亜威守の事情&若干解説
突然走り出した月架に手を引かれ,私達は高々とあがった氷柱目掛けて走っていた。
「…って!何で私達が走ってるの!?」
「だって今の見ただろ!氷柱上がったぞ!?恐らく亜威守だ!」
旬藍が魔法使いで,月架が吸血鬼で,じゃぁ亜威守は?
…アレ?これさっきも聞いたような気が…駄目だ,思い出せない(焦)
名前的に氷ですか??月架が言ってた言葉から連想されるのはやっぱ氷…?
「分かった!雪男!!」
「ちげーよ,亜威守は不死鳥だ!氷の不死鳥!」
不死鳥って言ったら燃えてるイメージしかないんですけど…氷と炎って真逆じゃね??
「氷の不死鳥って何?燃えるの?」
走りながらこんなお気楽な質問をするのはどうかと思うが,気になるのだから仕方ない。
しかし月架はさもめんどくさそうにはぁ!?と吐き捨てると手短にだからな!と念を押してその名の通り超手短に説明してくれた。
「亜威守の親父が不死鳥と雪女の子供で,もう片方は人間!だから氷の不死鳥と人間が混ざった奴!」
「ふぇー…」
自分で聞いておきながらこの反応はどうかと思ったが…素直にこう思ったので仕方ないと思う。
「以上!話終わり!!!飛ぶぞ柴炎!」
「え!?ちょっと待――」
月架はとんっと後ろにとんぼを返し,勢いをつけると私を軽々ひょいっと抱いて空に舞い上がった。
ぎいぃぃぃぃやあああぁぁぁぁ!!!!!!
眠った夜の都会に,私の叫びがこだました。
~☆~☆~☆~
亜威守は狼の攻撃をかわすべく,空を翔け回っていた。
『…これ…D難度の依頼書じゃ無かったの?めちゃくちゃ強いんですけど…』
右へ左へ,次々と吐かれる火の玉を氷の翼をはためかせて避ける。
時々長い氷の尾に火の玉が掠ったりしたが,さほど問題は無い。
「とりあえず浄化しないと…」
夢悪魔は触れるととてつもない睡魔に襲われるため,うかつに近寄れない。
かといって近づかないと浄化できない。
夢悪魔の種はは誰かの見た“悪夢”
その悪夢から逃れたいという気持ちが強く芽生えると,その悪夢は強制的に体から追い出される。
しかしその追い出された不安定な悪夢は実体が無いため,実体を求めてさまよう事になる。
そのさまよっている悪夢に不運にも触れてしまった命在る何かは悪夢に体を支配され,夢悪魔へと豹変してしまうのだ。
しかし夢悪魔にも弱点は在る。
“太陽の光”
その為太陽が昇っている間には絶対に行動しようとはしない。
そんな太陽の光の代わりをするのがサンストーンと呼ばれる石。
つまりこの石を夢悪魔に少しでも触れさせることが出来れば悪夢は消え,支配されていた者も自我を取り戻す事が出来る。
短っ!(リア友コメント)
すいません…