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襲撃

 自領を出て、隣領で馬車を走らせること、数十分。周囲は段々と何もない荒野へ変わっていった。

「この辺りはもっと緑豊かな土地だったと聞いていたんだが」

 窓から流れる景色を見て青年は愕然と呟く。病弱な青年が直撃見たわけではないが、商人や旅人から各地の情報を集めることはでき、その中にこの隣領の自然が素晴らしいという話もあったのだ。

 けれど、自領を越えてからしばらくは緑豊かな土地だと見えたが、隣領の中心へ進むにつれ緑は少なくなり、何も()えない荒野だけが広がっている。

「統治していないことが丸解りですね」

 馭者(ぎょしゃ)(つと)めながらも青年の呟きを拾っていたらしいサギリの言葉に「数カ月でここまで変わるものなんだね」と青年は力なく答えた。

 この世界では一般的でなくなってしまったが、遥か昔、貴族は領地を()べ、適切な税を払うことで王家に忠誠を表していたという。けれど爵位が鍵となってから、それらは一切取り払われ、その地に住む民のことを気に()める貴族は失われた。

 領地を(まも)り、鍵を奪うことも奪われることもなく、遥か昔の貴族のしきたりを踏襲している青年の一族だけが時代に取り残されている。

「サギリ、そろそろかな」

 荒野になっていくにつれ、増えていく殺気に青年は苦笑し、サギリは嫌々馬車の速度を緩め始めた。

 と同時に馬車の頭上に暗雲が立ち込め、霧や靄が発生し、視界を奪っていく。

「まぁ、視界を奪ったとしても、気配を断たなければ意味がない」

 ()(くら)ましに(いなな)く馬を放ち、サギリは馬車の天蓋で襲撃者を迎い入れた。

 魔法や矢、挙句剣までが飛び込んでくるが、サギリは愛刀で一刀両断し、霧や靄を払うように風を呼び込む。徐々に晴れていく視界の隅からの攻撃を(かわ)し、青年へ一太刀すら浴びさせることなく、馬車の天蓋から()りた。

「サギリ、油断は禁物だよ」

 気配だけで状況を把握する青年に「はい」と返しながらも周囲を警戒し、サギリは愛刀を地面に突き刺す。

 ズズズと愛刀に反応して土壁が形成されていくが、それは大量の水流によって押し返された。

「――っ!!」

「だから言ったじゃないか。油断は禁物だって」

「申し訳ございません」

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