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勇者の杖の魔法使い  作者: mito
七章 解けた糸は再び紡がれ、旅の終点へ
30/40

30話 勇者一行は再び

読書の皆様にこの作品を楽しんでもらえますように...。

「カミラさん、どういう事ですか?いきなりなんで...」

「仕方ないんだよ、こうしないといけない。」

カミラが魔法陣を展開し、再び魔法を飛ばす。それをレオンが防いだ。

「カミラ!お前、僕達が一体どんな思いで...!」

「うるさい!」

大地から岩が飛び出て、レオンを殴り飛ばす。そして、カミラが私の目の前に立った。

「ねえ、カミラ。私、ずっとカミラに会いたかったんだよ?なのに、なんでいきなりこんな事...」

「...なあ、シャルロット。」

「あっ、そっか!アペタイトに脅されてるんだよね?大丈夫、安心して!私達なら、あいつぐらい簡単に...!」

「違う!」

カミラが私の胸ぐらを掴んで、睨みつける。カミラの目は決して冗談なんて言うような目じゃなくて、本気で私を殺そうとしているのが分かる。嘘なんて、一言も言ってない事が分かってしまう。

「そもそも、あんな化け物に勝てる訳がないんだよ!分かるだろ?あの魔人の強さ。どうせ殺されるぐらいなら、お前は私に殺されてくれ、シャルロット。」

「っ、そんなの、やってみなきゃ分かんない!」

「分かるんだよ!あいつの圧倒的な身体能力、そして魔力!どれも異次元だ。今までに会ったどんな魔族よりも、どんな人よりも!」

その瞬間、カミラが私に向かって鋭い爪を振るう。その時のカミラの顔はとても悔しそうで、とても悲しそうで、とても苦しそうだった。そうだよね、カミラは今まで独りでずっと苦しんできたんだ。魔族である事を私達に隠し、その力を解放してしまった後は人を殺さなければいけなかった。どれほど辛かっただろうか、どれほど消えてしまいたいと思っただろうか。なら、私がその想いを受け止めてあげる。もう、カミラにそんな想いはさせない。

「分かったよ、カミラ。」

「っ!お前!」

「私と戦おう!それでもしカミラが私を殺せればそれでカミラの願いは叶う。でも、もし私が勝てば...戦おう、一緒に!」

「正気か?お前。」

「もちろん!」

カミラの攻撃を弾いて、距離をとる。もしって言ったけど、もちろん私は負ける気はない。私は、私の

好きな事をして生きていたいから、負ける訳にはいかない。

「シャルロットさん、勝てる保証は...!」

「そんなの、私の方が強いに決まってるでしょ!」

魔力を高めて、カミラに私の力を見せつける。それに応えるように、カミラも魔力を高める。凄まじい魔力だ、流石はカミラ。でも、私の方が絶対に強い。なぜか、そう思える。

「行くよ、カミラ!」

「ああ、来いよシャルロット!」

同時に魔法陣を展開し、互いの魔法がぶつかり合う。カミラは魔法陣を発動しながらも私に近づき、直接攻撃を仕掛ける。流石はカミラだ。魔法使いである私に対して近接攻撃は有効打になる。でも、私がそれを想定しないとでも思ってるのかな!

「はぁ!」

「は?」

完全に私相手に油断していたカミラのお腹に殴りをいれる。私の拳を喰らったカミラはぶっ飛び、魔法陣も解除された。これはもう1人の私が持っていた力、"暴食グラトニー"により手に入れた力。暴食グラトニーは、魔力を持つものを喰らう事でそのものの力を自らの力に還元する能力。空気中の魔力も喰らいつつ、魔族もたくさん喰らった。身体能力でも、魔力でも私はカミラに負ける気はない。

「お前、どこでそんな力...!」

「どうしたのカミラ?もう終わり?」

「ちっ、まだだ!」

木々が急激に成長し、私に襲いかかる。カミラの容姿からして、カミラはおそらく竜とエルフのハーフ。自然の力も使えるわけだ。

「その程度じゃあ私は倒せないよ!」

炎の魔法を発動し、木々を燃やし尽くす。カミラは私に殺意を込めて攻撃をしている。でも、無意識的に躊躇しているような感じがする。だから、全力を出させる。全力のカミラに勝たないと、意味が無い。

