らくがき
ここはなにも見えない闇の底
明かりの届かない真っ暗な場所
手を伸ばしても、何にも届かない
でも悲しいとは思わない、気付いた時からここにいたから
それに、光を見るのは怖い
きっと私を焼くだろうから
だから私はここで良い
悲しくなる時もあるけど
それよりずっと酷い思いをしなくて済むのなら
私はここで静かに暮らそう
誰にも邪魔されず
誰を傷つけることも無いなら
私は今が幸せなんだろう
私はまた手を伸ばす
何も失わず、何も得られないこの暗闇の中で
「――掴まえた!」
手に感触が伝わる、それにこれは声
「離さないで……そのまま引っ張るから!」
光が差し込む、怖い……痛い目に遭いたくない
「ここまでくれば……せーのっ!」
体が宙に浮く、世界が光に包まれていく
色 匂い 風 光 とても怖い、私はここにいてはいけない
「怖がらないで、あなたの力が必要なの」
私の手が握られて、とても暖かい……
胸がぎゅっと締め付けられる
「早速なんだけどこいつを操って欲しいの。クズだけど権力者だから。
それでこの町は私たちが綺麗にするの!
心配しないで、犠牲者はなるべく出さないつもりだし、
全てが終われば、みんな私たちに感謝をするわ!
だからお願い……力を貸して!」
私を必要としてくれている。
力強い瞳、優しい笑顔
これもきっと運命ならぱ、私はこの人の助けになろう。
「ひぃい~…!何なんだお前たちは……!やめろぉ近づくなぁ!」
見るからに醜く、邪な人間。
私はこのような存在を許さない。
この身に宿るは悪を打ち払う力
我こそは深淵の魔女
「ぐがぁぁ!たすけ……あぎゃぁぁあ!」
思っていたより魂は綺麗だったけど、きっと悪人に違いない
迷わず、運命に導かれるまま私は進もう。