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元コンビニSV(スーパーバイザー)のダンジョン運営 ~固有スキルスーパーバイジングは最強でした~  作者: 橘 弥鷺


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9/10

06-異世界の生活

こんにちは橘 弥鷺です。


元コンビニSV(スーパーバイザー)のダンジョン運営に、ご興味をいただきありがとうございます。

お読みいただければ幸いです。


尚、前作の完結しておりますSTRAIN HOLEもあわせて、是非、お読みいただければ、うれしく思います。

STRAIN HOLE

N6940GN

https://ncode.syosetu.com/n6940gn/

 早乙女とミーナは、夕方に図書館を後にする。いままで見たことがないほどに、本や資料に目を通して、ノートに纏めているアルトに、怪訝な顔を向けるミーナだったが、最初はアルトの変わりように診療所に行くように言ったりしていたのだが、図書館の近くの食堂で昼食をとった辺りから、ミーナもあまり気にしないようになっていた。それは、いままでのアルトであれば、ミーナの世話焼きにぶつくさと文句を言って、最終的には口喧嘩になっていた。それはそれで幼い頃からのふたりの関係性だったので、気にならなかったのだが、今のアルトは、ミーナの世話焼きに感謝の言葉を返したり、ちょっとした気づかいをしたりと、ミーナを大切に扱うような素振りを見せている。それは、ミーナのいままでの行動への返答なのではないかとミーナが勘違いする程度には、攻撃力があった。ミーナの隠していた淡い感情を再燃させるには充分な燃料なのだ。アルトの隣を歩くミーナは、少しだけ弾むような歩調で家路に向かう。そんなミーナを見てアルトが声をかける。


「なんかミーナ楽しそうだね? 」

「そう? そうかもね♪ 」


 ミーナは、ハニカミながら上目遣いでアルトを見上げる。早乙女は、その顔を見て率直にかわいいとは思うのだが、多忙を極める上に、年々過剰な程に言われるようになったハラスメントやコンプライアンス遵守という社会が、身近な女性の機微の変化を察知することを鈍くさせた上に、早乙女とミーナはひとまわりもの歳の差が、早乙女の恋愛ソナーにミーナを感知する事はなかった。念のために、早乙女の名誉のためにつけ加えると、早乙女が女性経験がないわけではない。人並み程度には、恋愛経験も女性と交際もしているし、女性から告白され交際したことだってある。ただ、多忙な仕事に疲れ、数年で転勤を言い渡される生活を送ってきた早乙女は、恋愛をめんどくさいと思うようになり、彼女を不要な生活にさせた。そんな、中年に突入した早乙女に、ミーナのハニカミなど、子供が見せるかわいらしい姿にしか見えない。ミーナが楽しそうにアルトに尋ねる。


「アルトは夕ごはん何食べたい? 」

「夕飯かそうだな…… 」


 こちらの料理を知らないので、早乙女はアルトの記憶を探るが、料理をしてこなかったアルトの記憶に料理名が出ることはない。アルトが旨いと感じる感覚が多かった料理を早乙女は返答する。


「肉料理かなぁ? 」

「アルトお肉好きだもんね♪ それじゃサラダも作るからちゃんと食べるんだよ! 」

「わかったわかった。オレも手伝から帰りに買い物していこうよ」

「う、うんそだね…… じゃ マーケットいこ」


 ミーナがアルトの返答にまた戸惑うような表情を見せるが、すぐに気を取り直してアルトの手を引いて歩き出す。アルトとミーナは、マーケットで食材を買い物して家路につき、ふたりでキッチンへと立ち夕飯の支度を始める。ミーナは鼻歌混じりに野菜を洗いながらアルトに声をかける。


「アルトがキッチンに立つって珍しいよね♪ 」

「たまにはね」


 早乙女は、アルトが料理下手なのは記憶から把握しているが、早乙女は長年の独り暮らしから自炊に慣れている。むしろ料理を作るのは好きなほうだ。独り暮らしの部屋のキッチンは簡素なものだが、この部屋のキッチンは、料理を作りたくなるモチベーションをあげてくれるから、自分も料理をしたくなった。それにこの世界で生きるならば、最低限生活用品は使えるになった方が良いと思ったからだ。キッチン周りを見ると、この世界は火を極力使わないので、コンロはIHのようにフラットな作りで熱を発生させるが、それは電気でなく魔力で発生させるようだ。また、蒸気を多様するインフラに社会がなっているので、各家には蒸気ダクトが配管されており、暖房や料理に使用する。使い勝手のわからない早乙女はミーナの助手として手伝っているが、基本的な料理は、蒸気を使った蒸し料理が一般的なようで、オーブンに似た備え付けの調理器具は、スチームで加熱し調理するようだ。ミーナが手際よく何品か下準備を済ませる。それを見ていた早乙女は感嘆の息を漏らしミーナに声をかける。


「ミーナすごいね。流れるような手際だ」

「ホントに今日のアルトは珍しい♪ そんなに褒めたって何も出ないよ♪ 」

「いや、褒めるとかじゃなくて、素直に感心してるんだよ」

「ホントに~♪ じゃもう一品作っちゃおうかな♪ 」


 ミーナの年齢で、ベテラン主婦並みに手際がいい少女を早乙女は見たことがない。無論、女性だから料理ができないととは、早乙女も考えていない。むしろ、性別関係なく、料理はできるに越したことはないと考えている。料理が好きと言って凝った料理作れる事や材料や道具にこだわるよりも、ある食材で手早く作れる手際のよさが、日々料理をしているのだと証明している。早乙女は心からの感心なのだが、ミーナはアルトに褒められ、嬉しそうに冷蔵庫の中を見て食材を取り出し、もう一品作り始める。早乙女は自分の出る幕はないなと悟り、皿洗いと片付けをはじめる。


「ただいま~ 」

「兄さんだ。おかえりなさい」


 もう一人の同居人であるミーナの実兄であるルイガノが帰宅したようだ。ルイガノはキッチンに顔を出すなりアルトを見て声をかける。

挿絵(By みてみん)


「アルト起きててもう平気なのかい? 」

「ああ、心配かけたもう平気だよルイ」

「兄さんすぐに夕飯にするから今日はアルトの快気祝いだよ♪ 」

「そうだね。それじゃアルトとミーナにも今後の話もあるし食事をとりながら話させてもらおうかな」


 ルイガノは、含みのある言い回しで微笑むのであった。

お読みいただきありがとうございます。

次話も引き続きお楽しみいただければ幸いです。


前作のSTRAIN HOLEも何卒よろしくお願いいたします。

N6940GN

https://ncode.syosetu.com/n6940gn/


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