流の報告をするも、その光景はそれぞれの容姿も手伝って女学生同士の談笑と変わりない。やがて椅子を勧められて書類が乱雑に並んだ長机をそのままに3人は腰を下ろし、明石の仏印行動時の詳細や喫緊の艦隊の状況なんかを声に乗せ始めた。


 それによると第二艦隊は一時東京湾方面へと巡航した後、第一艦隊や第一航空艦隊と別れた上で宿毛湾へと移動してきたらしく、長門(ながと)艦率いる第一艦隊は佐伯湾、赤城(あかぎ)艦率いる第一航空艦隊も九州沿岸のどこかを作業地にして演習を重ねているとの事。ちなみに明石の師である朝日の分身も燃料廠のある徳山に錨を降ろしつつ、主に第一艦隊向けの工作任務に励んでいるそうである。仏印派遣に一区切りがついてどこかほっとした気持ちも強かった明石だったが、高雄らの語りに内地の仲間達が相も変わらず連日の猛訓練に打ち込んでいるのを垣間見ると、一息つくなんて悠長な事は言っていられない気分になる。第二艦隊の専従的な工作艦として明石の役目はまだまだ終わってはおらず、原隊復帰したなら即座に憂いなく艦隊各艦が訓練に望めるよう支援するという大事なお仕事が待っているのだ。


 故に明石は高雄らへの報告を終えると足早に自身の分身へと一度戻り、もしも患者が発生しても良い様に愛用の薬箱や器具類の点検を行った。本当なら気心知れた同期の利根(とね)や友人の神通(じんつう)那珂(なか)らの所に顔出したい所であるが、遊びに来たのではないのだからと胸の内に唱えて一時自重。自分で作った薬箱の中身の一覧表とかと睨めっこしながら、小一時間ほどかけていつ何時でも対応できるように、彼女自身もまた万全を尽くすのだった。


 そしてようやっと点検が終わってお仕事への憂いを消した後、晴れて彼女は上甲板に上がって湾内に停泊する第二艦隊の仲間達の様子を眺める。夏真っ盛りの陽光と幾分蒸し暑い気温は空気や風は言うまでも無く、鉄でできた明石の分身の熱をもぐんぐんと上げていて、それと連動してか早くも汗がちょっとだけ滲んできた明石だが、友人の下を訪ねるべくその姿を探している最中なので、暑さに根気負けしてその場を立ち去る事も無ければ周りの風景を見回す行動を止める事も無かった。むしろ自身の仏印派遣の何から話そうかと嬉々としながら、彼女は視界を湾内のアチコチへと投げている。

 その内に明石は細長い流麗な艦体に4本並んだ煙突が特徴的な艦影を見つけ、はしゃぐようにしてその艦へと赴くのだった。




『ああ、明石。仏印から帰ったのね。ご苦労様。』


 明石が淡く白い光を伴った艦魂独自の移動方法で甲板に足をつけるや、彼女の耳には女性の物にしてはやや野太い感じのハスキーな声がさっそく届く。そこは大正生まれの古めかしい二等巡洋艦の艦首甲板で、前後に背中合わせで係止された2門の単装砲の横に声の主が立っていた。

 明石よりやや高いくらいの背丈に白の士官用の二種軍装が映え、首を隠すくらいで毛先を揃えた黒髪も小奇麗であり、その出で立ちに静かな美しさを備えさせる。20代後半の整った顔立ちに見て取れる釣り上がった目は、第二艦隊一の問題児である誰かさんとうり二つながら、微かにハの字となった眉のおかげで優しげな雰囲気を放っており、その雰囲気に違わぬ人柄で彼女が誰からも好かれているのは明石も知る所だ。

 ましてやこの人物は神通と共に気心知れた友人の一人で、容姿に見る年齢も艦齢も10歳以上年上であっても敬語なんか用いずに会話する事ができる間柄。一番に親しい友達なのでまったく気構える事無く、明石は声をかけてきた彼女へと笑いながら向かっていく。


