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魂魄浄瑠璃  作者: 湊 蓮
第参天守 盛夏下日常《せいかのもとでのにちじょう》
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拾伍之間 鬼里道中《おにのさとへ》

 見知らぬ女性が家族の客室へ入り、黄緑色のお札らしきものを3枚取り出してそれを3人の額に1人1枚ずつ貼り付けた。

 すると、怪我がみるみる回復していき、最初に実緒が意識を取り戻すと僕に向かって「唯織兄、あたし…一体どうしたんだろ…。」というと僕は「実は3人そろって倒れていたのをこの人が助けてくれたんだ。」と教えた。実緒は「ありがとうございました。」とお礼を言って僕から離れた。先ほどの女性に「すみません、貴方は一体何者でしょうか?」と聞くとその人は「私は別に名乗るほどのものではありませんよ。それじゃあこの部屋を元に戻しますね。」と言って呪文を唱えるとまるで時間が戻ったかのように部屋が修復していった。

 後程目を覚ました母親に話を聞くと槍を持った人が障子窓を壊して部屋に入ってきて何をするのかと思えば自分が持っている槍で次々と3人の体を刺したらしい。おそらく畳や建具類、それにテレビといった家具類に付着している血はそれによるものだろう。

 僕はそれを鬼か妖の仕業ではないかと推測した。理由は手口が人間には不可能であるからだ。家族の客室があるのは5階でしかも犯人は槍を持っていたため梯子を使うには縦に長くしかも背負えるようにひもが付いた袋やリュックサックのようなタイプの鞄、若しくはギターケースのような入れ物に槍を入れた状態でないと無理だが犯人はそのたぐいのものを背負っておらずそのうえ足で踏みつけるようにして障子を壊したらしい。よって客室に突撃した手段は空中を移動できるようになる妖術もしくはそれに似た角力であり犯行が可能なのはそれを使える鬼、もしくは妖である。畳の上を移動して外の様子を見るとしたの方に外壁をまるで地面や床の上のように歩いている怪人を発見した。そして特徴は母さんの言った通りのものだった。

 早速詠唱で雷属性の攻撃系妖術「雷針弾」を発射して妖の背中に突き刺し、それと同時に放電でのダメージを与えた。妖を地面に突き落とした後は過去に手に入れた蟹座の魂晶を使用し、蟹妖の幻を召喚して特徴的なはさみでの攻撃によって止めを刺そうとするが全くピンピンの状態だ。僕は返信して自分にかかる重力を軽くする妖術を使い、飛び降りてから弱点を探りつつ攻撃し、無属性であると分かった時には少しばかり衰弱しており、止めを刺して一件落着した。

 その後は疲れがたまったような感覚がしたので部屋に入るなり一番手前の布団に倒れ込むようにして眠りについた。

 次の日、深い眠りから目覚めると僕の視界には調陪さんの顔が至近距離に映っていた。昨日は熱帯夜だったため掛布団は羽織っておらずどんな格好でいるか分かるはずだが年不相応なサイズの胸が原因でよく分からない。肩の方に視線を移すと寝巻である浴衣を着ていなかった。布団から脱出しようにも僕を抱きしめている力が強いため安易に脱出できない。それどころか調陪さんは自分が寝ていた布団に向かって転がり、僕が調陪さんを押し倒すような体勢を作り出した。

 そうすると襖の開閉音が聞こえ、実緒が「唯織兄、朝食まで暇でしょ、それまで・・・」と言いかけた途端に今の現状に気づき、「い・・・唯織兄の・・・不埒者ーーーーー!!!」と叫び、僕に向かって「暫く見ないうちに朝っぱらから事に及ぶような女たらしの不純な男になるなんて信じられないんだけど!前の唯織兄は異性に対して奥手でそのうえ日中は部屋に引き篭もってる陰キャ男だったのにどうして!!」と捲し立ててきた。そしてそのまま襖を乱暴に閉めていった。

 誤解を受けた上に過去の自分のことを晒されたことで泣きそうになりながらも朝食をとり、昼前にチェックアウトを済ませて札島亭を後にしようとしたらいかにも毒を想起させるような紫色の軽自動車がこちらにやってきてそれに乗ってる若い男が「今から高千穂に帰るから3人とも乗ってくれ、この車に今乗ってるのは俺だけだから3人が乗っても大丈夫だ。」と僕たちに呼びかけた。

 言われるがまま軽自動車に乗り込み、揺られていると先ほどの若い男が僕に「なあ、神楽とはどこまで進んでるんだ?」と聞いてきて一瞬だが僕の思考は硬直した。そして「な・・・なんて質問してくるんですか!?僕は至って清純ですよ!」と言い返すも「はは、ちょっと反応を見たかっただけだよ、申し訳無いな。」と事実を伝えられた。

 暫く高速道路を走り、最初のパーキングエリアを通過した途端に後ろから純白のワゴン車が煽り運転をしてきた。すると調陪さんが「今煽ってるの小浜の人たちだよ。早くあの碌でなしを何とかしないとこの車と私たちの命が危ないよ。」とこちらに向かって煽っている車の運転手の情報を教えた。それと同時に響禾さんが「豊後南端ICから北に4.6㎞の所の高速道路でワゴン車に煽られてます。煽っている車の特徴は白のカワクチ オアシスワゴン、現在私たちが乗っている車の特徴は紫のフォルトゥーナ ギャラクスフィアでカーナンバーは日向500 く1912です。」と警察に通報した。ICが見えて素通りするとサイレン音が聞こえてきてその音を聞いたワゴン車は逃げるように走り去っていき、白バイ隊員が「そこの白いワゴン車、直ちに止まりなさい。」とメガホン越しに注意喚起した。僕たちはそれを見送り、次のICで高速道路から降りて数十分車で走った後に舗装された山道を歩くと塀が見えてそこの門の前に立っていた人は僕を見つけると近付いてきて「瑠璃浜 唯織様ですね、話は聞いております。どうぞお入りください。」と言い、僕を門の向こう側へと入らせた。

 それから歩くこと数十秒、頂上に到着した僕を待っていたのは何ともアンバランスな光景なのであった…

 作者の湊です。1か月半の間お待たせしてすみません。今回は前回の続きですのでそちらから見てくれたらうれしいです。

 次回は唯織が神楽の実家へ出向きます。果たしてどんなストーリーが展開されていくのでしょうか乞うご期待です。




キャラクタープロフィール陸

氏名         札島 望海(ふだじま のぞみ)

出身         豊後(現実での大分県)

誕生日        9月3日

星座         乙女座

血液型        A型

身長         肆尺陸寸(約139.5㎝)

スリーサイズ     70/63/77

好きなもの      映画

苦手なもの      人参

所属クラス・出席番号 鬼岩島学園弐年参組弐拾番

部活動        体操部

得意科目       数学

苦手科目       英語

所属寮及び部屋番号  大江寮女子棟505号室

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