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第十五話 ある母子の会話
母「昔々のことでした。おじいさんとおばあさんが山の中に暮らしておりました」
子「山の中とは」
母「そういう地名です。おじいさんとおばあさんは貧乏だったので、米しか食べていませんでした」
子「貧乏なのに米とは」
母「室町時代ぐらいの話です。そういうわけで二人はかわらけを作って売ることにしました。しかし、何せ初めてのことだったので失敗ばかりしていました」
子「その歳になるまで何もしていなかったことの理由とは」
母「ニートだったからです」
子「……適当では」
母「左様」
言うや否や母は子の腕をむんずと掴み、締め上げ始めたではないか!
子「グワーッ!!」
母「あまり大声をだすなよ、弱く見えるぞ」
子「グ、グワーッ!! 子供だから弱くて当たり前では……」
母「ふんぬ!!」
子「グワーッ!! な、なにゆえに苦しませようとするのか!」
母は呵々大笑して言った。
母「聞けい! 私は今心を鬼にしている!」
子「なぜ!?」
母「楽しいからだ!」
子「た、楽しいなら仕方ないな……」
母「そうだろう」
子「そうですね」
母「もう寝なさい」
子「ハイ」