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勇者の杖の魔法使い  作者: mito
七章 解けた糸は再び紡がれ、旅の終点へ
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28話 終末へ

読書の皆様にこの作品を楽しんでもらえますように...。

「さてと、そこの剣士さん!この子お願い出来る?」

「っ、もちろんでごさる!」

こちらを心配そうに見つめていた剣士にカルムを託し、私は再び飛ぶ。これが三魔列強、魔獣イナート。すっごい大きさだ。

「シャルロット!」

「あっ、やっほーレオン!ソフィアも、色々と謝りたいところなんだけど、それは後ね!」

「まったく、本当に身勝手な人ですね!」

「ははっ!私が一番よく分かってるよ!」

一人で何とか出来ると思っていたけど、流石に無理そうだな。これ程の巨体だし、周りに邪魔な奴もいる。それにこいつ、内部に魔法を弾く核がある。この杖の力を最大限に引き出せれば何とかなるかもだけど、切り札はやっぱり残しておきたい。

「レオン!私が隙を作る!だからこいつの核に全力の一撃を撃ち込んで!」

「分かった!ミスるなよ!」

「私を誰だと思ってんの?私は、伝説の勇者様だぞ!」

無数の魔法陣を展開して、黒い光を撃ち込む。イナートも私に対抗して無数の光を放つけど、私の方が優勢だ。だってこの黒い光は、触れた物の魔力を奪って威力を増すのだから。

「その程度なの?イナート!」

イナートが叫び声を上げ、無数の鱗が宙を舞う。この鱗は物理の攻撃、私のあの黒い光で防げるものじゃない...ならば!

「ソフィア!地上はお願い!」

「はい!」

地上に降る鱗はソフィアに任せ、私は自分の周りの鱗だけを防ぎ、イナートへの攻撃に集中する。この鱗はイナートの身体から放出されているため、イナートが再生を繰り返す限り止まらない。だったら、先にイナートを倒すだけだ。

「光よ集え。そして岩を、金剛を、竜の鱗をも打ち砕き貫く光の矢を形作れ。我は望む、万物を貫く光の矢を。」

多重の魔法陣の先に光の塊が創られる。この光は、勇者の杖(エクスワンド)に宿る力だ。

「我、シャルロット・グラトニーが命ずる。貫け、"星之矢メテオーラ"!」

私の放った魔法に反応し、イナートが結界を張る。だが、その結界は私の魔法にいとも簡単に貫かれ、イナートの頭を光の矢が貫いた。でもまだ攻撃は止めない。一瞬イナートの攻撃が止まったこの瞬間を、私は逃さない。

「浴びせろ、"星雨之矢メテオーラ・レイン"!」

イナートの鱗の雨が止んだ瞬間、私は光の雨をイナートに向かって放つ。イナートの身体を無数の光の矢が貫く。どうせ見てるんだろ、アペタイト。私はもうあの時のみたいに弱くない。お前ら列強にも負けないぐらい強くなったんだ。

「三魔列強、魔獣イナート。そろそろ本気出したらどう?」

私の問いに、イナートは応えた。遥か上空へと上昇し、魔力を高めて落下を始める。奴は自分の命すら燃やし、私達をまとめて殺そうとしている。これを止めるには、奴の核を破壊する以外に方法は無いだろう。それも、核が存在する限り再生し続けるあの身体ごとだ。私の最大威力では、身体を破壊する事は出来ても核は破壊出来ない。だから、彼に託す。

「最大の隙、それは敵が獲物を仕留めようとするその瞬間。そうでしょ?レオン!」

「ああ、その通りだ!」

イナートの落下先にレオンが立ち、剣を構える。彼の剣、それは伝説上に存在する"英雄"が持っていたとされる剣と酷似している。もし本当にあの剣なのなら、彼は天地を切り裂く事が出来る。

