第二十三話 金貨
二人の男が線路上に入った。
「確かにここに隠したんだな?」
太った男が問うた。
「ああ、重かったぞ。俺の細腕だとここまで運んでくるのが限界だった」
痩せて背の高い男が言った。
相方の言葉に肥えた男は「へへへぇ」と笑って手もみした。
痩せた男は銀行強盗である。いや、その言葉も正しくはないか。元銀行員が預り金を密かに持ち逃げした、というのが真実であるから。彼は親戚の太った男を連れ、隠し金を掘り出しに来たのである。
「しかし、線路の中に隠していいもんかね?」
肥えた男が尋ねた。
「悪いな、あのときはこれしか思いつかなかったんだ」
背の高い男が答えた。
彼は金を線路の下、砕石の中に隠したのである。簡単に掘り出せるし、そもそもここに隠しているなど誰も思わないであろうから、持ち逃げしてきたときは最適の場所と思われた。
「! おい、列車が来るぞ! 伏せろ、伏せろ!」
痩せた男が叫んだ。慌てて二人は線路から飛び退き、近くの一本木の後ろに伏せた。
「……汽車の重みでダメになってないかね……」
肥えた男が懸念を口にした。元銀行員は不安になり、列車が通り過ぎると素早く隠し金を掘り出した。そして金を見たとき、二人は同時に罵る。
「「畜生!」」
金貨は全てへし曲がっていた。それだけでなく、金メッキがむけて鉛の地が露出していたのだ。つまりは偽金だったのである。
二人は肩を落として帰った。




