第二十八話 朝の散歩
目が覚める。時刻は午前六時。今日もスッキリと起きられてよかった。二枚の六枚切り食パンをトースターにぶち込み、新聞を読みながら焼きあがるのを待つ。チン、と頃合いになった。昨日の内に用意していたピクルスとゆで卵をトーストの間に挟む。今日もこの世はこともなし。あるにはあれど無視してしまえばどうということのない事件ばかりだ。
栄養は摂取したと考えられるので、日課の散歩に出ようと思った。しかし、今日はどこに行ったものだろう。三つの公園が候補に上がる。
一つ目は吉塚公園。この季節にはあまり見るものはない。桜のつぼみがほころんでいるかどうかを確かめに行くのも一興だが、まだまだそういう時期でもない。
二つ目は四色公園。いつの季節においても花が咲いていて目を楽しませる。ただ、やや歩くには物足りない広さだ。
三つ目は大渡公園。海に接しており、運動には最適の広さを持つ。
今日は歩きたい気分だったので、大渡公園に向かうことにした。
三十分ほどして公園についた。さて、体を動かすか、と思ったとき、足元に奇妙な色合いの貝殻が落ちているのに気がついた。
砂の中に埋まっていたそれは三十センチほどの大きさがある。法螺貝だろうか。吹いてみようか、耳に当てようか。少し迷って耳に当てた。
何とも例えようのない妙なる響きが聞こえてきた。波の音でもない、風の唸りでもない、不思議で懐かしい音。
私は貝を持って帰る。日々に飽きたらこれに頼るのだ。