『那珂ぁ〜、ただいま。今戻ったよ。』

『そうみたいね。あ、少し焼けたかな? 鼻の頭、ちょっと皮捲れてるわよ。』


 遠慮も大した気配りもいらないのは那珂も同じで、その言葉を受けて明石は目を丸くしつつ自分の鼻頭を指先で触れてみた。するとザラザラとした肌触りの後に指先には茶色い皮の捲れカスが付いており、思いがけず実は日焼けで結構ひどい顔となっている自分に今頃気づく。途端に明石は恥ずかしさのあまりついつい顔を手で覆うも、那珂に良い様に笑われ始めた頃合いではもう遅い。

 日焼けで皮が捲れるなんて、医者のくせに明石はまさに今初めて知ったのだった。


『わああ! ひ、日焼けすると皮が剥けるのぉ!?』

『あははは。知らなかったの、明石?』


 国外派遣が初めてなら、そも台湾以南の海に足を運んだのもほぼ初めてだった明石。見る物聞く物は言わずもがな、肌に感じる潮風や舳先で切った波飛沫もこれまでとは違うのでなるべく甲板で外界を見分しようと行動していた手前、明石の顔はちょっと赤みも残るほどの日焼け具合となってしまっていた。サイゴンを発って日本へと帰る航海の中、入浴中に顔を洗うとなんだかじんじんするなくらいに思っていたが、よもや周りから一発で見抜かれてしまう程に焼けていたとは彼女は考えていなかった。

 人外の存在たる艦魂ながら一応は女性である。見てくれは気になるし、どうせなら綺麗でいたいと思うのは誰でも同じで、それとは大きくかけ離れた顔をしているという事に明石はショックを隠せない。


『か、顔洗ってくる〜・・・!』

『無理やりとったらかえって痛いわよ、明石。落ち着くまで我慢するしかないの。』

『ううぅ・・・。』


 きっと内地で訓練付けの那珂や神通あたりは見た事もないであろう仏印の話を存分にしてあげようと意気込んでいた明石だったが、再会直後にいきなり自分の無知と小恥ずかしい姿を披露するハメになり大失敗。南国の気候という点では沖縄や台湾なんかでも身を置いていた筈なのだが、よくよく考えてみればお勉強に熱を上げて室内で机にかじりついていた印象が今更ながらに自身の頭の中には強い。日がな一日ずっと陽光照りつける甲板にいた事は記憶になく、逆にその原因がサイゴンでまじまじと陸軍徴傭船の働きぶりを観察していた事にあったのだとすぐに察する事ができた。

 それは確かに良い勉強になった反面、泣きたくなってくる気持ちもじわじわと湧いてくる。気配りのできる那珂が姉とは大違いの慈愛に満ちた独特の笑みを作り、『それだけ頑張った証拠じゃない。自慢してもいいくらいだと思うわよ。』なんて言ってくれなければ、涙の誘因に負けてしまう所であった。


 おかげで5分とせぬ内に明石は来訪当初の明るさを取り戻し、聞き上手な那珂の人柄も手伝っていつのまにか身振り手振りも混ぜての仏印冒険記を話していた。何事も初めてづくしだった派遣の日々は日焼けよろしく明石の心に大きく刻まれていて、なまじ十年近い先輩である那珂すらも行った事がない地での出来事だけに、声に乗せるのは気分が良い。自慢する訳でこそないが、自分しか知らないお話をアレコレと語れるのは、帝国海軍艦艇の仲間入りをして以来、いつも色々と教えてもらう側だった明石だからこそ得れた喜びでもあった。


『そうそう、仏印にもお蕎麦があるんだって。それも麺はお米でできてるらしくて、なんか歯ごたえは全然ないとかなんとか。森さんの上司の人が食べたらしいんだ。私も食べてみたかったなぁ。』

『へえ、お蕎麦があったの。てっきり食べ物の話だから、南国の珍しい果物とかが出てくるんだと思ったわ。』

『ホントは食べたかったんだよぉ。でも規則で軍医長の許可ないと持ち込みはダメなんだって。伝染病とか風土病とかの予防だから、まあ、仕方ないって言えばそうなんだけどぉ。』


