13-特別扱いされる令嬢
こんにちは橘 弥鷺です。
元コンビニSVのダンジョン運営に、ご興味をいただきありがとうございます。
お読みいただければ幸いです。
尚、前作の完結しておりますSTRAIN HOLEもあわせて、是非、お読みいただければ、うれしく思います。
STRAIN HOLE
N6940GN
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アーリエとセナは、セリカの案内でデリゲートの街を散策した。昼過ぎにセリカは、自身の業務に戻るという事で、アーリエとセナはふたりで街を見て回ったが、さすがに疲れたので15時過ぎにはホテルへと戻って休んでいた。
「セナ…… やっぱりこれは特別扱いな気がしてきたんですが…… いくら宿舎の部屋が足りないと言っても、このホテルでなくても良いと思うのです」
アーリエは、すねたこどものような表情でセナに尋ねる。アーリエたちがデリゲート滞在中に用意された宿泊先は、貴族向けを売りにしている気品あるこの街一等地にある高級ホテルだ。
「アーリエが気にしたら負けですよ。仕方ありませんわ、いくら民主化して爵位制度が撤廃されたと言っても…… アーリエは、元公爵でいまだにアードリゲ家は発展をとげているのですから、多少の忖度があるのは当然ではありませんか」
セナは、自信ありげにそう言い放った。アーリエの家系に代々つき従えてきた上位貴族であったロータス家の令嬢で、今もアードリゲ家の事業の中核で支えている幹部の家だ。アードリゲ家の発展を支えている自負があるのだろう。
「そうなんですが、何か腫れ物にさわるような扱いをされているようで…… 距離を感じるというか…… 」
「アーリエが分け隔てなく接していれば問題ありません。他人の好意は、ありがたく素知らぬ顔で受け入れれば良いのです。これで本当に宿舎に空きがなくて、品位のない客ばかりで、お風呂もないような安宿にアーリエは泊まれますか? 」
「それは…… わからないです…… けど…… 」
「いずれ本当に下界に出るとなれば、嫌でも野宿や着替えも数日できない生活があり得るんですから、今は好意に甘えましょう」
セナはそう言って、ふかふかのベッドに飛び込み、アーリエは、ため息ひとつ吐き独り言を呟く。
「わたしが目指したいものは、今の軍にはないのでしょうか…… 」
アーリエとセナは、夕方になり食事くらいは楽しもうと、ホテルのとなりのレストランへと向かった。アーリエは気がむかなったが、セナがアーリエの母親からあまり品格の低い店には、行かせないようにと言われていると説得され、自分たちで決められるのであれば、それ相応の店に入るようにと言われたとのことだった。
「お母様は過保護すぎるのです…… 」
アーリエは、セナの立場でアーリエの母親の言いつけに、背くわけにはいかないのは、理解できるのでセナの提案を受け入れ、ホテルと同系列のレストランへと入る。入口にウェイターの男性がやってきて、ふたりの士官服を見て察しが着いたのか口を開いた。
「いらっしゃいませ。あいにく席が埋まりはじめおりますので、他のお客様との席の距離が近い席をご案内する事になりますがよろしいでしょうか? 」
セナは少し悩む素振りを見せたが、アーリエは即答する。
「かまいません」
「アーリエ…… 」
即答するアーリエにセナが声をかけるが、アーリエは微笑みでセナを制し、アーリエは軍の食堂か街の人たちの暮らしがわかるような、大衆向けの食事処に行きたかったので、このくらいのわがままは、セナにも我慢してもらうつもりだ。男性ウェイターに少し待つように言われたが、すぐにその男性ウェイターが戻ってきてアーリエたちに声をかける。
「こちらへどうぞ」
男性ウェイターに案内され、店の奥へと進むと確かに席は埋まっており、テーブルがとなりの会話が聞こえるほどの距離に座るしかないほどに賑わっている。
「こちらの席でいかがてしょうか? 」
「かまいません。ありがとうございます」
「では」
