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第三話 留まるな

 傷心旅行、というものとは少し違う。なぜなら町内をグルグル歩き回っているだけだから。


 私は失意の中にあった。それゆえ、何かしらの手段で我が心を癒やしてやる必要に迫られていたのである。何によって? 一箇所に留まらないことによってである。


 坂を登り、階段を下る。坂を登り、階段を下る。坂を登り、階段を下る。


 本当に私の住む町は平坦な所がない。それはそれでいい。肉体的苦痛が精神的苦痛にまされば、それに越したことはない。だが先程からどこかで見たような景色ばかり見せつけられている。これでは一所に封じ込められたようではないか。留まるまいと決めておきながら、実際の行動は決意に反している。


「おのれ!」


 大声で罵りつつも、坂を登り、階段を下る。坂を登り、階段を下る。坂を登り、階段を下る。


 違うルートを取ろうとした。立ち止まる。と、背後に誰かがいることに気づいた。


「留まりおったな」


 振り返る。それは、私だった。憤怒の表情を浮かべた、私だったのだ。


「貴様はもう癒えなどしない。貴様の傷は治りなどしないのだ!」


 それ以来、私の自己治癒能力は無くなり、傷まみれのまま暮らしている。

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