 生来の食いしん坊である明石の事を那珂も知っているので、食べ物の話題を少し広げて明石の明るさを増してやる事なぞ造作もない。素直に見た事も無い海の向こう国の話を聞くの楽しかったし、口にこそ出さなかったが最近、姉の問題児っぷりにまたも頭を抱える事態に陥っていた手前、人知れず抱え込んでいる苦悩と憂鬱を拭われるようで有難くすらもある。

 故に腹の底から笑い合って二人はしばし、8月の陽光のまぶしさと同等なくらいに明るく談笑する時間を過ごす。やがて彼女らのすぐ近くの甲板に別の仲間が来訪してきて靴音を木霊させても、話しかけられるまでまったくもって気づかなかったくらいだった。


『お、お話し中すいません、那珂中尉。・・・て、あれ、明石さん?』


『え? ああ、朝潮(あさしお)。ごめんなさい、ちょっと明石と話し込んじゃってて。来てくれたのに気付かなかったわ。』

『おおー、神通のトコの朝潮だぁ。久しぶりー。』

『明石さん、お久しぶりですー。ひょー、随分日焼けしましたねえ。』


 手を伸ばせば届くくらいの距離で声をかけてきたのは、縦に並んだ上衣の金ボタンが目立つ下士官用の二種軍装に身を包み、年の頃は明石と同じくらいの顔立ちながら活発そうな雰囲気が大きめな丸い目に宿る艦魂で、ついでながらその黒い髪を首の後ろ辺りで束ねた所も明石の外見と重なる。今しがたの会話の中にて既出であるがその名を朝潮と言い、容姿に見る年齢にさほどの違いは無くとも新米艦魂の明石と違って、彼女はこれでもあの神通率いる第二水雷戦隊の最古参駆逐艦の命。所属は横鎮籍の第八駆逐隊で、分身の出自は朝潮型駆逐艦の一番艦。つまり明石とも仲の良い(あられ)(かすみ)の一番上の姉に当たる。

 明石とも知己を得て長い間柄なのだが、彼女は朝潮の顔ではなくその姿格好にちょっと驚く。なぜなら朝潮は二水戦所属の駆逐艦とは言え、その分身の艦齢を当てはめると帝国海軍艦魂社会では階級も下級、まだまだ若手の新人格に分類される立場だからで、以前まで目にしていた彼女は霞や雪風(ゆきかぜ)らと同じく、特徴的な襟を持つ水兵さんの軍装に袖を通していた。久しぶりに会ったとは言ったって一か月も経ってはおらず、突如として朝潮が海軍二等兵曹の袖賞も輝く下士官の軍装を着ているのが明石には不思議であった。


 だから何事かを那珂と話し始めた直後だというのに、ちょっと横槍を入れるような形で彼女は声をかけてしまう。


『魚雷の次発装填の件ね、朝潮。あれも水雷戦隊には大事な訓練よ。』

『はい。訓練要領は昨日から目を通しているんです。それで引き続きの教練発射の方なんですけど・・・。』


『あの、朝潮。その格好はどうしたの? これ下士官さんの軍装だよね?』


 強い好奇心が朝潮と那珂への親しさによって背中を押され、脳裏に浮かんだ言葉をそのまま声に乗せる明石。ついつい言い終わってから邪魔してしまったかもと一抹の不安を抱きつつも、話しかけられた側の朝潮は明石の質問にまんざらでもない様子。いつぞや富士(ふじ)艦の甲板掃除をしている際に見れた場面も考えるに、どうやらこの朝潮は自慢の心を抱いて物事を声に変えるのに伴って、その発言の一番最初にかならず小さな咳払いをする癖があるらしく、那珂から明石の方に向き直ると片手を腰に当てて伏せ目がちにその癖を披露する。次いで嬉しさが満ちた明るい声色で、質問に対する回答を述べてくれた。


