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カノンを捜して~Ⅱ  作者: 塘夜 凛
19/22

19 今日も未來君の心配事が尽きません。 Ⅳ

永遠が生まれて1年半この頃永遠はパパにベッタリへばり着いて離れない。

Daddyが自分の子なのにと嫉妬するくらい寝起きからお休み迄・・・


其れでも家族は解って居る様で僕の事を『ミー』と呼ぶ。ちっちゃな口から紡がれる『ミー』が可愛くてずっと抱っこをしているとmomに『未來迄甘やかす』と愚痴られてしまう。


僕達は男の子でさえこんなだから、女の子なんてとんでも無いと思っていた。


そんな永遠が、恒例のアメリカへの里帰り中、何回か朝からパパに抱かれ大泣きした。

原因は後になって解ったが、パパの女遊びの翌日だった。恐ろしい幼児の嗅覚、侮れない。

永遠の『パパ、違う。くちゃい』にピンと来たmomは『あき兄も男だからそっとしといて。』と僕に言ったが、大人の事情が分かりだした僕は複雑だった。

勿論パパが幸せになれる恋に出会ったのなら何も言わず祝福するよ・・・

多分パパがしている事は性欲の発散。綺麗な女の子の裸体は思春期に入った僕には刺激が強かった。


其れでも日本に帰る当日daddyの会社の押しかけてきた女性を見るまでは黙っていた。


momは一瞬で理解し暗号の様に日本語で僕の目を見てパパに告げると其の儘daddyのプライベートルームに向かった。ため息を付き怒っている。daddyはそんなmomのご機嫌取りを始めた。そして一言。


「あれが貴方なら今頃息してないからね・・」


憤慨するmomを嬉しそうに抱き寄せるdaddy・・・

何だかなぁ・・・両親の仲が良いのは良いことだが・・・中学生の息子の前でやらなくても良いよ・・・


後から慌てて駆け込んで来たパパに、僕は態と永遠にさっきの女性の匂いがした回数を聞いた。

momは一言忠告だけで済ましたが、その後パパは真っ青になって謝った。


二学期に入り大分涼しくなってきた頃パパが教室に飛び込んで来た。

僕は直ぐに家族に何かが起きた事を悟ると矢野先生は廊下に出るように促した。


病院に駆けつけた時にmomは眠っている。陸斗が妊娠と言った・・・・


おかしい・・・daddyの子供なら僕に『そろそろ兄妹欲しい?』と聞くし、daddyが浮気でもしよう者なら殺さんばかりの勢いで怒るmomに浮気は有り得ない・・・・

もしmomがdaddy以外の子供を産むとしたら1人しか思い当たらない。


そう言えば夏休みに毎朝検温していたmomが病院に行ったきり計らなくなった。

あの時僕は夏風邪位に思っていたけど・・・・


電話を終えたパパに直接聞いた。パパは申し訳無いように説明してくれた。


内心は複雑だったがdaddyが勧めmomも納得した結果に僕は何も言えなくて其れでもmomから生まれてくるのは自分と血の繋がった兄妹で大好きなパパの子供でもある。


僕はパパに自分が可愛がり守る事を約束した。パパは綺麗な顔をくちゃくちゃにして笑った。


多分パパは僕の事を一番心配していたのだろう・・・

大丈夫だよ・・・パパが僕を守ってくれたように僕も皆を守るから・・・


翌年momの誕生日をお祝いしていた日曜日。朝から動きまわったmomは午後になり時折お腹を摩ると

daddyの腕の中へと倒れ込んだ。其の儘病院へ運ばれ一ヶ月も早い早産となった。


永遠の時よりも小さかったせいか陣痛から出産迄は早かった。daddyは一部始終を録画しmomを励ました。


生まれてきたのは2800gの女の子。黒髪黒目の日本人の特徴を持った・・・


daddyは愛おしそうに抱き上げると生まれたての娘に


「よく頑張ったね。私の愛・・・」


と言った。その後じぃじ・ばぁばが駆けつけてパパは病室から出て行った。


僕はじぃじ達のお茶を買いに下に降り階段の影で蓮音の肩に凭れて泣いているパパを見た。


蓮音はパパの背中を叩き『良かったな二人が無事で・・・』と言った。パパが自分の子供だけじゃや無く一番にmomの心配をしていた事に気付いた。だってmomは1人しかいないから・・・


momのお腹が大きくなるに連れて不安そうな顔をしていたパパはどんな気持ちで見ていたのだろう。

永遠の時で無事に生まれるものだと思い込んでいた僕とmomの出産を3度見ているパパ。


確か僕の時が一番陣痛が長く蓮音やパパの手を傷付ける程握り締めたと聞いた。

僕は蓮音の肩に凭れたパパの後ろから抱きつき


「パパ。僕に妹を作ってくれて有難う。」


ハットしたパパは振り向き背中をトントンと叩いた。





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