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第十四話 雑貨屋

 こんなところに雑貨屋があったか? と私は訝しむ。不景気、再開発、少子高齢社会、その他もろもろの理由によりあちこちで閉店が相次ぐこの街で、新しい店を構えようというのは勇気のいることだ。その意気やよし。だが、この店は売れそうにもないだろう。あまりにも外装が地味すぎるし、いわんや内装をや。まあ、がんばれ、と心内で言ってその場を離れた。


 それから数週間後。あの場所を通った。わざわざ件の雑貨屋を気にしてやってきたわけではないのだけれども、一応外から覗いてみる。やはり客はいないようだ。それどころか店主らしき人の姿もない。やる気はあるのだろうか。


 ふと、最初にこの店を見たときのことを思い出す。あの日も店主らしき人はいなかった。不熱心な奴、と思った。それ以上に何故かわからないのだけれども憤りがわき上がった。これは一つ、活を入れてやらねば。そう思い、雑貨屋の扉を開けた。


 ひらひらと紙吹雪が舞い散った。名刺大のそれには、雑貨屋の名と私の――あろうことかこの私の名前――が書いてある。何だこれは、と不気味さを感じよくよく見ると、私がこの雑貨屋の店主と記されているではないか。慌てて外へ出ようとすると、ドアが開かない。押そうが引こうが、どの方向に動かそうが、閉じ込められたままなのである。


 それ以来、私はしかたなく店の番をして客をまっているのだが、今日も誰も来そうにない。

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