男性ウェイターが、アーリエとセナの椅子を引いて座らせる。となりには、金髪碧眼の若い女性と兄妹なのか、似たような髪色にメガネの品の良い男性と、後ろ姿は女性に見えたが、良く見ると男性で黒髪をポニーテールのように髪を結んだ男性だ。顔立ちも整っていて女性と見間違える容姿をしている。服装からすると、この街の探索者のグループのようだ。このお店に食べに来ているということは、高位ランカーか、依頼に成功して祝杯をあげているのだろうか、アーリエが知る探索者よりも品が良い3人だ。
「こちらがメニューになります」
男性ウェイターが水の入ったグラスとメニューをアーリエとセナに渡す。
「お決まりになりましたら、呼び鈴でお呼びくたさい」
男性ウェイターは、そう言って席を外すとセナがアーリエに声をかける。
「普段使いするには、最低限の格式はあるようで安心しましたわ。ロールスの最低限の格式は守られていますね。入るまではアーリエを連れてきて平気か少し心配だったんです」
「そ、そうですか、まったく問題ないですよ。気苦労をおかけしますね。セナ」
セナがレストラン店内をくるりと見て、貴族令嬢らしい高飛車な態度で周囲を見回すのを見て、アーリエは少し自重してほしいと心中で思う。おそらく周囲の客は、軍服、しかも士官服を見れば自分たちのだいたい素性は理解しているからだ。元貴族令嬢が爵位制度撤廃後も、そのような態度でいれば、あまり良い印象を持たれないのではないかと、アーリエは周囲の視線が気になるが、怖くて見れないのでメニューを凝視していると、セナから声をかける。
「アーリエは決まりましたか? 」
「どれも美味しそうで迷ってしまいますね。ウェイターの方にオススメお聞きしようかと…… 」
「確かに首都周辺とは調理方法が違うようですね…… 」
ロールス共和国首都周辺では、焼き料理が一般的だ。セナが呼び鈴を鳴らすとウェイターがすぐに駆けつけ、アーリエが声をかける。
「どれも美味しそうで、オススメをお聞きしてもよろしくて? 」
「本国からこの街にお越しになったお客様には、蒸し料理をオススメしておりますが、こちらのメニューをご注文いただければ、この街の蒸し料理を一通りお召し上がりいただけます」
「それは素敵ですね。ですがお料理の量が多くなりませんか? 」
「ご安心ください。少しずつお召し上がりいただけるコースとなっております」
「では、そちらをお願いいたします」
「わたしもアーリエと同じものにいたしますわ」
「お飲み物はいかがいたしますか? 」
「そちらもコースにあったものをご用意いただけますか? 」
「かしこまりました」
アーリエとセナは、ウェイターが進めるコース料理をオーダーすると、ウェイターはすぐに食前酒を用意し、次々とこの店自慢のコース料理がテーブルに並べられ、アーリエも先程までの少しだけ曇った気分も晴れ、食事を楽しもうと前向きになる。
アーリエとセナは、ウェイターの進めた料理に満足そうに笑んで会話も弾み、少女特有の華やいだ雰囲気に包まれ楽しい食事の時間となった。デザートの皿を食べ終えた頃に、アーリエは声をかけられる。
「もし、ハンカチを落とされていませんか? 」
アーリエが声の主へと振り向くととなりの席に座っていた黒髪を束ねた青年だった。彼の手元を見ると女性物のハンカチを差し出しているが、アーリエもセナも見覚えのないハンカチだった。
「いえ、わたしたちのハンカチではないようですわ」
「これは、失礼いたしました」
青年はウェイターを呼んでハンカチを拾った旨を伝え渡す。そして改まってアーリエとセナを見て口を開いた。
「失礼ですが、お二人は騎士の階級をお持ちの士官の方とお見受けいたしますが…… 」
「ええ…… そうですけど…… 」
アーリエは少し驚く、ダンジョンシーカーは、民主化した今でも、憧れられる存在だが、騎士になろうという者はいない。軍が便宜的に残しているだけのモノにすぎない。
「わたしは、ワールドトレック探索者組合所属ダンジョンシーカーのアルト・ノエルと申します。お見知りおきを」
アルトはアーリエとセナにうやうやしく頭を下げて名乗るのであった。
お読みいただきありがとうございます。
次話も引き続きお楽しみいただければ幸いです。
前作のSTRAIN HOLEも何卒よろしくお願いいたします。
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