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こんにちは橘 弥鷺です。
元コンビニSVのダンジョン運営に、ご興味をいただきありがとうございます。
お読みいただければ幸いです。
尚、前作の完結しておりますSTRAIN HOLEもあわせて、是非、お読みいただければ、うれしく思います。
STRAIN HOLE
N6940GN
https://ncode.syosetu.com/n6940gn/
アルトたちは、ダンジョンを後にして地下1階の商業区域に足を運ぶ。地下1階は、街道と鉄道の駅がある為、商業と行政区域に多くの敷地を使用しているので、個人宅はほとんどないが、街道からもっとも遠く街の外周周辺は地下2階や3階の中心部よりも利便性が悪いので、家賃が安く好き好んで住む者いるが、そのほとんどは地上のマーケットか地下1階の商業区域で仕事をしている者がほとんどではある。
「で、ミーナは何を食べたいんだ? 」
「昨日の街は煮込み料理だったから、今日蒸し料理かなぁ」
この街の代表的な料理のほとんどが蒸し料理なので、数日ぶりに蒸し料理が食べたくなったようだ。地下都市のせいか火をあまり使わない。蒸気と電気が多用されているのと、理解に苦しむ魔法が存在する世界だ。街並みだって地下都市で最下層にまで抜ける穴からは人工的に滝が落ちているし、配管が至るところにあったり、列車もSLのようなディーゼルのような不思議なデザインで、まさにスチームパンクの世界だと言われるとしっくりくる。
「どこの店も蒸し料理は出すからなぁ じゃああそこの店にするか? 」
「アルト良いの? 今まで品が良くてオレのガラじゃないとか言ってたのに…… 」
早乙女が指差した店を見てミーナが困惑している。共和国の元貴族や富豪向けに作られたこの街唯一の気品あるホテルのとなりにあるレストランだった。他の宿や食事処とは訳が違う、無論他にも品の良い店はあるのだが、そのレストランは共和国的なマナーを取り入れており、自治区の自由で気取らない雰囲気はないのだ。
「ミーナも行きたいって言ってたし、今日くらいは良いんじゃないか? オレもマナーは知らないけど、その辺りはルイの真似すればいいだろ? ドレスコードまではなければいいけど」
「兄さんマナー平気? 」
「ドレスコードはないよ。共和国マナーは、一応は学んだから平気だと思う…… あの店も何度か行ったから」
「じゃ! アルト行こっ! 」
3人は、そう言って高級レストランへの扉を開いた。心配していたマナーはそこまでうるさくなく、カジュアルフレンチ程度で充分だ。民主化し自治区になった昨今では、共和国の元貴族たちよりも、自治区内の富裕層や探索者の高位ランカーを相手にした方が良いのだろう。アルトはメインの蒸し料理の肉にたっぷりと濃厚ソースをかけ、蒸した野菜と合わせて口に運び満足そうに頷き、ダンジョンの話題からひとつ気になった事を口にする。
「そう言えばベンじぃってシーカーでなく騎士だったんだな」
「今さら~ アルトってそーいうの興味ないよねー 昔から言われてたでしょ? ベントレーおじさんは元貴族様で、騎士様だったって」
ミーナが呆れたように手に持ったフォークをくるくる回しながら、アルトに返答する。確かにアルトの記憶にも両親やミーナとルイガノの両親からそんなことを言われている記憶はあるのだが、そんな話しに興味のないアルトは、シーカーとの違いが理解できない心境を早乙女は感じた。
「子供の頃は、シーカーも騎士も同じだと思っていたかな」
早乙女はアルトの記憶をそのまま言葉にしてみた。
「確かに貴族様って言われても、ベントレーおじさんも、ローバーおばさんも普通に接してくれてたからね」
ミーナはそう言って、蒸した野菜を器用にクレープ生地のような穀物のシートに包んでソースをかけ、一口にナイフで切り分けて口に運び、その味に満足している様子を見て、ミーナの言葉を引き継ぐようにルイガノが口を開く。
「ベントレーさん夫妻へ爵位制度があった頃から、平民の父さんたちと分け隔てなく交流していたらしいからね。昔のことだからって貴族時代のこともベントレーさんもローバーさんも話したがらないからね。噂好きのスタッフたちは、いまだに飽きもせずいろいろと眉唾な噂を吹聴しているよ」
「噂? 」
「それ、わたしも聞いたことある。貴族のローバーおばさんに、一目惚れしたベントレーおじさんがシーカーから騎士になったとか、ギャンブルで散財してこの街に逃げてきたとか、実は消息不明のロイス国王とモーガン妃だとか」
ミーナがベントレーと、その妻ローバーにまつわる噂を指折り話はじめるが、どれもありそうでなさそうな話で、情報源も曖昧な話ばかりだ。そんな雑談を3人がしているところへ、レストランのウェイターが声をかける。
「お客様少々よろしいですか? 」
「はい、どうされました? 」
ルイガノが代表して返答するとウェイターがルイガノのそばに歩みより話はじめる。
「本日はご来店いただいたお客様が多く、席が足りなくなってまいりましたので、お隣の席にお客様をお通ししてよろしいでしょうか? 」
店内は確かに席に座る客が多いが、満席というわけではなく、一定の距離を保って席が用意しているが、それが保てなくなるから、念のため声をかけてきたのだろう。ルイガノは微笑みながら返答する。
「おきになさらずお通しください。我々の周囲はかまいません。にぎやかな方が慣れていますから」
「おそれいります。さすがですルイガノ様」
「僕をご存知なんですか? 」
「お三方のファンです。アルトさんとミーナさんも、ワールドトレックの若頭。しかもアルトさんなんて最年少でシーカーランクを手にした逸材! 探索者にはなれなかったわたしとしては、皆様のご活躍を応援させていただくことが、今の楽しみです。頑張ってください」
探索者の高位ランカーは、この世界では有名スポーツ選手のような位置づけで、街の住民には、このウェイターのような人も多い、ウェイターはファンであることをアルトたちに伝えられたのが嬉しかったようで、顔を蒸気させてから、気を取り直して仕事に戻る。すぐにウェイターは入口からアルトたちの席付近まで歩み寄り、連れてきたふたりの客を席に案内する。アルトたちと同年代の少女ふたりが席に座る。そのふたりを見てミーナが小声でアルトとルイガノに声をかける。
「若いのに士官服だね」
「新米士官かなぁ…… 騎士章? 」
ルイガノが彼女たちの襟に階級章とは別に騎士章を着けていることに驚く。アルトとアーリエが出会った最初の夜だった。
お読みいただきありがとうございます。
次話も引き続きお楽しみいただければ幸いです。
前作のSTRAIN HOLEも何卒よろしくお願いいたします。
N6940GN
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