雨ときどき晴れ。
もう何日くらい経っただろうか。
クラスメイトの雨下雪乃とヘッドフォンを買いに行ったのは。
黄緑色のコードのヘッドフォン。
そんなに高価なものではないが、わたし、氷真りこは気に入っている。
わたしと雪乃は中学からの同級生。
中学のときはそんなに…というか友達でもなんでもなかった。
ーただのクラスメイトだった。
しかし、高校に進学しまた一緒のクラスになった。わたしが受験した高校は同じ中学の人が行かないような学校だった。
しかし、そこで雪乃と出会った。
最初は似ている人だなぁ、なんて思った。
雪乃は、髪はストレートで腰の少し上くらいまである。そんな人が世の中にたくさんいる。だから間違えても当然のはずだ。しかし、驚いたことに雪乃から話しかけてきたのだ。
それからわたしと雪乃は休日、一緒に遊びに行くほどまで仲良くなった。
~朝~
「ねぇ、まだー?学校遅れちゃうよー!」
玄関で雪乃の声がした。
「ごめーん!まだ準備出来てない…」
わたしは少し間を開けて返事をした。
時計を見たら午前8時を過ぎていた。わたしは、このままでは遅れてしまうと確信した。
「え~っ。もう8時過ぎてる……」
そんな雪乃の独り言が聞こえた。わたしはダッシュで階段を降りた。靴したのせいで滑って転げ落ちてしまいそうだった。
わたしは「ごめんごめん」と言い、靴を履いた。もう遅刻確定だけど雪乃はなんだか嬉しそうに見えた。
そして玄関の外に出た。
「え?あ、雨?」
雪乃は傘を持っていた。
「うん、そうだよ。今日は雨ときどき晴れだよ?天気予報みてないの?」
「う、うん。傘持ってくる。」
〜学校〜
今日の学校は大変だった。
だった、と過去形だがまだ授業は残っている。
遅刻して叱られて、放課後には反省文まで待っている。わたしは反省文に何を書くか迷っていた。それも授業中。
今は3時限目だ。教科は数学。チョークがたてるコツコツという音が教室に響き渡っていた。わたしは授業のことなど気にせず、ずっと反省文に何を書くか考えていた。
そしてその放課後がきた。反省文の時間だ。授業中、考えに考えた結果、…何も思いついていなかった。
雪乃が隣を歩いている。生徒指導室に向かっているのだ。わたしは雪乃の言っていることなど全く頭に入ってこないくらいに緊張していた。
そして、生徒指導室に着く。
「し、失礼します。」
恐る恐る生徒指導室に入る。
「お、来たか。」
生徒指導の先生の明口先生がそう言った。
「氷真、雨下、もう遅刻なんかすんなよ~?」
先生が子供みたいな顔をして笑う。
「先生、で反省文は?」
わたしは聞いてみた。
「書きたいか?」
と言う明口先生。
どういう意味だろう。書きたいか?と聞いてくるくらいなら最初から呼ばないで欲しい。わたしの授業時間を返して。
そう言いたかった。
「ということは、書かなくていい、ということですか?」
雪乃は嬉しそうに言った。
「あぁ。その代わりもうすんなよ~?」
先生はまたあの顔をした。
「本当ですかっ!?」
「ん?あぁ。」
「「やったーー!!」」
「ん、さよなら。」
「さよならーっ!明口先生!!」
わたしは走りながら笑った。