『んっんー。はい、実は先日、戦隊長に昇格させて頂いたのです。現状の二水戦では私が唯一の下士官になります。まあ、戦隊長がちょっと戦隊から外れて呉に戻ってるので、その埋め合わせみたいな物なんですけど。あ、ちなみに今は私が二水戦旗艦です。司令部の要員も私の分身に移ってます。』


『ええ!? 神通、二水戦から外されたの!?』

『あ、いや、一時的にですよ。特定修理だそうで。作業地展開の上での訓練中に外されたってんでなんか随分怒ってましたけど、呉ならこの間衝突事故起こした黒潮(くろしお)夏潮(なつしお)の様子も見てこれるので、まあ渋々といった感じで。でも、戦隊長代理を申し渡された時、正直かなり脅されましたよ〜。帰って来た時に教練成績が少しでも落ちてたらゆるさーん、って。あははは。』


 素朴な疑問に親友の意外な近況を回答に据えられて明石は二度びっくり。あんな上司に後事を任されて呑気に笑ってる朝潮は大丈夫なんだろうかと心配の気持ちも湧くが、まあこういう明るさが彼女の魅力なのかもしれないなと思ったりもして口にするのは止めた。

 二水戦所属の駆逐艦の艦魂達において一番のお姉さんという立場に相応しく、これで彼女の率いる八駆は二水戦では一番上司のお叱りが飛ばない部隊であるのを他ならぬ神通の口から以前に聞いているし、熱血でやんちゃな霞や不良道まっしぐらの大問題児である雪風も不思議とこの朝潮には頭が上がらない辺りを、きっと神通も見抜いた上で選んだのだろうと納得もできる。加えて横鎮籍の艦魂達における独特の慣例で、富士の様な重鎮艦魂のお傍にて世話役をしたりした経験の中、上司を遥かにしのぐ先輩からもまた色々な事を学ぶ機会を持てたであろう点を鑑みれば、確かに神通を除いた二水戦で一番優秀な艦魂はこの朝潮かも知れないと明石には思えた。

 よって心配もそうはいらないだろうと考え、再開される那珂と朝潮の打ち合わせを感心しながら見つめるのであった。





 さて、その夜。

 副直将校の役目を終え、ついでに夕飯も士官次室で済ませた忠は自身の部屋へと帰って来たところだった。

 そこは明石艦中甲板、右舷側の一室で、言うまでもなく士官居住区とされている区画。彼が歩くのに合わせて皮靴が踏み鳴らす高めの音が響き、水兵や下士官達特有の喧騒からも距離を置いた静かなエリアである。足元の奥底にある明石艦の機関の音もだいぶ遠く、立ち止まって耳を澄ますと同一甲板の艦首側にある士官室から聞こえてくる蓄音機の音色の方がよく耳に届いてくるぐらいだ。

 優男で気性も比較的大人しい忠はそんな士官居住区の雰囲気が気に入っており、自室へと続く扉のドアノブに手をかけたまま、しばし蓄音機越しにゆっくりとしたテンポの歌謡曲が流れていく居住区の通路を眺める。艦尾から艦首まで続く長い通路の中、何に視線の焦点を合わせる訳でもなく、ぼーっと呆ける様な目で見たのは、朱色とも黄色とも見て取れる電灯の灯りに照らされた狭い通路。気分によっては寂寥感と孤独感に苛まれる事もあるかもしれないその光景だが、充実した艦隊勤務の日々を送る忠にはそうとは感じられない。どこか暖かさを意識できるくらいであった。


 よって今日一日の疲れも幾分和らぎ、緩んだ表情を作りつつ忠はドアを開ける。

 もっともその先には彼の気に入る静かな夜なんてなかった。


『あー、森さん。お疲れ様ー。』

『ちわース。お邪魔してまース。』

『雪風、寝ながら挨拶はやすけないで。』

『ほっとけよ、霰。森さん、こんばんはー。』


 既に照明も点いた部屋の中では床に敷いた小さな敷物の上にはお菓子も並び、明石を筆頭に見知った顔の艦魂達が輪を作っていた。くつろぎも極みに達しているのか、明石は軍帽も取って上着は羽織るのみとし、その両脇に腰を下ろしている霞や霰は暑さを気にしてか着慣れた体操着を着ており、雪風に至っては部屋の奥にある忠のベッドで勝手に横になっている始末。怒られる事は絶対にないと踏んでいるのか寝ながら甘納豆を頬張り、ドアを開けた忠に緩い動作で手を振っていた。


