16-アルトの打算
こんにちは橘 弥鷺です。
元コンビニSVのダンジョン運営に、ご興味をいただきありがとうございます。
お読みいただければ幸いです。
尚、前作の完結しておりますSTRAIN HOLEもあわせて、是非、お読みいただければ、うれしく思います。
STRAIN HOLE
N6940GN
https://ncode.syosetu.com/n6940gn/
「で、アルト何が狙いなの? 元公爵令嬢の姫を口説いて…… 逆玉でも狙うつもり? 」
アーリエとセナと別れたアルトたちは、自宅へと戻り落ち着いたところで、半眼でミーナがアルトに尋ねる。ミーナは、3人分のコーヒーをテーブルに並べ、自身のカップを両手で口元に運び雑談を装う声音でアルトに尋ねるが、アルトはカラカラと笑いミーナの向かいの席に座り返答する。
「口説いた訳じゃないよ。まぁでもある意味口説いたことになるのかな? 」
「何それ? わかるように言ってよ」
アルトの返答に怪訝な表情を隠すことなく、ミーナはアルトに説明を催促する。アルトがコーヒーを一口すすってから口を開いた。
「彼女たちは、研修同行だって言っていたけど、このタイミングに誰の同行だと思う?」
「誰のって上司とか先輩とかに決まってるじゃん」
「彼女たちは教導隊の新米士官だから教導隊の職務で動いているなら、教導隊の隊が少なくとも小隊で来るだろうし、教導隊の自治区見学ならこっちに連絡が来てるだろう? 」
教導隊は、士官、兵士、新たな武器や備品を含め、各隊に配備をスムーズに行う為の軍の教育部隊である。新米兵士たちの自治区見学が定期的に行われるが、同じ国内とは言え、ロールス共和国の都合で自治区となったこの地域に軍が展開するには、例外なく常駐する部隊の交代であっても自治政府に通達がある。しかし、今回部隊が自治区に来るような連絡はなく、あったのは、先日のアルトが巻き込まれた下界での事故に関わる監査だけだ。
「監査を優位に立つために彼女たちを? 」
ルイガノがアルトに尋ねるが、アルトは曖昧に首を横に振り答える。
「まぁそれがないとは言わないけど、監査はそれほど問題じゃないってルイ自身が言ってくれてただろう? 」
「まぁそうだけど…… 」
「最大の理由は広告塔になってもらおうと思って」
「広告塔? 」
「民間人になったとは言え、いまだに影響力のあるお姫様な上に、ダンジョン組織で第2位のアードリゲ家の令嬢と、その側近のロータス家の令嬢だからさ、注目度はあると思うよ。ルックスも良いしね」
アルトは、そう言ってアーリエとセナにデイリーダンジョンの広告塔になってもらう事が狙いだとルイガノとミーナに語る。
実は、レストランでアルトにしかわからない出来事があった。それは、早乙女がこの異世界に転移する際にホリーホックから与えられた固有スキルであるスーパーバイジングに変化があった。
レストランでアーリエとセナに気がついたルイガノが、アルトとミーナに説明している辺りからアルトの視界の角が淡く赤く明滅していた。わずらわしいから、そこに意識を持っていくと、ポップアップした項目が増えており、増えていた項目には緊急メッセージとあった。
ホリーホックは、早乙女が使いやすいようにコンビニの本部システムに酷似した使用にしたといっていたが、コンビニ本部システムの緊急メッセージは、至急店舗で対応が必要な案件が通達される。例えばメーカーの自主回収が発生したり、本部販促物の印字ミスなどで撤去指示だったり、内容は多岐にわたる。早乙女はパブロフの犬となっているので、緊急メッセージとなっていれば、反射的に確認する習性が身に染みているので、迷わずそれに意識が向き内容を確認する。
緊急メッセージ
今後重要となる人脈との遭遇を確認。偶然を装い接触せよ。
最重要対象人物:アーリエ・リッター・アードリゲ
重要対象人物 :セナ・ロータス
詳細情報は、このメッセージ確認後に記憶へと自動インストールを実行する。
早乙女が読み終わると、脳へと情報が一気に流れ込んでくる。いままでから知っていたかのように、アーリエとセナの事を理解している自分がいた。そしてどのように接触すると良いかがわかり、思わず笑ってしまうほどだ。今後どのように関わるかまでは、早乙女も理解はできないが、ホリーホックがわざわざここでミスをさせるような援助もしないだろうし、このスキル自体は、早乙女自身に与えたものなので、ふたりの素性を考えれば良好な関係になるメリットは多いので、単純に信じることにした。
「結局かわいいから声かけたんじゃん! まぁ確かにかわいいしお嬢様なのに性格良さそうだしぃ別に良いけど…… 」
ミーナは、どことなく面白くなさそうに言っているが、ミーナ自身もアーリエとセナの人柄には好印象だったようだ。早乙女は子供をあしらうようにミーナへと声をかける。
「ミーナもかわいいよ。女の子同士だから何かとミーナに協力してもらうだろうからよろしくな、ふたりのこと」
「し、しかたないわねぇ~ デイリーダンジョン立て直しの為なんでしょ! きょ、協力するわよ」
ミーナは顔を赤くしながらも了承の返答をする。アルトは軽いのりで声をあげる。
「会議と監査を乗りきって立て直しをはじめるぞ~ 」
ミーナも苦笑しながらアルトに合わせているが、ルイガノは、微笑ましく見ているが内心でアルトの変化に疑問を感じはじめていた。
お読みいただきありがとうございます。
次話も引き続きお楽しみいただければ幸いです。
前作のSTRAIN HOLEも何卒よろしくお願いいたします。
N6940GN
https://ncode.syosetu.com/n6940gn/
いいね、ブックマーク、評価、感想、レビュー何かひとつでもちょうだいいただければ、励みとなりますのでよろしくお願いいたします。
ぜひ、下の☆印にて評価してただければ幸いです。




