極色彩
目が覚めると、世界には色しかなかった。
見たことのない、色。
建物も。
部屋も。
寝ていたベッドも、いつの間にか消えて。
僕自身も、色の一つになっていた。
それは、青のような。
赤のような。
紫、黄色、白、黒、灰色、緑、黄緑、オレンジ、茶色。
知っているどんな色でもないし、全ての色が当てはまるようでもある。
全て、この色に溶けてしまったのだろうか。
母さんも、父さんも、妹も、友達も、恋人も、先生も、同級生も。
世界中、全てこの色なのだろうか。
溶けてしまったのなら。
ここにいて、思考するボクは何色なのだろうか。
ふとそう思ったけど。
鏡さえも溶けてしまったので。
わかることはなかった。