-02-ダンジョンシーカーの不運
こんにちは橘 弥鷺です。
ご無沙汰しております。STRAIN HOLE完結より10ヶ月が経過してしまいました。
2作目となる今回の作品は、マイナス2話からのスタートになります。ダンジョンシーカーのアルト・ノエルの話と、コンビニ本部社員スーパーバイザーの、早乙女の最後の話から、アルトとなった早乙女のプロローグとなりますのでよろしくお願いいたします。
11月1日土曜日より7日金曜日まで、毎日更新させていただきます。以降毎週金曜日に更新させていただきます。
この作品もそこそこ長めの作品になります。末永くお付き合いいただければ幸いです。
「チキショー!運のないこった! アルト! 他のやつらとは後で合流だ! まずはこいつを街から遠ざける! 」
「おう! 来いよ! 巨大サソリ! 」
ふたりの冒険者は、巨大サソリを前に怯むことなく立ち向かう、人の数倍はある巨大サソリの攻撃を避けるとアルトと呼ばれた冒険者は、巨大サソリに向けて自身の剣をかまえ、巨大サソリは左のハサミをアルトへと振り下ろす。
「身体強化! 速度上昇! 攻撃力上昇! 防御力上昇! 」
アルトはペンダントを握り口ずさむと淡く身体が光り、人とは思えない速度で巨大サソリのハサミをかわしてみせた。
「さすがアルト! ダンジョンシーカーの称号は伊達じゃないね~ 」
「ランド! しゃべる暇あるなら援護しろ! お前の称号試験の為にこうしてみんなで外界に出たんだろ! 」
「ヘイヘイ」
「外すなよ! 」
ランドと呼ばれた浅黒い肌の男はニヤニヤと笑いながら背中に背負った長方形の鉄箱を肩へと乗せ、頭に乗せたゴーグルを被り口を開く。
「かわいこちゃーん♪ おいたはいけませんよー おねんねしましょうね♪ 」
ランドの肩に乗せた鉄箱の正面から巨大サソリの射線に五重の魔方陣が浮かび上がり、眩い閃光が巨大サソリに直撃しその巨体がよろめく。
「いまだ! 」
アルトが巨大サソリに向かって走り出し、巨大サソリの腕を足場に跳躍しながら剣を頭上に振り上げるとその剣が光源のように光り出し、巨大サソリの頭をめがけて振り下ろす。
「くっ! 」
アルトは咄嗟に後方に下がった。アルトのいた場所に今あるのは、巨大サソリの尾が地に突き刺さっている。巨大サソリは、身体を反らせて尾でアルトに攻撃を仕掛けたのだった。そこからは巨大サソリの猛攻がアルトに押し寄せる。ランドの攻撃には目もくれずにアルトに執着を見せている。ランドも攻撃はしているものの尾で弾かれたり、そもそもランドの攻撃では、巨大サソリの鎧のような身体に傷を着けることができない。巨大サソリはそれを理解したようで、アルトの攻撃を封じてしまえば、このふたりに倒されることはないと判断したようだ。みかねたランドは左胸に引っかけるように下げていた無線機のような道具を左手に取る。
「救援を頼む! 現在巨大サソリと交戦中ふたりじゃ手におえねー 近隣にいる装輪車両も来てくれ! 」
アルトの視界にランドが無線機を使用しているのが入った。
「ランド! 救援なんて頼んでじゃねぇ! 後でどんだけの請求書くるかわかんねーぞ! 」
「そんなの知るか! 死んだらなんの意味もねーだろ!
アルトなんとか攻撃を当ててくれ! じゃなきゃオレの攻撃じゃダメージが入らん! 」
「うっせー! わかってるよ! 」
アルトは巨大サソリの攻撃を回避するのが精一杯で、攻撃に転じる機を待つしかない。一方ランドはその機を作ろうと巨大サソリの死角を接近し至近距離で攻撃をしようと接近しようとしている。
「アルトそのままだと追いつめられるぞ! 」
ランドが大声で叫んだ。アルトはその声で後方を見ると岩山で後方を塞がれていて逃げ場がない。
「ランド! 逃げろ! 」
「あ? ぐはぁっ…… 」
ランドの声に巨大サソリも反応しランドの死角から尾をひねってランドの身体に突き刺した。太い尾がランドの身体を貫いており、尾の先端から鮮血が滴り落ちる。誰が見ても即死であることはわかる光景だ。巨大サソリは尾勢い良く振ってランドの身体を地に投げ捨てた。
「バカ野郎! 死んだら意味がねーんじゃねーのかよ! 」
アルトは歯噛みしながら巨大サソリに殺気だった目を向ける。それでも一対一で戦うような相手ではない。巨大サソリはこの一帯の食物連鎖の中で上位の存在だ。高ランク冒険者が複数人で相手にするような強者である。
「アルト逃げて! 」
「合図で砲撃を準備急げ! 」
かん高い少女の声と落ち着いた男性の声が聞こえ、アルトは声の方向に視線を向けると、巨大サソリの後方に人影と複数の装輪車両の影が見えた。
「撃て! 」
複数の車両から一斉に砲撃が放たれ巨大サソリはその巨体をよろめかせながら倒れ、アルトの周囲は爆煙と砂埃で視界が悪くなる。
「倒したのか? 」
巨大サソリの状態も視認できないほどに視界が悪い。そこにアルトの後方に気配を感じたのでアルトは後ろを振り向きながら剣をかまえるが誰もいない。その後次は腰の辺りに激痛がはしる。
「………… 」
アルトは倒れこみ視界が狭くなり、意識が遠のく中で見えたのは巨大サソリの尾の針と走り逃げるフードの人影だった。
お読みいただきありがとうございます。
次話も引き続きお楽しみいただければ幸いです。
前作のSTRAIN HOLEも何卒よろしくお願いいたします。
N6940GN
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