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勇者の杖の魔法使い  作者: mito
六章 魔法の極地
25/40

25話 山羊の魔族

読書の皆様にこの作品を楽しんでもらえますように...。

「ようこそ、人類。」

「ああ、そしてさようならだ。」

魔法の亡者ジェラス。彼は山羊の頭を持ち、その身体よりも大きな杖を持っていた。魔法の亡者の名の通り、彼に肉などは無く、骨のみで動いていた。

「それにしても流石と言うべきか、剣技のみで私の人形を倒し、体内での魔法の行使によりこの世界に適応してくるとはな。」

「御託はよいでござるよ。拙者は、この時を今か今かと待ちわびていたのだから。」

稲荷から殺気を感じる。数年間、一人でこの世界を生き抜いて、今まで耐えてきた。そして私達という勝機を逃さないように冷静に行動した。彼は強い人だ。

「御託などではない、これは賞賛だよ。私は君達の実力に感動し、そして賛美の言葉を送っているだけ。」

「賛美の言葉ね、もしかして私達と仲良くでもしてくれるの?」

なるべく魔族は殺したくない。だから少しカマをかける。万が一にでも、こいつに良心があるのなら、私はそのチャンスを逃したくない。まあ、結果は見え見えだけど。

「まさか、そんな訳がないだろう?私は君達を喰らい、更なる力を得る!そして姉や兄に並び、ゆくゆくは魔王に!これ程までに素晴らしく完璧な計画があるか?いいや、ない!」

「3人とも、容赦は不要だよ。こいつは私達の敵だ。」

「ああ、もちろんだ。」

攻撃態勢に入り、隙を伺う。列強に近い実力、今の私とソフィアさんは弱体化しているし、不利かもしれない。それでもやる。ここで勝たなければ、人類に未来はないと思う。それに、私もこんな場所で死ねない。

「ククッ、まったく...」

その瞬間、ジェラスが私達の背後をとった。速い、だけどまったく見えないわけじゃない。この速さなら、あの2人が動ける!

「一刀流!"昇光ノボリヒカリ"!」

「なんと!まさかこの速さに対応するとは!」

「よそ見厳禁。」

レオンさんと稲荷が一気に畳み掛ける。流石の2人だ、完璧な連携と互いの剣技で隙を与えない。でも、奴はまだ本気を出していない。

「クククッ、見事な動きだ!だが、その程度では私は倒せないぞ!」

「それはどうかしら!」

ソフィアさんが奴に触れ、魔法陣を展開する。いくら治癒属性を持っているとしても、流石に奴に近づくのは危な過ぎる...いや、治癒属性だからこそか!

「"癒しの祈り(ハイルングベーテン)"!」

「ぐっ!治癒属性か!」

ソフィアさんの魔法によってジェラスに大きな隙が出来た。その隙に2人が畳み掛ける。自分の中でしか魔法を発動出来ないと思っていたけど、対象に触れる事によって、自分の身体を介して魔法は発動できる。ソフィアさんがそれを教えてくれた。

「一刀流...!」

「剣技!」

「火よ!」

私も2人に合わせて3人で一斉に攻撃を構える。ソフィアさんが作ってくれたチャンス、この状況は一見して私達が優勢に見えた。

「っ、3人とも避けて!」

奴の持つ杖が光り、私達の真下に魔法陣が展開される。私は、いや私達は、ジェラスが常に大魔法を行使し、魔法が使えない状態で戦っていると勘違いしていた。だけど、この世界を構成するのは自律型の魔法。つまり、ジェラスは魔法を使える。

「"業火の円(フラムセルクル)"!」

その瞬間、私達は炎に包まれた。完全な油断、私達はジェラスを侮っていた。

「うっ、くそ...!」

「3人とも動かないで、今治療を!」

治癒魔法を掛けようと私達に歩み寄ったソフィアさんの背後にジェラスが立つ。完全に戦況が一変した。

「まずは1人!」

「ソフィアさん!」

ジェラスがソフィアさんにその爪を振るおうとした瞬間、遠くで巨大な魔力が放たれた。この魔力、紛れもなくお姉ちゃんのだ。いや、それよりも今は!

「凍れ!」

「なっ!?」

あの魔力によってジェラスの気が逸れた。そのおかげでジェラスに魔法を放ち、ソフィアさんを抱えて距離が取れた。お姉ちゃんの事も気になるけど、今はこいつを倒す事が最優先だ。

「ククッ、やってくれましたね!この私に傷を!」「私より、後ろに気をつけた方がいいんじゃない?」

ジェラスの背後から2人が剣を振る。流石、人類最強の剣士達。まだ手札を隠し持っていたなんて思わなかった。

「まったく、僕が完全武装を強いられるとはね。この姿になるのはいつぶりかな。」

「拙者もまさか、二刀流を使う羽目になるとは思いもしなかったでござるよ。まあ、それ程拙者が油断していたという事でござるが。」

普段とは違い、片手に盾を携えて全身に鎧を纏うレオンさん。二本の刀を両手に持ち、その刀を振るう稲荷。これが人類最強の剣士2人の本気モード。

「クククッ、想像以上と言わざるを得ませんね...まさか、この私がこれ程の傷を負わせられるとは!」

ジェラスも相当の深手を負っている。このまま押し切れば勝てる。列強に近い?それがなんだ、私達は人類の要。こんな奴に負けてはいられない。

「では、私も本気を出して差し上げましょう!」

「っ!これは...!」

ジェラスの魔法によって作られた世界にヒビが入り、ジェラスの魔力が高まる。自律型の魔法、だけど魔力の供給は全てジェラスが行っていたわけだ。これ程の魔法を展開出来る程の魔力がジェラスに戻る。ジェラスは魔力の制限を解除した。

「クハハハハハッ!さあ殺し合おうではないか!今度こそ、本気の殺し合いを!」

世界が完全に崩れ、現実世界に戻ってきた。奴の魔力は強大だ、それもあのカミラさんをも超える程に。でもずっと違和感があった。私はこの魔力をどこかで感じた事がある。兄と姉、まさか私は一度こいつの血族に会った事があるのか?

「カルム!後ろだ!」

「っ!まずっ...!」

考え事をしていたせいで奴に隙を見せてしまった。3人は間に合いそうにないし、私が何とかするしかない。動け、間に合え、私はまだ...!

「"護りの祈り(シルトベーテン)"。」

「なっ!?お前は!」

ジェラスの攻撃を防ぎ、私の前に見覚えのある人影が現れる。ああ、そうだ。私が感じた事のある魔力、その正体が今分かった。まさか、この2人が同じ血族だったなんてね。

「来てくれたんですね、リーニエントさん。」

「ええ、ちょっと弟を叱りにね。」

結界に弾かれ、ジェラスが後ずさる。リーニエントさんの魔力はジェラスより明らかに少ない。だけど、その魔法の練度は圧倒的にリーニエントさんの方が上だ。

「いつもいつもお前らは私の邪魔をする!なぜだ!私は両親の特性を引き継いだ最高傑作だというのに!私が、上だというのに!」

「姉に対する言葉遣いがなってないわね。姉として、叱ってあげましょうか!」

魔力では劣っているはずのリーニエントさんは、なぜか笑っていた。全力を出した2人の魔力に、私はまだ違和感を持っていた。この2人の魔力、私は知っている。ジェラスの兄であり、リーニエントさんとも血族である魔族。忘れはしない、あの角。奴だ。ジェラス、リーニエント、そして魔人アペタイト。この3人は、同じ血族だ。

今回のお話、楽しんでいただけたでしょうか?ぜひ、応援よろしくお願いいたします!

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