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魂魄浄瑠璃  作者: 湊 蓮
第参天守 盛夏下日常《せいかのもとでのにちじょう》
10/15

拾之間 日常帰還《もどるにちじょう》

 合宿が終わり、僕たちは人によっては鬼門とされるイベントを控えていた。それは期末テストである。幸い編入前の不登校時代に個別指導の学習塾に通っていた僕は大して問題ないが同じクラスの3バカと言われる3人に対して一抹の不安やクラス内での順位が底辺に落ちる事が無いことによる安堵感を感じるものは少なからずいた。そして3週間が過ぎ、終業式の3日前にテストの結果が配られた。早速見てみると5科目での順位はクラス3位で学年7位、教科ごとの点数は国語が95点、数学が88点、社会が89点、理科が92点、英語が93点だった。調陪さんの結果もクラス12位で学年70位とまずまずの結果だったらしい。調陪さんは僕の結果を見て「すごい・・・瑠璃浜君って頭いいんだ。」と感心して、僕は「ここに来る前の努力の結果なのかな。」と返して美術や音楽と言った実技科目のテスト結果を見てみると運動音痴が災いしたのか体育は保健でカバーできているものの順位は下から数えた方が早かった。

 放課後、訓練所への和室へ向かうと響禾さんが「2人とも来たわね、今日から本格的にするために戦鬼服を着て訓練するわよ。まずは唯織君のは和服なんだけど初めて着るだろうから着方を教えてあげるわね。」と袴らしきものを出した。そうして着替えが完了し、部屋の外へ出て調陪さんと交代した。数分後、響禾さんが「入っていいわよ。」と僕を部屋に入れるとそこには桃色のビキニの上に迷彩柄の丈が短いサマージャケットを着ていてボトムスはホットパンツという露出度の高い服装の調陪さんが立っていた。それを見た僕は思わず赤面し、2人に対して「な・・・何なんですかその服装・・・」と尋ねると響禾さんが「これは神楽ちゃんが唯織君を悩殺したいと言っていたから私たち姉妹の共通点である豊満なバストをアピールさせてるの。」と衣装に関する事実を教えて来た。それはさておき、今回の訓練に移るが内容を聞いて僕らは何とも思わなかったが響禾さんが「今回買った方にはご褒美をあげるわね。」と言った時、調陪さんはかなりやる気になっていた。そうして今回の訓練である撃ち落とし対決が幕を開けた。ルールは攻撃系妖術を使って訓練用の魔物を打ち落とし、得点が高かった人の勝ちと言うシンプルなものである。なお、相手が打ち落として麻袋に入れたものを盗んで自分の麻袋に入れるといった行為は反則となる。そして両者一歩も譲らない戦いを進め、制限時間は残り1分を切った。今のところ得点は30対25、今のところはこちらが有利だが向こう側がどんな手を使ってくるか分からないので油断せずに試合を進め、時間切れとなった。結果は引き分けだった。試合結果を見て響禾さんは「うーん、困ったわね。これじゃあどっちにご褒美をあげるべきか悩むわ。でもどっちにも上げないとなったら神楽ちゃんが悲しむし・・・どうせなら合理的じゃないけどじゃんけんで勝敗を決めさせようかしら。まあ、仕方のないことよね。」と悩んだ末に僕と調陪さんにじゃんけんをさせ、僕はさすがに運では勝てなかった。先述のとおり、ご褒美は調陪さんの下に渡るという形で決着がついた。

 翌日、学校へ向かう途中に上機嫌の調陪さんと鉢合わせた。僕は何があったのか聞くと「実は昨日、お姉ちゃんにお風呂で背中を洗ってくれてそれから添い寝もしてくれたの。」と嬉しそうに理由を話した。それを聞いた僕は「そうなんだ、嬉しければ何よりだよ。」と反応し、教室へと向かった。

 数十分後、凪咲先生が「それじゃあ、再来月にある文化祭の出し物である演劇の配役を決めていこうと思いまーす。台本の方は事前に葛木くずき君に書いてもらったから登場人物の方は心配いらないよー。」と伝え、葛木君はドヤ顔で僕を含めたクラス全員の方を見た。そして本題の配役決めに入り、メインヒロイン役を調陪さんが、主人公の邪魔をしてくる悪役令嬢にあたる存在の役を期末テストでクラス、学年共に1位を獲った綺躁院きそういんさんが務めることになった。凪咲先生が肝心の主役を指名するとき、彼女の視線が僕の方を向いた時、僕は「主役って・・・もしかして僕!?」と悟り、案の定凪咲先生が指名したのは僕だった。それに対して僕は「ちょっと待ってください、こんな運動神経が悪い僕に演劇で主役をやるなんてとても無理ですよ。」と断ろうとしたが調陪さんが僕の体に自分の胸を押し付けてきて2人そろって周りからの痛い視線を浴びたため承諾せざるを得なかった。しかもその時にあざとく「ねえ、お願い。主役を務めてほしいな・・・ダメ?」とお願いしていたからこうなるのは当然だろう。それはともかく脇役も決まり、配役決めは終止符を打った。

 翌日の放課後から練習が始まったが出番の多さに僕は不安を覚えたが幸い勉強に生かされている記憶力を持っていたためセリフを覚えるのには苦労しない代わりにアクションに関しては苦労するだろう。何せ僕は運動の中でも特に走ることは苦手でシーンを切り替えるときは僕のせいでグダグダになるのではないかと思うと冷や汗が出る。

 こうして1学期は終わりを告げて6週間弱の夏休みに入ろうとして僕は浮かれている。そう、あの悪夢の通知が部屋のポストに投函されるまでは・・・

作者の湊です。今回から第参天守が始まりました。また、新しい点としてキャラクターのプロフィールや作中に出てくる用語についての解説を後書きに入れていこうと思います。




キャラクタープロフィール・壱

氏名         瑠璃浜 唯織(るりはま いおり)

出身         上総(現実での千葉県)

誕生日        11月16日

星座         蠍座

血液型        AB型

身長         伍尺参寸(約160.6㎝)

好きなもの      オンラインゲーム、シチュー

苦手なもの      山葵、運動

所属クラス・出席番号 鬼岩島学園中等部弐年参組参拾番

部活動        無所属

得意科目       主要5科目全般

苦手科目       体育

所属寮及び部屋番号  酒呑寮303号室

ステータス(ランクは下からE,D,C,B,A,S,R,P,I)

属性 死/ジョブ 未定/武器 魔導具

物理攻撃 C/物理防御 C/特殊攻撃 I/特殊防御 I/身体能力 E/体力 E/靈力 I/知力 I/運 A

角力         亡霊使役(玖段角)




解説・壱

日本国

 本作の舞台である国で84の州に分かれている。なお、外見では人間と区別がつかないが鬼と呼ばれる種族にあたる国民が何割か存在している。

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