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魂魄浄瑠璃  作者: 湊 蓮
第参天守 盛夏下日常《せいかのもとでのにちじょう》
12/15

拾弐之間 特殊試験《ボーナスしけん》・壱■

 午後3時過ぎに「洋菓子 sweet-nector」に入ると2人掛けのテーブル席に島に来てからよく見かける後姿を見かけた。その後ろ姿は同じクラスで出席番号拾捌番の葛木くずき 克彦かつひこであり、9月に行われる文化祭の出し物の演劇の脚本を書いたのも彼である。僕は彼に話しかけることなく背中合わせになるようにカウンター席に座り、メニューを見ていると携帯電話のメール着信音が鳴り、見てみると

 「拝啓 LAPIS様  『楽園のミラージュ』の最新話を閲覧いたしました。今回も僕たちを楽しませてくれてありがとうございます。ぜひとも僕の作品もご覧ください  敬具 極上鍋」とそのメールに書かれていた。それに対して僕は「ありがとうございます。では後程閲覧させてもらいますね」と返信し、その直後にどこかからか携帯が鳴ったような音が聞こえてきた。そして背後から肩を叩かれ、それに反応すると「おい、瑠璃浜。LAPISさんってもしかしてお前なのか?」と葛木君が僕に向かって聞いてきた。その問いに対して僕は「そうだけど、もしかして葛木君が極上鍋さんなの?」と聞き返して向こうも否定しなかった。

 それから他愛のない会話をしていると8月の頭に行われるボーナス試験についての話が葛木君の口からこぼれた。それがどんなものか分からない僕は「ボーナス試験って具体的にどんなものなの?」と聞くとどうやら各教科にちなんだユニーク性に富んでいる10種目を1種目につき3人1組で行うという普通のテストでは考えられない内容だった。因みに誰がどの種目に出るかは6日前の夕方に招集通知が寮の自室ポストに届き、学校への招集がかかってそこで行われる学級会で決める仕組みらしい。

 夕食を食べに外出しようと部屋を出た時、ポストに封筒が入っていて、見てみるとそれは葛木君が言っていた招集通知で、指定された日時は明日の午後4時、場所は弐年参組の教室だった。翌日、指定された時間通りに教室に行き、数分経過してから凪咲先生が教室に入ってきて「みんなー、今回集まってもらったのは1日に行われるボーナス試験で誰がどの種目に出るのかを決めるためだよー。みんな分かってると思うけど結果に応じて島の中で使える専用通貨が振り込まれるから上位に入れば大儲け、頑張って行こー。」と相変わらずのテンションの高さで説明してきて黒板に今回の種目らしきものを書いた。その中には何と僕がやっている音ゲーである「グリップスフィーバー」が含まれていた。それを幸運によるものだと思い、立候補したものの僕の他にも4人が立候補していた。おそらくみんな他の人に譲る気はないだろうから誰が降りることになるか分からない。だが、一番前の列から「あのー、今回のボーナス試験の音楽種目の出場者のうちの1人を瑠璃浜君にした方がいいと思うんですけど。」と僕にとっては助け舟、他の4人にとっては争いの火種となる意見が出てきた。その声の主はクラスのマスコット的存在である札島ふだじま 望海のぞみさんだった。凪咲先生が理由を聞くと札島さんは「おととい船にあるゲームコーナーで瑠璃浜君が高等部の牛込っていう先輩にゲーム対決で勝ったところを見たんです。だから彼が適任かと思って薦めたんです。」と理由を話した。すると今さっきまで立候補していたうちの2人が降りてメンバーが決定した。他の種目もそれぞれ自分が得意分野としている人たちが立候補して時には同じ種目に立候補した人同士で口喧嘩にもなったが誰がどの種目に出るのかが決定した。

