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勇者の杖の魔法使い  作者: mito
終章 旅の終点と
36/40

36話 幸せを見据えて

読書の皆様にこの作品を楽しんでもらえますように...。

魔王城に向けて出発してから数日、私達は違和感を覚えていた。今の魔界は、今までの魔界とは明らかに様子がおかしい、変に平和過ぎるのだ。

「平和なのはいいんだけど...流石に魔族がいなさすぎじゃない?」

そう、私達は今までの道中数体の魔族にしか会っていない。それもどの魔族も話の出来る魔族で、和解すら出来た。私達を襲う魔族が1人もいないのだ。

「列強が次々と死んでるんだ、私らがいると隠れるに決まってるだろ。」

「いや、そういう訳でも無さそうなんだよね。それは、カミラが1番分かってるんじゃない?」

私の問いに、カミラは何かに気づいたみたいだ。

今までずっと、私は常にカミラに魔力を少しずつ分け与えている。それはなぜか?簡単だ、この辺りの魔力濃度が低いからだ。

魔族が多くいる場所ほど魔力濃度が高い。そういう性質があるから、魔界は魔力濃度が高いんだ。でも、ここら辺...いや、道中ずっと魔力濃度が低かった。つまり、魔族がまったくいないんだ。

「流石に殺し尽くした訳でもないだろうし、何かあるだろうね〜。」

「何かって?」

彼女の記憶が消えた事によって、私は魔王の情報なんて分からない。だから、これは私の予想だ。

まあ、魔王という名前から想像出来ることだが。

「王たる者、軍のひとつぐらい持ってるんじゃない?」

「っ...!それなら今すぐ...!」

振り返ってフォルテに帰ろうとしたレオンを引き止める。

レオンの頭に過ぎったのは戦争だろう、もちろん私もそう考えた。となれば、人類の砦であるフォルテに攻め入るのは必然だ。でも、私達勇者一行は何も気にせずに魔王城に向かえばいい。

「心配する事はないよ、レオン。私がただ心配だからってあの子を残すとでも思ってるの?」

「シャルロット...」

再び前を向き、歩き始める。

そう、何も心配はいらない。だって、あそこには魔法の天才である、カルム・グラトニー...私の妹がいるのだから。

「さっ、気を取り直して行こうか!そろそろ森が見えて来たしね!」

周囲の木々よりも格段に巨大な大樹の生えた森に私達は進んで行く。この森を抜けた先、そこが魔王城の支配域だ。


森に入って数時間、私はカミラの様子を気にしていた。この森に入ってからカミラはすっごく穏やかな顔で辺りを見渡している。

普段のカミラはもっとぼーっとしてる。

「カミラ、この森ってそんなに落ち着く?」

「ん?ああ、ここは私が産まれた場所なんだよ。まあ、人間で言う実家だな。」

カミラの言葉を聞いて納得した。私もあの家が好きで、とても落ち着く場所だったから。この旅が終わったら、とりあえずは帰らないとな。

「っ...!あれは...」

「ちょっ、カミラ?いきなりどうしたの?」

いきなりカミラが走り出して、私達もそれを追う。そして開けた場所に出て、大きな大樹が見えた。それと、大樹の根元にいる見覚えのある人影も。

カミラは、その人影の前に立っていた。

「...待ってましたよ、お嬢様。やっと帰って来てくれましたね...!」

「ああ、ごめんリー姉。ただいま!」

リーニエントがカミラに抱き着き、涙を流す。2人がどういう関係かは私は知らない。けれど、一つだけ言える事がある...

「感動の再開ってやつですな〜!」

「雰囲気をぶち壊さないでくださいよ、シャルロットさん。」

これでもちゃんと感動しているんだけど...なんて思っていたら、リーニエントがカミラから離れて私達の方に向かって歩いて来た。

「もういいの?リーニエント。」

「はい、それよりもまずはお礼を申し上げなくてはなりませんから。」

リーニエントが私の前に片膝を着き、頭を下げる。私はここまでしてもらうような事はしてないし、頭を上げてもらおうと思ったが、その前にリーニエントが口を開いた。

「勇者一行の皆様方、我が愚弟を討ってくださったこと、我が愚兄を討ってくださったこと、心より感謝を申し上げます。このリーニエント、この御恩は一生忘れません。」

私は、彼女の誠意を否定する事は出来ない。どれだけ私自身が大した事をしていないと思ったとしても、彼女はこうして感謝の意志を体現してくれた。なら、素直に受け取った方がいいだろう。

「どういたしまして。私こそ、リーニエントには感謝してる。」

「え?私、何か感謝されるような事は...」

「リーニエントは、私を助けてくれたでしょ?」

私が疲れ果ててたあの時、リーニエントは私に手を差し伸べてくれた。結局は私はその恩を仇で返してしまった訳だけど、だからこそ今感謝を伝える。彼女が居なかったら、私はおそらく生きていないのだから。

「レオンとソフィアからもリーニエントの事は聞いたよ。ありがとね、リーニエント。」

「ふふっ、どういたしまして。」

彼女の笑顔はまるで人のようで、とても魔族には見えなかった。いや、元々人と魔族という種族の違いは些細なことで、彼女も私達と同じように笑って悲しむのだ。それを、私はリーニエントから教えてもらったんだ。


「またねリー姉!ささっと魔王ぶっ飛ばして来るよ!」

リーニエントと別れ、私達は森を抜ける。この辺りになると魔力も濃くなってきて、天候も荒れ始めた。

「よ〜し、気を取り直して行こうか!みんな!」

ここからは魔王の統治する正真正銘の魔界。

私は勇者として、1人の人間として、人類と魔族との争いに終止符を打つ。そして家に帰って...


ハッピーエンドだ!


今回のお話、楽しんでいただけたでしょうか?ぜひ、応援よろしくお願いいたします!

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