「カミラ!」

「はぁ、はぁ...なんだよ。」

「もう何も考えなくていい、何も気にしなくていい!だから、私に全部ぶつけて来い!私達は、親友でしょ!」

「っ...!」

カミラの魔力が更に高まり、天候が荒れ始める。エルフの力と竜の力、その全てを解放したカミラは、まさに天災。でも、それでいい。今は、これじゃなきゃ駄目なんだ。

「死んでも知らないぞ?」

「何言ってんの?それがカミラの目的でしょ?」

「ははっ、そうだったな!」

互いに何重のも魔法陣を展開し、魔力を最大限まで高める。初めてカミラと本気でぶつかり合ってよく分かる。やっぱり、カミラは優しくて、強い人なんだ。私がふざけるとツッコんでくれるカミラが好き。いつも朝食を作ってくれるカミラが好き。私の事を心配してくれるカミラが好き。でも、1人で抱え込んでしまうカミラが嫌い。私達に迷惑をかけたくないからって、何も言わずにどこかへ行ってしまうカミラが嫌い。もっと頼って欲しい。もっと私の事を信頼して欲しい。だから、私は強くなったんだ。もう、カミラに心配をかけなくて済むように。

「行くよ、カミラ。」

「ああ。」

もう二度とカミラを独りにしない。私が望むのは、私がカミラを護って、私がカミラに護られる、そんな関係。だから、私はカミラに勝つ。これは、その為の魔法。

「落とせ!"晴天之彗星ステラ"!」

「刻め!"曇天之神風ウラガノ"!」

互いの放った魔法が衝突する。互角に見えた2つの魔法、だがやがて片方の魔法が片方の威力を上回る。

「カミラ!」

「っ!くそっ!」

「私の、勝ちだ!」

私の魔法がカミラの魔法を貫き、そのままカミラに命中する。勝てた、私勝てたんだ、カミラに!もう、私はカミラに護られなくてもいいぐらいに強くなれたんだ!

「よっと。」

空から落下するカミラを受け止めて、顔を覗き込む。

「あっ、眠っちゃってる。」

そういえば、カミラの寝顔なんて初めて見たな。すごく、安心出来る顔だ。

「...おかえり、カミラ。」


「ん...」

「あっ、起きた?カミラ。」

しばらくして、カミラが目を覚ました。私の膝の上にカミラの頭を乗せている状態だから、カミラが少し困惑してしまっている。

「なんだ、私死んでなかったのか。」

「私がカミラを殺すと思う?」

「いや、思わねぇな。」

久しぶりに見たカミラの笑顔、その笑顔を見た瞬間に私の心の中から込み上げてくるものがあった。そして、なぜか目から涙が溢れた。

「何泣いてんだよ、このバカ。」

「だって、私嬉しくてさ...!やっと、カミラの笑顔が見れたから...!」

「まったく、私の事好き過ぎるだろうが。」

カミラが起き上がって、私に手を差し伸べる。私はカミラの手を取って、立ち上がる。

「でもこれからどうすんだよ。私がいつ暴れ出すか分かんないんだぞ?」

「それも調べた。私が今までの旅で何もしてなかったと思ってるの?」

カミラは竜とエルフの子。もちろん、親の性質を引き継いでるだろう。魔竜カンナカムイはその性質上、常に魔力を消費し続ける身体だった。だからカミラは魔法薬ポーションをずっと持ち歩いてたんだろうけど、今の様子を見るに魔法薬ポーションの魔力量じゃ足りなくなったんだろう。私は、その対処法を考えてたんだ。

「私の魔力を使ってよ。」

「は?」

「私が魔力をカミラに上げる。それなら、カミラが暴走する心配はないでしょ?」

カミラはぽかんと口を開けていた。まあ、結構ぶっ飛んだ考えだよね、自分でも分かってる。でも、これでカミラと一緒にいれるんだったら、私はそれでいい。

「お前...それ、魔界でいう結婚だぞ?」

「へ?」

顔が赤くなって、頭を抱えてしゃがみ込む。え?恥ずくない?私、カミラに対して求婚してたって事?まあ、確かにカミラの事は大好きだけどさ...そういう意味の好きってわけじゃ...!

「カ、カミラさん...忘れてください...」

「え〜?どうしよっかな〜?」

カミラがにやけ面で私の顔を覗き込む。本当に意地悪な人だよ、カミラは。でも、そんなカミラを見て安心してる自分がいる。あの時と変わらない、いつものカミラだ。本当に、やっと帰ってきたんだね。

「ほら、さっさと行くぞ。あいつ、ぶん殴りに行くんだろ?」

「う、うん!」

私は再び立ち上がって、カミラと目を合わせる。そして、空気を読んで離れてくれてたレオンとソフィアも合流して、やっとこの4人が揃った。

「よし、やっと揃ったね。」

「ああ、お前らのせいで随分と遅くなったな。」

「それはごめんて...」

もう魔霧の森は目の前にある。この先に待つのは、三魔列強、魔人アペタイト。同じく、魔王フォンドネス。この長い旅は、ようやく終点を捉えた。

今回のお話、楽しんでいただけたでしょうか?ぜひ、応援よろしくお願いいたします!

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