gray story.1-05 呼応する指輪
不定期連載ですみません。
「…まだ抵抗するのですか?」
突然目の前の風紀委員が苛々しげに呟いた。
「でるなっ!…ハァ……やっとおさまった…
そこの三人、早く門をくぐりなさい。入学式が始まりますよ!」
急に一人芝居を始めた風紀委員。
そこへ風で彼のしていたフードが脱げ、汗の流れた端整な顔立ちが露になった。
肩より少し上の位置で、毛先がまっすぐ揃えられた薄い黄色の髪と、同色の瞳。
切れ長の瞳にすっと通った鼻筋、薄い唇が、どこか知的な雰囲気をだしていた。
「…むぅ。なんか納得いかないなぁ…ここから戦いにつなげようよ」
「…むぅ。なんか納得いかないなぁ…ここから戦いにつなげようよ」
双子が不満たらたらに言った。
「まぁいいじゃないか。穏便にことが進んで」
微笑みながら言ったが、双子にとってはそれが炎をつける一言だったようだ。
「…これから僕達不機嫌モードになるから」
「あとよろしく」
にっこり満面の笑顔になった後、一気に顔から表情を消し、眉間に皺を寄せ口をへの字にして腕を組む。
顔が端正なせいか、はたまた双子だからなのか、迫力があってこわい。
あとよろしく?自分達のことじゃないのか。
「…」
「…」
それきり双子は黙り込み、歩き出したかと思うと、そのまま門をくぐっていってしまった。
「あ!風紀委員さん、迷惑をかけてすいませんでした」
沈黙している風紀委員の目がさっきと違ったような…
若干風紀委員から殺気がでてるような気がするような…
無視。人間気付かない方が得!
そう言って少し考えたあと、僕は慌てて駆け出した。
三人が無事門をくぐり終わると、その場に残された彼は、唇を歪ませた。
「久しぶりにでられたよ…さて…」
どこか遠くを見るように目を細め、下をふっと見たあと青年は薄く笑った。
そして、呪文のように目を閉じ、左の人差し指につけられた黄色の宝石のついたシルバーリングに口付け言った。
「五界に混沌と狂乱を。闇と死と血による洗礼を」
その言葉に呼応したように、指輪についた宝石は薄く光った。
方言など入っていたら作者などのほうへ通知していただければ直します。