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第二十話 スイカ売り
西からスイカ売りがやって来た。元は旗本の屋敷に仕えていた男である。しかし度重なる失態により暇を出されたのだった
東から冬瓜売りがやって来た。元は大名の屋敷に仕えていた男である。しかし度重なる失態により暇を出されたのだった。
彼らは人気のないところで出会う。お互いに棒天秤が空であることを見て取ると、黙礼して通り過ぎる。
瞬間、二つの石が飛んだ。どちらからか? 双方からである。
冬瓜売りはこう考えた。
「あの男を殺し、銭子を頂いて川に投げ込んでしまおう。そうすれば酒がもっと飲める」
そういうわけで柚子ぐらいの大きさの石を拾い上げ、スイカ売り目がけて投げつけたのである。
だが冬瓜売りは知らなかった。
スイカ売りは忍びの者だということを。
冬瓜売りの動きを察知し、瞬時に彼は平たい小石を足指に挟んで後ろへ投げた。
平石は柚子大の石を弾き飛ばし、そのまま冬瓜売りの顔をザクロめいて叩き潰した。
冬瓜売りは絶命。振り向かずに歩みを進めるスイカ売り。
夕日が川岸に照り映えていた。