「神々が創造せし魔力よ。万物に宿りし魔力よ。この剣に集いて、我に力を与えよ。我は人類の砦の担い手なり。この戦場に、我が名を刻まん。」

レオンの剣が光り輝き、大地に流れる魔力が光る。その魔力は一つの紋章を形作る。その紋章は、紛れもなく英雄の証。間違いない、彼の剣は伝説の英雄の剣。そして彼は、新たなる英雄だ。

「我が名は、レオン・ガルディアン。魔獣よ、我が名を魂に刻め。断ち切れ、"聖剣エクスカリバー"!」

急速に落下するイナートに一筋の斬撃が走る。そしてイナートの身体が光に包まれ、風に吹かれる塵のように、イナートが光の粒子となり宙を漂う。跡形もなく消え、自然に還す。これが聖剣の真の力、英雄の力だ。

「終わったね、レオン。」

「ああ、お前のおかげでな。」

そして今ここに、新たなる英雄...いや、"英雄王"が誕生した。


「で?話を聞かせてもらおうか?」

「えっと...その...」

一難去ってまた一難とはまさにこの事。私は今、レオン、ソフィア、そしてカルムに問い詰められている。

「まあ、気持ちは分からなくもないですよ?でも、だからといって置いて行くなんて...」

「そうだよ!私すごく寂しかったんだからね!もうお姉ちゃんが戻らないんじゃないかって...」

みんな、少し安心したような顔をしている。そっか、みんな本当に私の事を心配してくれてたんだ。なんか、申し訳ないな。

「へへっ、えへへ...」

「何笑ってんだよ!僕がどれだけ苦労したか知らないだろ!」

「まあ、苦労したのは私達の方ですけどね。レオンさん、全然話聞いてくれなかったし...」

「うぐっ、それは...すまん。」

なんか、みんなの事を見てると涙と笑いが込み上げてきた。やっぱり、私は1人じゃ駄目だったんだな。ずっと寂しかったし、ずっと苦しかった。だからだろうか、今の時間が本当に愛おしい。

「まあまあ、過去の事は置いといて!」

「置いといてって...まあ、いいか。まだ全部終わった訳じゃないしね。」

「ああ、そうだな。まだ1人、連れ戻さないといけない奴がいる。」

みんな意見は同じみたいだ。私達の旅はまだ終わっていない。今までは辛い旅だったけど、今は頼もしい仲間がいる。でも、やっぱり私は全員集まって旅をしたい。カミラ、私はあなたがいないと絶対に嫌だ。

「そうと決まればと言いたいとこなんだけど...流石に休ませてくれない?」

「まあ、そうだよな。流石の僕も一日ぐらい休暇が取りたい。」

「そうですね、皆さんお疲れのようですし。」

やるべき事はまだあるけど、とりあえず今は休もう。久しぶりの、休日だ!


「...カミラも、この夜空見てるのかな。」

フォルテの城壁から夜空を眺める。気づけば、いつもカミラの事を思ってしまうな、私。そういえば稲荷って人カルムと仲良かったけど、もしかして彼氏?これは探る必要があるかもね。

「私もカミラに恋してるのかも、なんてね...」

ふと私の隣に人の気配がした。隣を向くと、そこには赤い瞳を輝かせた白髪の少女がいた。私は、彼女が何者かをなぜか理解した。

「...私に、何の用?」

「ふふっ、ちょっと会ってみたくて。」

彼女は私に近寄り、私の顔を見上げる。敵意や殺意は感じられない。私も、彼女を攻撃する気にはならなかった。

「待ってるね、私の勇者様。」

彼女は、私が瞬きをする間に赤い花弁となって消えた。なぜ彼女が私の前に現れたのかは分からない。けれど、私と彼女はいつかは絶対に相対する運命にある。なぜなら、私は勇者で...

「うん、待っててね。魔王、フォンドネス。」

彼女は魔王なのだから。

今回のお話、楽しんでいただけたでしょうか?ぜひ、応援よろしくお願いいたします!

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