 そして開催日である8月1日を迎え、教室内では同じクラスの生徒が待機している。朝10時になると教室に置いてあるテレビに毛根が少しばかり衰退している男性教師の姿が映って「学年主任の野添だ。これから長期休業中の一大イベントであるボーナス試験を始めるにあたって諸注意がある。まず、自分が出る種目以外の時はなるべく教室で待機すること、そして、会場へと移動するときは1つ前の種目が行われている間に行うことだ。次に、得点の計算方法について壱組担任の東雲先生から説明がある。」と言って画面から退場した。その直後にダンディーな男性教師が画面に映って「壱組担任の東雲です。今から種目ごとの特典の計算方法についてご説明します。まず、順位制の種目では1位に20点、2位に18点、3位に16点が加算されそれ以下は順位が1つ下がるごとに加算される点数が1点ずつ引かれていきます。次に、サバイバル制の種目では脱落せずにクリアできたら20点が加算され、脱落した場合はその時点での達成率に応じて加算される得点が変わります。最後に、ボーナス試験の最終種目であるギャンブルクイズでは自分のクラスが所有している得点の4分の1を賭けて筆記クイズに答えてもらい、正解すれば得点が一気に加算されるかもしれません。それでは説明を終わります。」と説明をしてカメラの電源が切れた。第1種目が始まるまで待機していると「10分後に第1種目のタイピングレースを始めますので参加する生徒はコンピューター室へ今すぐ移動してください。また、試合状況を中継しますので担任の先生方はテレビの電源をつけて入力切替をHDMI-1に切り替えてください。」という校内放送が流れた。その指示通りに凪咲先生はテレビの電源をつけて入力切替を行った。そうして10分弱が立ち、テレビの画面に技術担当の志田先生の姿が映り、「今回のボーナス試験での技術種目の監督役を務めることになった志田です。この種目でのルールは2級の検定で使われている問題集から選び出したものをなるべく早く打ち終わり、打ち終わるのが早かった順で順位が決まります。それでは開始です。」とスタートの合図を参加者に対して行った。そして15分程度経過して順位が確定し、1位の生徒がいたクラスは壱組だった。この種目での参組が獲得した点数は24点、だが逆転のチャンスは存在する。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 私は現在、第2種目が行われる第1会議室にいる。机の上にはすでに解答用の小型ホワイトボードと専用のマーカー、そしてクリーナーが置かれていて席順はカンニングを防ぐため1つの長机を1人で使うようになっている。暫く着席して待機していると私たちのクラスで国語の授業を担当している伍組担任の日生先生が会議室に入ってきて「ルールは1問ずつ漢字の問題が出題され、3回間違えた時点で脱落という単純なものだ。因みに問題は全40問、4問ごとに読み問題と書き問題が切り替わる。それでは、初め。」とルール説明をしてスタートの合図を送った。これにより、私の戦いが幕を開けたのだった・・・

 作者の湊です。今回は夏休み中に行われる学校行事のエピソードでした。まあ、この作品内でのことですけどね。

 なお、今回の視点変更は唯織→神楽です。




キャラクター紹介・参

氏名 聖 光希(ひじり みつき)

出身 播磨(現実での兵庫県)

誕生日 5月23日

星座 双子座

血液型 B型

身長 伍尺肆寸(約164.6㎝)

スリーサイズ 89/58/87.5

好きなもの 麺類全般

苦手なもの 納豆

所属クラス・出席番号 鬼岩島学園高等部戦鬼科参年伍組拾参番

部活動 テニス部

得意科目 生物

苦手科目 古典

所属寮及び部屋番号 酒呑寮301号室

ステータス(ランクは下からE、D、C、B、A、S、R、P、I)

属性 光/ジョブ プリースト/武器 本

物理攻撃 B/物理防御 A/特殊攻撃 R/特殊防御 P/身体能力 A/体力 B/靈力 R/知力 A/運 D

角力 女神之手(玖段角)




解説・参

 日本国に置いて人間に紛れて暮らしている角力と呼ばれる異能力と靈力、そして10種類の属性のうちの1種類を持つ種族で82年前に起こった大災害によって人間が後天的になったものが祖先と言われている。

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