『・・・なんでみんなオレの部屋にいんの?』


 後ろ手にドアを閉めてから明石に視線を向けて忠は言う。

 別に艦魂達同士、お酒やお菓子をタネに親睦を深めあう事をやめさせる気は起きないが、明石艦に戻ってきてからは忠と明石でそれぞれに部屋をもっているので、近頃は明石の部屋でこういう場は設けられていた筈だった。もちろん、比較的顔立ちの整った女性が多い艦魂達だから健康的な男子である忠にとっても悪い気にはならないものの、これで勤務が終わったら士官としてのお勉強も積まねばならない彼には夜に自室で騒がれるのはちょっと辛い。陸軍でも同じだが幹部たる者、生涯学習の道から逸れる事は無く、勲章や徽章を沢山並べた軍装に袖を通し、定年までの時間を数えた方が短いという年齢になっても尚、その学術勉励に終止符が打たれたりはしない。いつの時代も最先端科学の結晶が軍事に大きく関わっているのだから当然である。

 その一員である自分を意識している故にちょっと困った顔になる忠なのだが、お互い見知った仲である霞や雪風らにはそういう所に遠慮する選択肢は浮かんでこないようで、根が天真爛漫で無邪気な相方に至っては言わずもがなである。むしろ忠を困らせるのが時にとても面白く感じてしまう明石にあって、率直に言えば忠の都合なぞ知った事ではなかった。


『みんな揃ったの久しぶりだし、森さんもいた方が面白いじゃん。ほら、早く席に着くー!』

『だあ〜、わかったわかった。お、押すなって。』


 立ち尽くす様にしていた忠の腰に明石は手を伸ばし、部屋の隅っこにある小さな机に向けてグイグイと押した。部屋の主は他ならぬ彼であるのだが、毎度毎度こういう場ではこの机と椅子が指定席という感じにされており、部屋の中央とベッドは自ずから明石達に占領される事になる。この点もまた忠にはちょっと不満な所でもあるが、口にしたら眉を吊り上げた明石に嫌という程文句を言われてしまうのは間違いない。ましてやへそを曲げたら機嫌が中々良くならない彼女であるから、翌日に至っても居ずらい雰囲気の中で忠は一日を過ごさねばならなくなる。つまりは後が怖い訳だ。

 よって忠の選択肢は明石の言う事に付き合うしかなく、不満や愚痴は一切忘れていそいそと椅子に座るのである。


 なんかもの凄く情けない男なんじゃないか、オレ・・・?


 明石と場を同じくしていると、たまに忠はそんな疑問をふと胸の内に湧かせる時がある。普通科学生の際に描いた理想とは程遠いその姿に軽い自己嫌悪も出てくるが、意図してかせずか天真爛漫な明石の言動に応じているとそんな物を気にしていられる余裕はない。椅子に腰かけて脱いだ軍帽を机に置き、坊主頭を撫でて一日の疲れを癒し始める頃には、忠の耳に軽やかで明るい明石の声が届いてきた。


『森さん、聞いて聞いて。私もいま霰達から聞いたんだけど、朝潮が神通から短刀貰ったんだって。』

『朝潮? 朝潮って、二水戦の駆逐艦の?』


 一応は艦魂さんが見える希少な人間である忠だが、その方面の知り合いというのはそれほど多くは無い。明石艦の乗組み士官という職場上、日常的にあちこちの艦に行くなんて事は殆ど無いし、知己を得た艦魂達は明石の下を訪ねてきた者達ばかり。神通や雪風らの事は知っていても、朝潮辺りはまだ顔と名前が一致していない程度でしかなかった。だからそも朝潮とは誰かという所から忠は尋ね、件の短刀をもらったというまでの顛末を、明石はもちろん、彼女以上に身近で見た霞や霰、雪風らの入れ代わり立ち代わりの発言で詳しく聞くことになった。

