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華麗なる戦隊ヒーローヒロシ!カレー♡(らぶ)ヒロシですっ!

作者: 山本大介

※しいな ここみ様個人企画「華麗なる短編料理企画」参加、一皿でございます。


 戦えっ!カレーのためにっ!

 世代間ギャップ大爆発っ(笑)。

 頭空っぽでまじぇまじぇ調理〜。

 どうぞ、この一皿召し上がれ。

~シークレットチーム5(ファイブ)連ズ、メンバーイエローメン合田ヒロシの憂鬱~


 採石場と思われる崖の上から、颯爽と登場するシークレットチーム5(ファイブ)連ズの5人の戦士たち、言わずと知れた戦隊ヒーローである。

 どこからともなく聞こえる太鼓の音。

 ♪ドンツト、ドンツト、ドンドンツト、ドンツト、ドンツト、ドンドンツト♪

「来たか、にっくき、5(ファイブ)連ズよ。このワシ広島カープキチ○○仮面が相手になってやるぞ」


「レッドメン!」

 ラメ入りのピチピチスーツを着た赤い仮面の男がサムアップポーズを決める。

「ブルーメン!」

 同じく青い仮面の男が、ベスト・キッドの最終局面で見せた両手広げ片足立ちポーズをとる。

「グリーンメン!」

 緑の男がジョジョ立ちする。

「イエローメン!」

 このお話の主人公、黄色の中の人、合田ヒロシはカレー皿をがっちり両手で持って、頭上に掲げる。

「カレークック」

 カレー皿を頭の上に乗せて、寒い往年ギャグをぼそりと呟く。

「ピンクレディ」

 紅一点女性の桃仮面はだっちゅーのポーズで怪人を悩殺する。

「ファイブ揃って!」

 皆は口を揃える。

「5(ファイブ)連ズ!」


「ピンクっ!5アイアンアタックだ」

 レッドはピンクに指示をする。

「OKっ!5アイアンアタックよ。セット!」

 ピンクは鉄のボーリング玉を地面に置き、蹴り上げた。

 ぐきっ!

「でぇーい!ボールはトモダチそれっ!グリーン」

 ピンクは必至の形相で、あらぬ方向に右足が曲がりながらも鉄球は空を舞った。

「おおおぅ!イエローっ!」

 グリーンは躊躇いながら、スカイラブハリケーンJITOH土台よろしく両足の裏で鉄球を蹴り返した。

「・・・・・・」

 すると、カレー皿を置いたイエローの頭の上に鉄球が直撃し、皿は粉微塵にルーと米が地に落ちる。

「ワシのカレーが・・・まかせんしゃいなんか言うかいっ!」

 イエローは両膝をついてカレー神へと詫びをいれる。

「よしっ、ブルーっ!」

「分かったよレッド君っ!」

 地に落ち行く鉄球をレッドとブルーで、地面スレスレにツインシュートをかます。

「あのね、あのね、あのねのね、キャッチングちゅうもんはこないするんのよ」

 カープ仮面はレジェンドキャッチャーのあのドヤ顔ばりで、鉄球をキャッチした。


「馬鹿め」

「なんだと」

「それには爆薬が仕込んである」

「定番ちゅうんかい。しっかし、今年のカープはがんばっとるよ・・・」

 ドッカ―ン!

 こうして、全人類をカープファンにするというカープ仮面の恐ろしい魔の手から、5(ファイブ)連ズは平和を取り戻したのだった。


 

 数日後・・・。

 喫茶店メロウメロウにて、

「こんなところにいたのか、イエロー」

「なんじゃい、レッド」

「緊急招集がでているぞ。こんなところで油を売っている場合じゃない」

「待ちんしゃい。今、カレーを食べているでしょうがっ!」

「お前、そんな場合か?今にも地球の平和が・・・」

「ノンノン腹が減っては戦が出来ぬ。見てみんしゃい。このカレー・・・サテンのカレーといえば、どことなくレトルト(失礼)風情を醸し出しとるが、ここのはどっこい、正真正銘のボ〇カレー・・・」

