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勇者「いくつか質問をする。答えるか否かは君に任せる」
勇者「儀式を執行すれば誰も泣かない」
魔法使い「王と親愛なる友人達にとっては、喜ばしいことになるでしょうね」
勇者「とって『は』か」
勇者「儀式の執行に大した危険は伴わない」
魔法使い「答えを知っているはずの質問ね。少なくとも、貴女の一族のすべてが五体満足で帰ってきたでしょう」
勇者「念には念をってね。躓きの種は拾わないといけない」
勇者「最後だ。私は『なにをしてはいけない』んだ」
魔法使い「貴女はなにも禁止されていない。貴女はただ選ぶだけ。そして私は選択を見届ける者」
魔法使い「私は、そちらの縁が深い戦士ではなく、王の縁が深い僧侶でもない」
魔法使い「敢えて節制をしてくれると言うなら、私が頼むのは独り言ぐらいなものよ」
勇者「オーケーオーケー、理解した。私が良い子でいる限りは、文字通り凄腕の魔法使いの手を借りられる寸法という訳だ」
勇者「万事委細丸く納まる。棒切れより余程のこと役に立つ保育士さんのおかげでな」
魔法使い「そうね、否定はしない」
魔法使い「私、お行儀の悪い子鼠ちゃんの躾は得意なの」
勇者「予兆すらなく、斜向かいの民家が爆発した。屋根を構成する破片の隙間から人影が見える」
魔法使い「無詠唱じゃこんなものか。ええい、面倒臭い」
勇者「人影、一見してごろつきの風情の男が抱えた紙袋には簡素な爆弾がごろごろと唸りを上げていた」