 それによると今現在、神通の分身たる神通艦は特定修理の為に二水戦を一時離れて呉軍港に戻っているらしく、二水戦司令部は朝潮艦に移って将旗を掲げているらしい。艦魂達の間でも神通は不在中の指揮権限を年長の朝潮に代理させたそうで、年功の面での時期的にもちょうど良かった上、一等水兵と二等水兵しかいない部下達の状況も鑑みて朝潮のみに進級を処置してくれたそうだ。

 人間の様に人事を総括する部署で審査された上で通達される物とは違い、どうも艦魂らの階級はある程度の集団の中においてある意味勝手に決めてる節があるみたいで、その構造や機能が正直忠にはピンとこない。当人達はそれで上手く回っているみたいなので口を挟むような真似はせず、そういう物なんだと強引に納得して短刀の話題に及んでいくが、何やら雪風はその短刀を授与される栄誉が朝潮のみであった事がとても口惜しかった様である。




『ボロハチは成績優秀で、最古参にも関わらず二水戦の演練で後れを取る事一度も無し。また各駆逐隊同士の連携、調和に一役買ってる働きも、ひとえに年長者である朝潮の功が大きい。八駆全体の功績も合わせ、これを与える。』

『え? で、でも・・・これは明石さんの所で作った、だ、大事な物では・・・?』

『・・・である。しかし自分が最優秀だとでも思ったなら大間違いだぞ、朝潮。この中で最も一人前に近いと私が判断しただけだ。少しでも怠けたなら追い越されるのはすぐだし、それ相応の実力を発揮するのが常になる。落第するような真似は絶対に許さん。』


 呉に戻る前日、部下全員を整列させたうえで朝潮を一歩前に出させ、神通は黒く漆の光沢も眩い鞘に納められた短刀を片手に、朝潮の眼前に掲げてみせつつそう言った。以前に明石の分身で軍刀を改造していた際、明石が持っていた軍刀の素材を再利用して神通が作った物で、尋常ならざる戦国オタクにして刀剣愛好家であるその趣向が如何無く発揮された逸品であった。木具工場や鋳物工場なんかに足繁く通い、ベルトの皮を裁縫して仕上げた柄、数時間もかけて研磨した事で艶まで出ている金具等、その見てくれは人間の士官が佩いている短剣と比べても劣る物ではない。もちろんその様な物を持っているのは、艦魂達、ましてや朝潮らの様な水兵さんクラスの者達には皆無に等しい。当の朝潮らですら、この時初めて目にしたくらいであった。

 それ故に上司の並々ならぬ決意と認めてくれた事に対する稀有さ、そして有難さが全員にひしひしと伝わり、日頃から尊大で横柄な態度が目立つ神通が相手ならそれは尚更の事である。


 朝潮はその栄誉に最初はちょっと腰が引けつつも、16名を数える仲間達の中で己一人が独占して浴するという魅力に素直に取りつかれた。僅かに頭を垂れながら両腕を伸ばし、大事そうに神通の手より短刀を頂戴すると改めた意気込みをもって返礼とした。


『あ、有難う御座います! 八駆朝潮! 第二水雷戦隊の名を第一に、粉骨砕身、以降も精進と練磨に努めます!』

『・・・ふっ。であるか。』


 その時少しだけ、ほんの少しだけ神通は笑った。

 薄らと感涙を浮かべた朝潮の顔が可笑しかったのか、それとも自身の認定と期待が精一杯の厳かさでもって受け入れられた事が嬉しかったのか。なにやら最近使い出した短い言葉の中、神通が笑みを得るという極めて希少にして大きな想いを懸けられたのが、朝潮の手に握られた軍刀にあったのだとこの二人以外の全員が確信した。

