ピンチを分かっていない主人公+変態(?)
「そりゃぁ俺は何度も女子の部屋に無断入室したし,女子トイレも入ったし,翡翠と一緒にエロ本見たし!確かにいろんなことしてるけどさーぁ,そこまで単刀直入に言わなくてもいいんじゃないの?」
「ハイハイソウデスネー」
さっき亜威守と旬藍に変態指摘をされた月架はずっとこのようなグチをこぼしながらスネて居た。
「さっき夢悪魔が出たでしょ,だから俺と旬藍はちょっと見回り行ってくるからそこの変態の子守頼んでいい?」
亜威守に呼び捨て許可を貰った私は先程この林から出て行った二人の代わりに月架の子守を頼まれてしまった。
亜威守の真顔頼みが(アルイミ)本当に恐ろしくて,思わず「ハイ」と応えてしまったが最後,私の地獄は始まったのだ。
「だからってさぁ,そんなにはっきり…そんな…そそそんなにスッパリ言わぁくてもいいじゃん」
何度も同じようなことをリピートしているせいか,時々月架の文句が詰まったり呂律が回りきれていない箇所がある。
「…聞いてるの,柴炎」
「ハイハイキイテマストモー」
うわぁ,今のめっさ棒読み!何このセリフ,主人公としてアリですか!!?
「どうせ俺なんか直射日光に当たって灰になってそんでそのまま風に乗って舞い散ってしまえばいいんだ…」
めっさネガティブ!ってかその内訳が吸血鬼って分かってるから妙にリアルで怖いんすけどっ!!
…とりあえずこの気まずい状況を打破しなくては…その為にはまず月架を元に戻さないとね!
「げ…月架?」
「…何?俺なんかもう死んじゃえば言いと思ってんでしょ,柴炎は俺なんかより亜威守の方がいいんでしょ」
「…そりゃまぁ…亜威守はイケメンだけどさぁ,月架もたいがいいい線行ってると思うよ~?」
い…今のはフォローになったのだろうか…
変に上がる心拍数のせいで額からどっと汗が噴出す。
「…そぅなの?俺ってイケメンなの??」
月架がにへらぁ~と弛んだ不気味な笑みを口元に浮べながら鼻水と涙とよ〇れ(※余りにもグロテスクなので隠します)でぐしょぐしょになった顔を私に向けた。
ヒロイン(多分)としてどうなの,このビジュアル……
でも,効いとる!めっさ効いとるよ“イケメン効果”!!
どんだけ単純なんでしょう…この変た…(おっと)月架は…
「そうだよ!絶対旬藍も惚れてるって!月架かっこいいもん!!」
旬藍と聴いた瞬間,月架にスイッチが入ったように負のオーラが勝機に満ち満ちたオーラに変わった。
漫画で描くと,キラキラトーン+花が飛んでいそうである。
「そそそ…それぁないれしょう!!」←どもりまくり
「あるかもよ(9割方在り得無いけど)」
…薄々勘付いてはいたものの…旬藍効果絶大ね,月架。
先程まで力なく垂れ下がっていた黒き翼がバッサっと急に起き上がった。
顔にも翼にも出ちゃうって,月架って結構純粋なのかも。
…まぁ,恋は盲目って言うもんね(笑)
旬藍へ おそれいりやした
by,柴炎
「そうか…旬藍が俺を…ぐふ,ぐふふふふ~」
オイオイ月架サン,目がまり〇っこりみたいになってますぜ。
その口からだれたよ〇れをまず何とかしなさい!
~☆~☆~☆~
オオォォ~ン!!
「旬藍っ!」
「…掻き消された…魔力が足りない…」
旬藍と亜威守の前に立ちふさがったのは先程の狼だった。
月光の様な鋭い牙を剥き出し,今にも飛び掛らんばかりの気迫でじりじりと2人との間合いを詰める。
「旬藍,もうやめとけ。さっきの水流で力を無駄遣いしすぎた。」
亜威守が鋭いながらも優しい声ではぁはぁと肩で息をしている旬藍の前に立ちふさがる。
旬藍はふらふらとおぼつかない足取りで「面目アリマセン」と告げると,亜威守の邪魔にならないよう,脇のほうに避けた。
旬藍が自分から離れたのを確認すると,亜威守は手を胸の前で硬く組んだ。
「せーの…っ!!」
ガウウゥッ!!
亜威守を中心に取り込んだ氷柱が空に上がったと同時に狼が亜威守の氷目掛けてその鋭い牙を光らせた。
「亜威守…その狼は…」
旬藍は木に寄りかかってその光景をじっと見ていた。
やはり先程の規模の大きすぎる水流の実体化が応えたのか,一向に息切れが止まらない。
この状態で亜威守に加勢に行っても足枷になるだけだ と切に思う。
しかし旬藍にはどうしても加勢に行きたい理由があった。
さっきは亜威守の優しさについその場を後にしてしまったが,今思うとやはり加勢に行かねばと思う。
学園で見た依頼書にはD難度のランクで特殊能力は無しと書かれていたはずなのに,この狼もどきはばんばん特殊能力を使ってくる。
夢悪魔の特殊能力は普通,C難度から扱えるようになる。
しかもその能力は日に日に向上し,一週間も経てばランクが1つ上がって討伐するのがかなり難しい。
でも今は亜威守に賭けるしか方法は無かったんだ。
久しぶりの更新(?)
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