第十三話 冷蔵庫
眠い。春眠暁を覚えず、とはいうが、いつ寝ても暁に目が覚めたためしがないのが私である。のそのそとベッドから這いずり出た。現在時刻は午後六時。眠り過ぎである。
さて、今日は一体何をしたものか!
冬も冬、寒気はどっしりとその腰を据え日本に居座っている。そんな季節であるから、今から何かしようとするには暗くてどうしようもないのだ。
さて、今日は一体何をしたものか!
とりあえず飯である。冷蔵庫を開ける。途端に霜のクズがバアッっと吹き付けてきた。
「これは異な!」
そう、妙である。私は霜がつくほど冷蔵庫を閉ざした覚えはないのだ。それに、相当なことがないと冷蔵室ではカチコチに凍るなどという奇っ怪な現象は起こるはずもない。
「寒い!」
ダイヤモンドダストめいた晶氷の突風がまだなお吹きすさぶ。ブリザードめいたそれは三十秒ほどのものだったが、体感時間は三十分をゆうに越していた。
凍えるような思い――事実、私はガチガチと歯を鳴らし足はガクガクと震えていた――をして、ようやく中を見てみると、数匹の皇帝ペンギンがクラッカーを鳴らしてきた。
「起きられたの? えらい!」