 次いでそれは朝潮の仲間らにとっては羨望と垂涎の的になり、授与の場が終わってすぐに雪風辺りは自分にもくれと上司に率直にお願いしてみた。柔道という枠の中でだが呉鎮最強の座を実力でもぎ取った自負もあったし、他ならぬ神通の薫陶を受けたこれ以上無い証として雪風は是が否にも欲しいと思ったからなのだが、怖い怖い神通は特徴的なその釣り目を鋭くしてにべもなく否と返してきた。


『ふん。この馬鹿が。髪はいつまでたっても茶色いし、何度注意しても猿と喧嘩ばかりしおって。どこをどう捉えたらそれで一人前になる? ああ?』

『ぐひっ・・・!』


『戦国の世なら、己の短刀を与えるのは家臣として認めた者だけだ。戦場では命を主に捧げ、裏の無い忠誠でもって果てる間際まで仕える。例え主君が果てても尚だ。大谷吉継(おおたに よしつぐ)の家臣である湯浅五助(ゆあさ ごすけ)は、自刃した主君を介錯して首を土中に埋めた後、その場所を明かさぬ約定をわざわざ敵と結んでから単身切り込んで果てた。武田晴信(たけだ はるのぶ)の旧臣達は不利と不可能を承知で、後継ぎの武田勝頼(たけだ かつより)による戦場を駆けて信長公の軍勢の鉄砲に散った。臣たる者と雑兵は違う。多少力が強く頭が良くても、お前はまだ足軽、兵に過ぎん。猿や朝潮を型遅れの駆逐艦だと思ってるのが良い証拠だ。少しは見習って自分の振る舞いを省みろ、馬鹿者が。』

『ぐ、ぐぬぬぅっ・・・!』





 自身の不良ぶりを頭ごなしに叱られ、同時にそれを理由にお断りされてしまった雪風。げんこつが飛ばなかった分まだマシだったのかもしれないが、持ち前の反骨精神をあらわにして地団太を踏みながら悔しがった。その末にこうして明石の所にやってきて苦々しい記憶を甦らせた物だから、ベッドで横になったまま彼女は口をツンと尖らせてついつい日常では厳禁とされる上司への愚痴を溢す。


『朝潮さんだけにやんのは不公平だろ、ちきしょう。あの短刀、戦隊長はあと3個も作ってんだろ、霰? アタイにもくれりゃいいのに。』

『なんでそこでアンタにやるのが公平なんだよ、馬鹿じゃないの。』

『なにを、猿め!』

『喧嘩はあかんや。』


 機嫌が悪いとこに天敵の煽りを受けて雪風は怒鳴り、霞もまた瞬時に腕まくりをして麻色の肌の腕を覗かせると、いつでも取っ組み合いに移行できるように上半身だけを身構える。それに続いて鼻から息の抜けたような高めの声で霰の抑止が試みられるが、ここまでの流れは全くもってこの3名の日常ではいつも通り。神通のげんこつがあれば一層再現性が備わるのだが、部屋の主である忠が見かねて口を開くと雪風も霞も渋々と従った。


『こら〜。人の部屋で勝手に喧嘩すんな〜。』

『むぐ・・・!? う、うーッス・・・。』

『は、はーい・・・。』


 決して怒りなんて感情は無い証拠に彼の口調は緩い。宥めるくらいの心持で当人としても言ったし、普段から優男の彼が怒ると怖そうだという両名の心理も手伝い、くだらない事での諍いはそれ以上発展はしなかった。

 

 だがその時、忠の部屋のドアが突然鳴る。

 しかもまた具合が良い事に、今まさに話題に上がっていた神通の短刀の件において、その中心として名前が挙がっていた者の声が続いたのである。


『あ、あの! 森中尉のお部屋はこちらでしょうか? わ、私、二水戦の朝潮と申すのですが、あ、明石さんはいらっしゃいますか・・・?』


 彼女とはほぼ面識がない状態の忠はもちろん、明石や霞らも含めて思わぬ来訪者が現れた事に目を丸くし、しばしドアの向こうへの応答を忘れてお互いの顔を見合わせた。次いで口々に驚きの声を上げていく。


