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第二十二話 アルバイト
某コンビニエンスストアーの外食を作っている工場に週払いのアルバイトで雇われた。
これはそのとき思ったことである。
労働に入って最初に思い出したのは芥川龍之介の『芋粥』だった。五位の男が芋粥の量に驚き呆れ、もう食欲がなくなってしまう、というあれである。本当にネギやらチャンポンの具材やらもやしやら、山のごとく積んで現れる。それをしっかり検品しないといけないのだから八時間後にはもうすっかり辟易してしまう。
そして、ここからが本題だ。検品作業を終えた私は食材加工の部署へ回された。そこには外国から働きに来た人々が多くいたのである。彼女たちは、私に話しかけた。
「ケンピンヒツモテテ」
「えっ?」
十秒間ほどこの言葉を聞き返した。やっとのことで、検品室に食材を持っていって、という意味だとわかった。その頃には外国人女性は自分がやったほうが早いと思ったのか、山と積んだ加工済み食材を運び始めてしまった。
私は恥じた。役に立てず、残念至極である。彼女らの言語を学ぶべきだと思った。だが、彼女たちの名前はどこの国出身なのかはっきりとはわからなかったのである。国を知っても言葉まではわからない。もやっとした気持ちで工場を去った。