「ちょっと、お客さん」

 マスターが慌てて、口留めに入るが、ヒロシは人差し指を左右に動かす、

「〇ンカレーは至高」

 彼は飲むようにカレーを食べた。

「じゃあ、行こう!」

「断る」

「はぁ」

「まだ7杯目を食べとらんでしょうが」

 結局、イエロー抜きの4人でなんとか怪人を倒した5(ファイブ)改め4連ズだった。


 次の日。

 GOGO壱番ヤーにて。

「イエロー怪人がでたぞ」

 ブルーはカレーを待つヒロシの隣へ座った。

「おんしも食べるか?」

「俺はいい・・・今日は来てくれるよな」

「待ちんしゃい。このGOGO壱のカレー、チェーン店と思って侮ってはいかんぜよ。毎回ことあるごとに値上げをしておるが、クォリティは変わらん。平均点のTHEカレーたい」

「・・・ちょっとお客様」

 店員が間に割って入ろうとする。

「だまらっしゃい。ここ数年の値上がり幅言ったろうか・・・もはやカレーの領域を超えてまへんか?だけどワシは好きだぎゃあ。とび辛スパイスで奥行きを楽しむバイ」

「おい。イエロー」

 ブルーはヒロシの肩を引っ張る。

「まだワシが食べている途中でしょうがっ!見て見い、この800gのメシにポークカレーほうれん草にチーズとカツとハンバーグのトッピング、旨いけどいくらになると思う?」

