表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

ー走れ!鉄仮面、修羅のごとくー


朝5時

清子は焦っていた

なんと、昨日大変うっかりしていたことに

吉治の好きなお味噌汁に浮かべるねぎを切らせていたのだ!


まず思い浮かんだのはコンビニエンスストア


重い鉄仮面を脱ぐのは洗顔と入浴時のみ許されている

音を立てないようにそっと鉄仮面を置き

パシャパシャっと顔を洗い

鏡の前で変顔をしてみた

今日もイケてる!

ささっと化粧をすまし、

慌てて白のブラウスと紺色のスカートに着替え

真っ白な割烹着を羽織った


いつもなら九条ねぎだが

そんなことは言ってられない


清子は走った


運動神経の悪い清子は車の運転はおろか

自転車も禁止されている

あとは逃亡防止のためである


♬〜

いらっしゃいませ


コンビニの食品コーナー、

きざみねぎくらいあると思っていた

いや、いつもならあるのだが運悪くなかったのだ

ない、ねぎがない!


お次は24時間営業のスーパーを目指して

とりあえず腹ごしらえにさっきのコンビニで

買ったポッキーを

口元の格子越しから器用に食べる清子


ほんとはからあげちゃんが食べたかった


でも一刻を争う事態


走る清子、鉄仮面越しに見える青空を仰ぎながら

次こそは九条ねぎゲットだぜ!と心に誓った

夜勤明けの作業着姿の人や

朝早いご老人なんかがちらほらスーパーの中を歩いていた

野菜コーナーに急いだ

ここにもねぎが、ねぎがないのだ



清子は美しかった

鉄仮面が最上策ではあるものの

隠しきれない美しさだった

逆に言えば隠すことでさらにその美しさを加速させていた




汗でびっしょりの清子

清子も若くはない

だが女として絶頂の年齢にさしかかっていた

清子なのにゲランのミツコの香水をつけていた

なんとも滑稽である

でもそこが清子のいいところ

いつもあっけらかんとしていた


しかしねぎの話は別


吉治の逆鱗に触れる

それだけは避けたい


たかがねぎ、されどねぎ


昨日は商店街のランジェリーショップのいつもの

店じまい

詐欺詐欺セールにやられてしまったのが

運の尽き


しかし可愛い下着ゲットだぜした清子は

るんるんだったのだ

ねぎなど忘れていた


こうなったら必ずゲットだぜ

九条ねぎゲット

だぜいえいえいえいえいえいえ‼︎

明るい清子なのだった


そうだ、商店街だ

八百屋を叩き起こそうか迷っていた

こんな鉄仮面をつけてはいるが

常識人なのである

清子「困ったわ」


とぼとぼ商店街を歩きながら

もう朝食などマクドナルドでいいじゃん、

というよこしまな考えに及んでいた


しかしそれではちゃぶ台がひっくり返る


なんとしてもねぎを、そう思っていた時


シャッターの閉まった店の前で

少年が倒れているのを発見した


少年「…俺はビックになるんだ…むにゃむにゃ

ビックマック、片手にYO!」


清子「YO YO YO ‼︎

にいちゃん、マップあんのかいHEY‼︎

そんなことじゃモップにされちまうぜ

こんなとこじゃホップにジャンプだぜ

ビックマック食うのはがいいが

喰われるなよ馬鹿野郎

波に乗れ神になれ

わたしの愛人になれ」


ドーン!


マイクがわりの大根を投げ捨てた


少年「え⁈おばさんこわい‼︎何その鉄仮面⁈

おはようございます

酔っ払ってた

自炊しようとしてたんですこれ」


清子「みりゃわかるぜハニー」


鍋らしきものを作ろうとしていた食材の中に

なんと!九条ねぎが!


清子「うちに来なさい

朝食食べて帰りなさい

そのかわり、そのねぎいただくぜ⁈」


少年「わかりました」


清子「ビックマックを繋げていってよね」


少年「なにが⁈」



















評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