10-ダンジョン視察
こんにちは橘 弥鷺です。
元コンビニSVのダンジョン運営に、ご興味をいただきありがとうございます。
お読みいただければ幸いです。
尚、前作の完結しておりますSTRAIN HOLEもあわせて、是非、お読みいただければ、うれしく思います。
STRAIN HOLE
N6940GN
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アルトたちは、週末を使ってワールドトレックが管理する6つの街と、他の組合が管理する2つの街のダンジョンの視察を行い帰路に着いた。
「うーんっ ついたぁ さすがにちょっと疲れたね」
ミーナが列車を降りると背伸びをして口を開く、後から出てきたアルトがそれに返答する。
「無理言って悪かったな」
「それは全然いいんだけど、どうだった? 」
「まぁいろいろわかった。会議までには纏めるよ。会議の時に軍の監査もあるだろう? そっちは平気なの? 」
アルトはミーナに返答しつつ、同時に質問するが、それにはルイガノが答える。
「ウチは、非合法な事をしているわけではないから平気だよ。監査って言っても聞き取りがメインだろうからアルトが短気を起こさなければね」
ルイガノの表情は、柔らかな笑みが張りついているが、その目は笑っていない。過去のアルトの行動がそうさせるらしいのは、早乙女にも理解できる。早乙女はルイガノの信頼回復が大切と思い、ハッキリと答える。
「それなら問題ない。過去のことはすまないと思うけど、もう大丈夫だ。ふたりが平気なら今日のうちにここのダンジョンも見ておきたいんだけど? 」
アルトたちが住むデリゲートにあるダンジョンは、いつでも見れると言うことで、まだ視察を行っていなかった。探索者組合ワールドトレックが管理するダンジョンは7つあり、組合の中ではワールドトレックともうひとつの組合が7つ、他4組合あわせて15あり、ワールドトレックは、組合としては大きな組織になる。6組織23の街に29箇所のダンジョンで自治区が作られている。街よりもダンジョンが多いのは、中央学園都市に6組織のダンジョンが置かれているからだ。
早乙女がミーナとルイガノに尋ねるとふたりは、快く快諾してくれたが、ミーナがアルトの肩を叩いて口を開く。
「それじゃ今夜は視察終わった後3人で外でご飯にしよっか? アルトのおごりで」
「つきあってもらって貴重な週末を潰させたからそのくらいはさせてもらうさ」
「やったぁ」
3人は荷物を駅と同じ地下1階にある事務所に置いてから、地上にあるダンジョンへと向かった。
「だいたいダンジョン周辺は似たようなもんだな」
アルトが地上に出ると誰とはなしに口を開く、ダンジョン周辺は、マーケット用に広い敷地が設けられている。今はマーケットが出店されていない為、閑散とした雰囲気にダンジョンの建物とダンジョンの入口だけが遠くに見える。ダンジョンの入口は大きな扉で閉ざされており、中の様子を外から伺うことはできない。ダンジョンは神より授かった遺物だからか、神殿や神社のようにも見えるが、ダンジョン入口には空き箱やゴミ袋が積まれている。
「ルイこれはなぜここに置くんだ? 」
アルトがそれを見てルイガノへと尋ねる。
「マーケットの商人が、次の交代日にダンジョンに運びいれるつもりなんじゃないかな。ゴミは収集場所なんだろうな」
マーケットは週に3日開かれる。ダンジョンから48時間で強制的に戻るタイミングで、ダンジョン内で働く者は、2日勤務の交代制で勤務する。その時に、マーケットで使用した商品箱と商品の入った箱を入れ換え、マーケットの商人たちに納品するのが、業務の流れだ。食料や木材などダンジョン内からの恵みは多岐にわたり、商人たちは探索者組合と契約を結び使用許可を得た者が産業区域として作られたダンジョンへと転移する。この区域はダンジョンコアによって安全に作られた区域なので問題がない。
「入口はキレイにしたいし、中の様子は見えるようにしたいような…… 」
アルトは何か独り言をボソボソと口にしている。ミーナがドアをあけると、アルトも開いたドアから中を伺う。中は閑散としているから仕方ない。今はもう夕方で、今からダンジョンに入ればすぐに夜営の準備になるから探索者は早朝か遅くとも午前中にはダンジョンに入ることを好む。受付も夕方の18時までなので後1時間もすれば受付も終了し、夜間の警備担当に交代する。
「なんだい? こんな時間に珍しい3人が来たな」
奥のカウンターからこちらに歩み寄りながら3人に声がかかる。ミーナが気がつき返答する。
「ベントレーおじさんこんにちは! 」
ベントレーは、白髪に無精髭でメガネををかけた年配の男性で、穏やかな口調に線の細い体躯をしているが年齢のわりに背筋はピント張り、どことなく品のいい雰囲気を持ち合わせている。
「ミーナこんにちは!どうしたんだい? こんな時間に? 」
「来週の会議前に何か改善点がないかって思ってね」
ミーナは苦笑しながらベントレーに返答する。ベントレーがミーナの苦笑の理由を悟り優しくミーナ肩を叩き口を開く。
「売上を気にしてるんだね。まぁ会議ではその話題は出るだろうからね。君たちの腕の見せ所だ。ところでアルトはもう平気なのかい? 」
ベントレーはミーナからアルトに視線を向けて声をかける。早乙女はアルトの記憶からこのベントレーを思い出す。
「ベンじぃ心配かけた。もう大丈夫だ」
「あまり破天荒な戦闘は身を滅ぼすからな」
「ああ」
早乙女は、アルトの記憶と感情からアルトはこのベントレーになんとなく苦手な相手と感じていたようだ。それはベントレーの瞳だと早乙女は感じる。ベントレーの口調は穏やかで表情も柔らかいのだが、瞳に宿るのは芯の強さと経験者しか持たない悟りのようなモノを秘めているように感じるのだ。早乙女は似たような人物を見てきたことがある。それは、真の意味で仕事のできるタイプの人が持つ瞳だ。コネや人を蹴落として成り上がった人では、絶対に持ち合わせない雰囲気で、一見穏やかで人の良さそうなのだが、必要とあらば厳しい決断も断行できる強さを持ち合わせている人の目をベントレーもしているのだ。早乙女はベントレーに尋ねる。
「ベンじぃちょっと話を聞かせてもらってもいい? 」
「なんだいあらたまって」
「ガイドのじいさんたちがどう探索者を案内してるか聞こうと思って」
アルトの返答にベントレーはやや目を見開いたそれはほんの少しわからない程度だった。ベントレーはにこりと笑い返答する。
「今日は探索者も来ないだろうからなかまわんよ」
「助かる」
ベントレーは成長した孫を見るように穏やかな笑みをアルトに返すのであった。
お読みいただきありがとうございます。
次話も引き続きお楽しみいただければ幸いです。
前作のSTRAIN HOLEも何卒よろしくお願いいたします。
N6940GN
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