「・・・お客様」

「褒め言葉タイ」

「勝手にしろ!」

 ブルーは店を飛び出し、今回もイエロー抜きで敵を倒した。


 翌々日。

 インド風カレー店「カレーナンデス」にて。

「ちょっと、イエローいい加減にして」

「そうですよ~」

 ピンクとグリーンは二人がかりでヒロシを連れに来た。

「なんじゃい」

「なんじゃいじゃないわよ。アナタがいないせいで私たちは満身創痍で戦っているのよ」

「そうですよ。自分だけカレーばっかり食べて・・・」

「おんし等も食べりゃよかろうもん」

「地球の平和がかかっているのよ」

「ワシはそんな御託よりも、ここのインドと言いつつ、ネパールの人が経営するネパールカレーが好きじゃい。印度風に隠れるというネパールの奥ゆかしさよ」

「チョット、オキャクサン・・・」

「このバターチキンカレー最高じゃの。ナンの無料おかわりっ!」

「ワカリマシタ」

「ちょっと、戦いなさいよっ!」

「まだイエローメンが食べているでしょうがっ!」

 ヒロシはガン開きで、二人を見た。

「・・・いこ。グリーン」

「・・・イエローさん」

 二人は店を出て行った。

「ふん」

 ヒロシは5枚目のナンをパクついた。


 そして、ついに合田ヒロシことイエローメンは、正義不行為で九州の秘密基地への左遷となった。

 その代わりにタカシ=バーモントが2代目イエローメンとなった。


 左遷されたヒロシは自宅での特製カレー作りに精をだす。

「やっぱり原点回帰たい。我が家のカレーが一番、それに一日置いたカレーが最高にうまかったい」

 じゃがいも、にんじん、たまねぎ、牛肉、カレー粉、オーソドックスの中に日本人の味浪漫のすべてがこめられている。

「でいすいず。ふぁみりーカレー№1たい」

 ヒロシは鼻歌混じりに、慣れた手つきでカレー皿に、白御飯とカレールーをかける。

「おお、うまそうばい!」

 彼はちゃぶ台にカレーを置くと、揉み手をしスプーンを持とうとする。

 すると、ブラウン管テレビの「私の知らない世界」放映が切り替わり、本部の指令室が映し出される。

「長官っ!食事中でしょうが!」

「合田ヒロシ・・・いや、イエローメンよ。5(ファイブ)連ズが全滅の危機に瀕している。至急応援を頼・・・」

「知った、こっちゃなか」

「ヒロシっ!」

「あっしには関わりのねぇことでござんす」

「地球の平和が・・・」

「もう、切るタイ」

 ヒロシはテレビのスイッチを切った。

「・・・・・・」

 彼は渋い面でカレーを頬張った。

「ワシの知ったこつじゃなか」


「くそっ、このままでは全滅だ」

 レッドは圧倒的怪人の力の前に膝まずき絶望を感じる。

「レッド、イエローがっ!」

 ピンクが叫ぶ。

「不覚ったい。ハヤシライス仮面のデミグラビームでやられるとは・・・カレー大好き先輩に申し・・・訳・・・が・・・た・・・た・・・ん」

 ・・・がくっ。

 ピンクの膝の上でイエローが殉職した。

「タカシっ!」

 そこへ熱々のカレーを寸胴鍋に入れて、両手で持って来るヒロシ。

「ふふふふはははははっ!カレーを滅ぼし、ハヤシライスの新しい世を築くのだっ!死ねぇい!5(ファイブ)連ズ」

 ハヤシライス仮面が、頭の皿からスプーンで取り出し、極大デミグラビームを放とうとする。

「そうはいかんたい!」

 ヒロシは、おたまで寸胴鍋からカレーを掬うと怪人目掛け投げつけた。

 両目にジャストフィット!

「目が~目がっ!」

「今だっ!」

 レッドが叫ぶ。

「ガバドリーン、ガバタンク、ガババルーン、ガバジェット、ガバデッシュGOっ!」


 アタックっ!ネオっ!バイオとドリームの力っ!

 レッドは情熱熱血

 ブルーはクールに決めるぜ

 ピンクはマドンナ昭和の香り

 グリーンは新米若造っ

 イエローはカレーカレーカレーカレー華麗カレーだっぴょーん

 闇に隠れてシークレットサービスお届け

 平和を守る僕らのヒーローその名はシークレットチーム5(ファイブ)連ズ(WAOっ!)

 ガバガバガバガバガバドーリーン(レッド!)

 ガバガバガバガバガバタンク(ブルー!)

 ガバガバガバガバガババルーン(ピンク!)

 ガバガバガバガバガバジェット(グリーン!)

 ガバガバガバガバガバデッシュ(覚醒イエロー!)

 行くぜ行くぜキクぜカレーのスパイシー

 お子様には甘口大人は中辛辛口って誰が決めた

 大人のいいなりなんかなりたくないっ!

 正義の甘口愚連隊

 シークレットチーム5(ファイブ)連ズ(WAOっ!)

 WAOWAOWAO~っ!



 どこからともなく正義のマシーンが現れ、5連ズの面々が乗り込む。

「5連ズ合体っ!」

 それぞれの機体が空中で上手い事、変形し巨大ロボとなる。

 そしてガバデッシュ(皿)を操るヒロシが頭部となり、巨神ロボ華麗COOKがここに爆誕した。

「食らいんしゃい」

 ヒロシはレバー操作で両手を頭上にあげると、角替わりの皿を持ち上げた・・・ので、ロボはつるっパゲとなっているが、みんなは真剣なので気にシナイ・・・が、あえてその滑稽な様子を書いてみた・・・さながら、セブンがアイスラッガーを投げた時のような・・・このハ~ゲ~!

「ああああああ」

 ハヤシ仮面の見上げる先には・・・。

 怪人相手に巨大化したロボが襲いかかるという理不尽極まりない行為に、林氏は怒りと絶望が込み上げる。

 落下する華麗COOKがまさにダンクシュートの構えとなり、ハヤシライス仮面の頭上に叩き落とした。

「屈辱の・・・あ、合いがけ~っ!」

 衝撃で怪人の皿が割れ爆発する。


 こうして5(ファイブ)連ズと再加入したヒロシの手によって世界の平和は守れたのだった。

 いけっ5(ファイブ)連ズっ!愛と自由と華麗なるカレーのためにっ!


 親愛なる華麗なるカレーに愛を込めて。


 「秘密戦隊ゴ◯ンジャー」半世紀突破おめでとうございます。

 ハヤシライス仮面のひとりごと「それはJ(バトルフ◯ーバー)からだろっ!」

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― 新着の感想 ―
アハハ! ここまでのカレー好きのイエローは、戦隊者歴代ナンバーワンかも。 合いがけ、素敵な決め技! 楽しかったです。
すごい……二代目の殉職から初代の復帰まで再現してますね。
イエロー、キャラが濃すぎたいっ! カレーを愛しすぎたイエローよ。永遠なれ!
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