『ん? 朝潮って、今言ってた?』

『うーん、森さんの部屋探してきたみたいだね。』

『ええー、朝潮姉さんが夜に明石さんとこ来るなんて珍しいなぁ。』

『せやね。なんやろ、明石さんに用事かいな?』

『ぁんだぁ? 朝潮さんが来たってのか? アタイらに混じって菓子でも食いに来たのか?』


 霞や雪風らは明石が帝国海軍の末席に並んで以来の友人の為、こうして忠も混ぜてお菓子を頬張りながらいろんなお話をする事はこれまでも何度か有ったが、別に仲が悪いなんて事は無いものの朝潮はそこまで深く親しい間柄でもない。忠はともかく、明石としても艦魂側でのお仕事上、または親友の部下という体面上で顔を合わせる方が多く、夜間の時間帯に明石の下を彼女が訪ねてくるのは今回が初めてであった。

 ドアの向こうから聞こえる朝潮の声には緊張でちょっと動揺している感じも見てとれ、当人もまた初の訪問を意識しているらしい。自慢の下士官の二種軍装に似合わぬ不安げな表情を浮かべてドアの前に立っていた。

 そこで明石は部屋の主たる忠と目を合わせて無言のままに入室の許可を取ると、声を張り上げてドアの前でそわそわしながら待っていた朝潮に安堵を与えてやった。明石の声が響き終わると、小さくだが溜息が聞こえてくる。


『おー、朝潮ー。私ここいるよー。入って良いよー。』

『ほっ。よ、良かった。初めてなもんでちょっと探しまたよぉ。』


 緊張がほどけて生来の気の良い朝潮に戻ると冷や汗に代わって笑みが顔に現れ、軍帽を頭から取って長めの髪型を一度整える。もうお仕事の時間ではないし明石に身だしなみを指摘されるとは思ってもいないものの、こういう小さな部分を日頃から厳しく注意される私立神通学校の日々を過ごしてきた故に、彼女はほぼ無意識のうちに手櫛を頭部に這わせていた。次いで一呼吸置いてからドアノブに手を添え、狭いながらもその分だけ賑やかさが溢れる忠の部屋へと歩み入る。

 しかし部屋の全員の視線が注がれる形の朝潮はドアを閉めた直後から忙しくなった。腰を落ち着ける隙間も無い環境に困惑し、部屋の主の忠に改めて挨拶をする横からは、明石にさっそく短刀のお話をせがまれるという状況。霞と霰の妹達も来訪を歓迎してくれるのは有難いのだが、実の姉妹という関係から些か無遠慮気味に声をかけてくるので、室内は一挙に活気づくことになった。


 落ち着きを取り戻すのはそれから10分程も経ってからで、ようやく朝潮の要件を聞く頃になると室内に木霊していた明るい声は一斉に鳴りを潜める。なんとなんと朝潮は相談事があるらしいのだが、その対象は彼女の日常で中核に位置する存在における、ここ数日来の妙な様子なのだそうで、暗い色合いの表情や気持ちは無い反面、だいぶ気にかかっているらしい。やや伏せ目がちにして後頭部を掻きながら、朝潮は探るように慎重な声色で口を開いた。


『なんか・・・、戦隊長の様子が変、ていうか何て言うか。』

『およ、神通が?』


『あ〜、親方かぁ? そういやなんか最近妙なしゃべり方してるよな。デアル〜、とか何とか。まーたどーせ、信長公がどーたらこーたらってんだろ。』

『いや、そういうのじゃないんだけどさぁ。』


 他ならぬ親友の様子となると明石も気になるし、忠にとっても神通はとっつきにくい所はあるにしろ、相方に次いで最も親しい艦の命。朝潮の言わんとする事に興味を強くし、その詳細を聞くべく身を乗り出して朝潮のお話に耳を傾け始めた。

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