15-元公爵令嬢を口説いてみた
こんにちは橘 弥鷺です。
元コンビニSVのダンジョン運営に、ご興味をいただきありがとうございます。
お読みいただければ幸いです。
尚、前作の完結しておりますSTRAIN HOLEもあわせて、是非、お読みいただければ、うれしく思います。
STRAIN HOLE
N6940GN
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アルトいや早乙女は、何かの思惑があってアーリエとセナに声をかけ、レストランの同席を持ちかけたのだが、その思惑はミーナとルイガノにまだ検討がつかない。
「おふたりは、デリゲートでの滞在期間はどの程度なんですか? 職務上お教えいただけないかもしれませんが、ご迷惑でなければお聞かせいただけると何か有意義に過ごせるお手伝いができないかと」
「お気遣いありがとうございます。今回我々は、研修の一貫で同行したに過ぎませんので、お恥ずかしながら、右も左もわからないまま、ただ指示に従っているだけなのです」
「そうでしたか、しかし、ご期待されているから同行というお話になったのでしょう。騎士章をお持ちの同期の方はいないでしょう? 」
「ええ、そ、そうなんですが騎士章も、今では飾りのようなものですから…… 現役のダンジョンシーカーの方に言われてしまうとお恥ずかしいですわ」
アルトではなく早乙女は、見え見えのヨイショをする。サラリーマンが生き抜くための必要スキルだが、アルトの外見でやると、また別の意味を持つようにも見える。見え見えのヨイショなのだが、早乙女は事実しか言ってないし、ウソも言ってない。強いて言えば、期待されているかどうかは、上司本人に聞かなければわからないので断言はできない。だが、アーリエとセナは、軽く頬を赤く染め、恥じらいでいるところを見ると、非常にチョロい令嬢たちである。早乙女は、そこから推測するにこのふたりの周囲は、そこまであまやかされる家庭環境でなく、直接的言葉でのおべっかや誉められることは少なかったのかもしれない。少なくとも家族や側近は、むしろ厳しく教育してきた可能性が高い。しかし、宿泊先のホテルやこのレストランを見る限り、軍の人事部はこのふたりの扱いをそれ相応の相手と判断しているようだが、新米士官にこのホテルはまずあり得ない。早乙女はアーリエとセナをさらに懐柔しようと口を開く。
「だからこその騎士章なのです。民主化した今、確かに騎士は、本来の役割を果たしていないのかもしれません。しかし、代々騎士とシーカーとは互いに協力し、力を合わせ、ダンジョン探索に人生と命をかけてきた。その想いを引き継ぐことは、時代や立場や制度が変化しても、先達の想いを我々が引き継ぐことこそが大切だとおもいませんか? 騎士殿」
「ノエル殿の仰る通りですわ! わたしもセナも常々、今の騎士が騎士としてのあるべき姿だとは思えなくて、しかし、新米士官にできることなどないと歯痒く感じておりました」
アーリエは、アルトが自身の思いの理解者であると感激し、胸元で手を組みアルトへからだを向けて同意する。アルトは頷き、アーリエの理解者であるかのように振る舞い、アーリエへ返答する。
「確かに軍の中では、騎士の扱いは変化してしまったのかもしれません。しかし、民衆には関係ありません。本土や首都がどうなのかはわかりませんが、少なくとも自治区では関係ないので、うちのダンジョンで名を上げられるのはいかがですか? アードリゲ家とロータス家のご令嬢であれば、間違いなく評判が上がるのは間違いありません」
「失礼ですがノエル殿それはどういう意味ですか? 」
セナが一変し、怪訝な表情でアルトを睨む。結局アルトもアーリエとセナの家柄にすり寄ろうとおだてていたのかと思ったようだ。早乙女は、セナをにこりと笑い、セナの表情を溶かすように柔らかい口調でセナに話しかけた。
「失礼。誤解されたようですが、この自治区にいておふたりの家柄にすり寄るメリットはありませんよ」
「では何故家の話が出たのですか? 」
早乙女は、あせりひとつ見せずにコーヒーをすすり、セナの質問に答える。
