03-異世界の仕事と生活
こんにちは橘 弥鷺です。
元コンビニSVのダンジョン運営に、ご興味をいただきありがとうございます。
お読みいただければ幸いです。
尚、前作の完結しておりますSTRAIN HOLEもあわせて、是非、お読みいただければ、うれしく思います。
STRAIN HOLE
N6940GN
https://ncode.syosetu.com/n6940gn/
「えーと、神が与えしダンジョンのコアを手にし、星を蘇らせれば、大地は肥、自然が恵みを与える? 」
早乙女は、図書館のダンジョン関連の本を何冊か本棚から選び読みはじめたが最初でつまずく、ダンジョンがなんなのか知りたかったし、ダンジョンシーカーと言う職種の存在する理由を知りたかったのだが、本の冒頭がまさかの神様がどうとかこうとか書かれている。早乙女は、別の本を開くとこちらも似たような文面が目に入った。早乙女は、本を選んだ棚の上にある分類案内の表示を見ると、この国の地理や地図と一緒にダンジョンの分類を表記されており、宗教や信仰などの分類ではない。
「最初から神話的な話か…… 」
早乙女は、本の情報事態が怪しく感じている。早乙女の元コンビニSVという職業柄、精度の高いデータと正確な情報でなければ大失敗となることを知っている。天気予報がハズレれば打撃を受けるし、周辺イベントが中止になれば大誤算だ。神様というあまりにも不確実な存在に本を読むのが、おっくうになりながらも読み進める。
本によれば、過去、この星を滅ぼそうと来襲した神から、この星の生物を護る為に、この星の守護神が緊急措置としてダンジョンを与えたのだが
「ダンジョンと言うよりは、要はシェルター的な感じか? 違うな…… 転移装置か? 」
本の記述には、ダンジョンは別空間へと転移するようで、地下迷宮や牢獄のような場所でもない。しかしながら継続して滞在できるのは48時間で、その時間が経過すると強制的にこの星に戻って来るようだ。そこで人々は、ダンジョンの核であるダンジョンコアを手に入れ、ダンジョンマスターとなることで、ダンジョン内の環境を、ダンジョン外部へと影響させることに成功し、その環境下の地下に街を作りはじめたのが、今の街の姿のようだ。1つのダンジョンコアによって外部の影響を及ぼすのは周囲5キロの範囲で、この国の首都及び大都市は、ダンジョンコアを5キロ毎に敷き詰め領土を広げたが、この自治区はダンジョン探索の出先砦のような地域であり、1つのダンジョンコアで作られた小さな街が、20箇所点在している上に、街の人口密度が高く、首都周辺の領土と各街とは地下に掘られたトンネルで行き来するのが通常だ。そんな管理が面倒で移動するにも危険が伴うこの地域を歴代の国王から任せられていた辺境伯は、国王の民主化宣言の後すぐにこの領地を捨てた。
「ダンジョンがないと人が生きるには過酷な環境…… 神々の戦いより、過去の人類が世界大戦で自滅したと書かれていた方がまだ理解しやすかったかもな…… まぁこれでダンジョンコアを探すダンジョンシーカーって仕事が存在する理由はわかった気がする」
ダンジョンとダンジョンコアが人々の生活に重要なのは理解できた。コアがなければ街を作ることができず。コアのあるダンジョンを探すには、過酷な下界と言われる自然環境に出るしかない。そこで、各探索者組合は所有するダンジョンで所属する探索者の育成の為にダンジョン内にモンスターを放し飼いにするエリアを設け、ダンジョンをトレーニングジムのような扱いにして運営しているようだ。いろいろと理解できないことも多いが、そう言うものだと受け入れるしかない。そもそも異世界に送り込まれた時点で自分の固定概念が通用しないと早乙女は覚悟していた。
「それにこれは…… まさにファンタジー世界だよなぁ」
30歳のおじさんとしては、まさに素直に受け入れられない現実があった。自身の自宅やこの図書館にもある生活家電や照明などの一見見れば普通の家電製品なのだが、やはり異世界根本的な作りが違うのだ。
「魔法…… ねぇ 」
早乙女は、他の棚から生活関連や魔法関連の本を読みはじめる。この世界も電気は使用するし、蒸気なども使用するようだが、大きく違うのは原油から作られる物は燃料としては使用例はほとんどないに地下に街を作る環境下では空気を汚す事を避けるからだろう。プラスチックや油圧などの道具としての使用はしているようだ。そして、この世界の生活家電や道具の内部動力源に使用されているのが魔法である。早乙女は自身の自宅を思い返す。各照明やドライヤーにテレビのようななにかもあったし、キッチンには冷蔵庫のような物からミーナが食材を取り出していた。その見た目は家電製品に酷似しているので、気にも止めなかったが、そのほとんどは魔法によって起動し常時電源が必要なものは特別な無線技術で電気が送り込まれている仕組みらしい。
「以前の世界より文明進んでないか? 」
魔法によってほとんどの生活用品はコードレス化され、化石燃料を使用しない社会が出来上がっているので、ある意味では日本があった以前の世界よりも高度な文明な気がするのだが、街並みはそこまで未来的な感じでもない。イメージで言えば、アニメやゲームのスチームパンクの世界と言えば伝わるだろう。元の世界からすれば不思議な発展した道具や街並みと社会なのだが、この世界ではそれが当たり前なのである。
「ほとんど使い方は変わらないようだし、気にすることもないか」
異世界とはいえ、ほとんど同じ体型の人間が使用するわけだから、製品に大きな違いはない。
「後は、この視界にはいる何かだよな…… あいつ固有スキルとかスーパーバイザーがどうとか言っていたよな…… 」
早乙女は自身の視界に入り、自身の心拍数と同じ様に淡く光るARのように小さなアイコンの存在に意識を集中させるのであった。
お読みいただきありがとうございます。
次話も引き続きお楽しみいただければ幸いです。
前作のSTRAIN HOLEも何卒よろしくお願いいたします。
N6940GN
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