「無論、おふたりの力は、代々脈々と受け継がれた血縁もあるでしょう。ですが、わたしが言いたいのは、いくら変化したとはいえ、それなりの力がなければ騎士にはなれないということです。そこには、おふたりが幼き頃からアードリゲ家が運営するダンジョンでの努力をされたと思ったのですが違いましたか? 」
「そうですけど…… 」
「セナ、ノエル殿には何もかもお見通しのようです。ノエル殿が仰る通り、わたしとセナは騎士になるためそれ相応の努力はいたしましたわ」
アルトの言葉にセナは言い返せなくなり、アーリエがそこに割って入りアルトへ同意するように頷いた。
「自分の御家のダンジョンでは世間は何かと疑うかもしれませんが、うちのダンジョンでも同様の評価を受ければ民衆は受け入れますし、軍も探索への参加を許可するかもしれません。もしよろしければ滞在中の余暇に、うちのダンジョンで腕試しをしてみませんか? 」
アーリエの実家であるアードリゲ家は、民主化後も、その財力で多くの事業を展開してきたが、そのひとつにダンジョン運営がある。王族直系公爵家のアードリゲ家は、王政時代の王族直系ダンジョンを受け継ぐことになったのだが、すべてを受け継ぐことは他の貴族からの批判を浴びるということになり、1/3を受け継ぎ、他のダンジョンを安定管理している上位貴族で分配され管理されることとなった。アードリゲ家はダンジョンを所有する組織内2位を誇っている。自治区では多く運営管理をしている探索者組合になるワールドトレックでも、ロールス共和国全体となると10位前後の規模で、アードリゲ家は雲の上の存在だ。
「それはとても有意義な時間を過ごせるかもしれませんね。セナはどう思いますか? 」
「ええ、良いお話かとニセン大隊長に許可いただければ是非ダンジョンに行きたいものですね」
セナもアルトへの疑いが晴れたようで快くダンジョンに入ることを賛成している。それを見てルイガノが声をかける。
「ニセン殿ならわたしの方からもお声をかけておきますよ」
「ニセン大隊長とお知り合いなのですか? 」
「もちろん。自治区では軍と探索者が共同で下界に出ることもありますので」
「あー あの隊長さんかぁ たまに探索者と組んでダンジョン来るよね? ベントレーおじさんとも昔からの知り合いみたいだし」
ルイガノが、アーリエとセナに話しかけた後、ミーナがニセンの事を思い出すがルイガノがミーナに声をかける。
「ミーナあまりニセンさんプライベートを話すのはどうかと思うよ。おそらく探索者とダンジョンに入るのは自治区だけで黙認されてることだから」
「そーなんだ」
「ええ、あくまでも軍の立場は探索者の方と違い、防衛の為に存在するのであり、下界探索は探索者の仕事と別けられております。本国では指定されたダンジョン以外での訓練は認められてありません。だからあくまでもプライベートでと建前が必要なんです」
セナがそう説明するとミーナが苦いものを口にしたような顔をしている。話題を変えるようにアーリエがミーナに尋ねる。
「先程お話に出ていたベントレーおじさんとはどのような方なのですか? 」
「あー うちの理事のひとりなんだけど、ダンジョンガイドをしてる人で、元騎士なんだって。物好きでわざわざ首都から移り住んで、うちの探索者組合で働き始めたみたいなんだけど…… 元貴族ならアーリエやセナと知り合いだったりしてね」
ミーナは、普通にアーリエとセナを名前呼びをしてため口で話始める。この距離の詰め方がミーナのコミュ力の高さだ。
「元貴族で騎士の方…… 」
「アーリエどうしたの? 」
「ずっと人…… 探しているご夫婦がいたので…… つい」
「まぁ うちのダンジョンにくれば会えるから知り合いならいいね」
「はい、この街に来て楽しみが増えましたわ」
アーリエが微笑み、忖度され腫れ物にさわるような軍での扱いに鬱屈した気分だったか、アルトたちと出会い自治区に来たことに希望を持ったのであった。
お読みいただきありがとうございます。
次話も引き続きお楽しみいただければ幸いです。
前作のSTRAIN HOLEも何卒よろしくお願いいたします。
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